「SNSに慣れ親しんで育った世代が社会人になり、求職者の行動が変化している。企業が出す情報も変えなければ、優秀な人材を採用できない」

10月24日、Indeed Japanが開催した「オウンドメディアリクルーティング プロジェクト」の発表会に、サイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山 哲人氏が登壇。自社の採用活動を紹介しながら、昨今の採用業界のトレンドを解説した。

Indeed Japan 代表取締役の高橋 信太郎氏(左)とサイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山 哲人氏(右)

オウンドメディアリクルーティングは、雇用のミスマッチを乗り越えるために、企業が求める人材像や企業文化、労働環境などを主体的に情報発信する採用活動。Indeed Japan 代表取締役の高橋 信太郎氏は、「Job Deiscription」「Shared Value Content」の2つが柱になると提言している。

これを受け、オウンドメディアリクルーティング、とりわけShared Value Contentの優れた例としてサイバーエージェントを紹介。考え方などを曽山氏が解説した。

求職者のトレンドは「3e」、SNSの普及が影響

曽山氏は、社員数20人で活動していたサイバーエージェント 創業1期目メンバーの一人。2005年より人事部へ異動し、代表取締役社長の藤田 晋氏が創業時より掲げてきた「人材採用に全力を尽くす」というコミットメントを支えてきた人物だ。

氏は、毎年数百名の応募者と対話する中で、採用業界のトレンドを分析している。ここ数年の求職者については、以下の単語の頭文字を取った「3e」がキーワードとして挙げられると切り出した。

  • exposure : さらけ出し
  • esteem : 承認欲求
  • emotion : 感情報酬

1つ目の「さらけ出し」とは、社内の雰囲気などがSNS等を通じて外に発信されること。業務上の功績をSNSグループでお祝いすることもあれば、「こんなことで上司から怒られた」などと不平不満が暴露されることもある。

さらに、最近では企業の職場環境に関する口コミサイトがあるうえ、「風通しの良い会社」などと企業風土を評価したランキングもある。「そうした情報を求職者が目にすることを考えると、周囲に自慢したくなるような職場環境を作ることが大事」とした。

2つ目の「承認欲求」に関しては、SNS上で「いいね!」をもらうのが当たり前になったことが影響している。若手は職場でも「いいね!」をもらいたがる傾向にある。

曽山氏は、「面接する学生がよく言うのが、『私は承認欲求強めなんです』というフレーズ」と紹介。「褒められると頑張れる、職場でも褒めて欲しい、というメッセージを出してくる学生が多い」とした。40代、50代ではとても口にできない言葉だが、「彼らは素で言っている」(曽山氏)とし、採用ページを作る前にそうした傾向を理解しなければならないと強調した。

3つ目の感情報酬は、働きがいや社会性を指す。職場を選ぶうえで、給与は重要な条件であるものの、以前に比べると重要度が下がっており、複数企業で迷った際には働きがいのある企業が選ばれる傾向が強くなっているという。