マクニカは1月24日、AI事業の新ブランド「macnica.ai」を発表した。

関連会社化したインドCrowdANALYTIXのサービスと、マクニカが従来より展開してきた製造業向けAI/IoT導入支援サービスを中心に、顧客のさまざまなAIニーズに応えられるソリューションを提供する。

マクニカ 代表取締役社長の中島 潔氏

AI事業を第3の柱に

グループ連結売上高5041億円を誇る同社は現在、「半導体・電子部品」「ネットワーク・セキュリティ」の2事業が収益の中心だが、第3の柱としてAI事業を育て上げる方針。

AI事業としてはすでに、各種センサーを活用した製造業向けのAI/IoT導入支援サービスを展開しているが、これに41.8%の株式を取得して今月に関連会社化したCrowdANALYTIXのソリューションを加え、新ブランド「macnica.ai」を立ち上げた。

新ブランドでは、「国内外の人、技術、経験をつなぎ、伴奏型のパートナーとして、デジタル変革をお客様とともに実現します」というミッションステートメントを掲げており、AI人材の不足を補うべく、海外リソースも活用して顧客のビジネスを推進できる体制を整えていく。

macnica.aiのミッションステートメント

また、今後は、自社でデータサイエンティストを抱える企業向けに、DIY(Do It Yourself)型のAIモデル開発ツールも提供してく予定。

CrowdANALYTIXは他社と何が違うのか?

macnica.aiの核となるCrowdANALYTIXは、顧客ごとにフルカスタマイズした専用のSaaS型AIを提供する企業だ。構築したAIは、APIで呼び出すだけで利用できるため、既存システムへの組み込みも比較的容易という特徴がある。

ベースとなるのは「モジュラーAI」と呼ばれるオリジナル技術。機能別に細分化されたAIモデルを組み合わせて動作する実行プラットフォームを提供しており、すでに1000以上のモジュールが用意されている。

顧客向けAI構築に際しては、既存のAIモデルを再利用しつつ、足りないAIモデルを追加開発する仕組み。50カ国で2万人以上のデータサイエンティストが登録するコミュニティを抱えており、新規AIモデルも彼らの協力を得て短期間で完成できる体制を整えている。

CrowdANALYTIXのテクノロジーと開発体制

3カ月で完了するPoCを探る

macnica.aiのサービスとしては、まずマクニカが顧客企業にコンサルティングを実施。現状のビジネスを分析しつつ、AIを適用できそうな領域を探り、データやAIモデルの全体像を設計する。

その後、マクニカがCrowdANALYTIX向けに要件を落とし込み、PoC(Proof of Concept)を構築して効果を件検証する。コンサルティングにおいては、ビジネスのスピードも重視しており、PoCは3カ月で完了するような粒度のものを探していく。

課金形態は、案件ごとにさまざま。APIの呼び出し回数で算出するケースもあれば、入力データ量で算出するケースもあるという。

国内ではまず、米国などで実績豊富な流通業界をターゲットにする考え。また、クライアントからの問い合わせが多いヘルスケア業界と電力業界に対しても、積極的に売り込んでいく方針だ。

現在、流通業界では、トライアルカンパニーがディスカウントの組み合わせ効果などで、ヘルスケア業界では、ユニマット リタイアメント・コミュニティが被介護者の自立を支援するケアプラン作成などで、実証実験を開始しているという。

センサーやカメラを使ったAIも

一方、製造業向けAI/IoT導入支援では、IoTセンサーで収集したデータに基づく異常検知・障害予知保全サービスや、映像・画像データによる外観検査の自働化サービスなどを展開している。

製造業向けソリューションの例

電子機器事業の強みを生かしてハードウェアも開発。まさにワンストップのソリューションを提供する。

すでに自動車、化学、航空機、食品、印刷業界などで工場を中心に150社超の実績を誇る。また、自動運転の研究開発プラットフォームも展開しており、「MACNICAR」と呼ばれるAIエンジン搭載の車両を提供。データ収集・アノテーションなどの前工程も含め、AI構築のすべての工程をワンストップで支援している。

自動運転ソリューションの概要