言語系AIサービスの効果はどう測る? 導入企業が設定した"KPI"

[2019/01/10 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

活用事例とKPI - SMBC日興証券、NTT Com、フィデリティ投信

COTOHA Virtual Assistantは、NTTの日本語解析技術をベースに、AIがさまざまなシステムと連携して自動応答を行うサービスだ。チャットボットだけでなく、バックエンドシステムと連携してさまざまな処理を自動化できる。

COTOHA Virtual Assistant

SMBC日興証券では、2017年からこのサービスを使ってAIチャットサービスを開始。新規口座開設や商品紹介などをAIのオペレーター(Virtual Operater)経由でできるようにした。2018年には口座を保有する顧客かどうかを判断し、株価紹介や株価トレンド予報なども提供している。

「人間相手では聞きにくいことを質問できるためか、AIオペレーターの利用率は高いそうです。KPIとしては『回答の精度』などがあります。当初は十分でないこともありますが、取り組みを改善するサイクルを継続的に回すことで精度が向上します。結果を見て改善し続けることが、AI活用の大きなポイントです」(福田氏)

また、COTOHA Virtual Assistantは、2017年8月に開設したNTT ComのLINE公式アカウントにも搭載されている。LINEアカウントに開設した背景には、NTT Comの顧客は男性が多く、女性向けに商品を展開できていなかったことがあったという。実際に顧客からは「格安SIMって何があるのかわからない」「自分に合うプランがわからない」といった声が寄せられていた。

そこで、聞きにくい質問でも気軽に質問できるようにすること、人間のオペレーターには対応が難しい夜間に対応できること、マーケティングでファンを広げ、最終的には商品の販売につなげることなどを目指し、AIを採用するに至った。具体的には、「リス太」というキャラクターを使って、会話のなかで購入前の疑問や不安を解消し、商品をレコメンドしていく仕掛けをつくっている。KPIは「アカウントへのアクセス数」「アカウントから商品ページのリンクへの遷移」「正答数」などで、これらはAI導入後、20倍に増加。さらに、格安SIMの販売実機も4倍になったという。

「LINEは電話とWebの中間に位置するメディアだと捉えています。顧客が聞きたい順番でインラタクティブに回答が得られることが、コンバージョンレートの向上につながったのだと思っています。やりたいことをきっちりKPIとして設定し、成果を出していくことがAI導入の”ミソ”になってくると考えています」(福田氏)

現在は、マーケティングへの活用に向けて、顧客属性や商品カテゴリーなどの要素をAIで分析しているところだという。実ビジネスに役立つAIにしていくために、「OCN」を支える社内システムとAIシステムを接続し、顧客対応の迅速化などにチャレンジしていると説明した。

翻訳サービスのKPIは?

一方、翻訳サービスであるCOTOHA Translatorについては、「ルールベースの翻訳」から「ニューラルネットワークを活用した翻訳」という新しい段階に入っていることを紹介。COTOHA Translatorも、もともとは統計翻訳という方法を使っていたが、新方式に移行したことで精度が飛躍的に高まり、引き合いが急増していると説明した。

事例としては、フィデリティ投信がある。同社では、海外から届いた英語のレポートを翻訳し、日本のユーザーに届けるサービスを行っている。だが、専門用語が多く、外部に翻訳業務を委託する場合、時間とコストがかかることが課題だった。また、機密情報を確実に保護する必要があり、機密情報については翻訳しない仕組みも必要だった。

フィデリティ投信は、こうした要件を満たすサービスとしてCOTOHA Translatorを採用。結果的に翻訳スピードは約10倍に、コストも劇的に削減したという。

専門用語と専門知識が求められる翻訳業務は、社内の人間が時間を割いて実施するケースも多い。また業務がグローバル化するなかで、成果物が全社的に共有されるケースも増えている。

そこで、KPIを設定する際には、時間や金額の削減だけでなく、社員の残業が減ることによる「労働環境の向上」や、本業へ集中できることによる「業績向上」、「グローバルでの情報共有」といったところまでを視野に入れて設定していくことが重要だとした。

NTT Comが取り組むこれからの言語系AIサービス

そのほか、言語系AIの開発中のサービスの1つとして、膨大なドキュメントをそのまま学習し、必要な情報を自動抽出する「COTOHA Retrieval(仮称)」も紹介された。業務で扱う情報が膨大かつ難解になるなか、ドキュメントを探したり、読み解いたりして必要な情報を発見するのに苦労するケースが増えている。COTOHA Retrievalは、AIを使ってこれらを解消するものになるという。

福田氏は最後に、「自然言語処理をキーに、新しいサービスの開発を積極的に進めていきます。APIを使った協働の取り組みなどにも取り組んでいきます」と意気込みを語り、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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