究極まで機能を削ぎ落としたIoT照明への想い - 二人三脚で挑むJavasparrow

【連載】

DMM.make AKIBAから生まれたスタートアップたち

【第5回】究極まで機能を削ぎ落としたIoT照明への想い - 二人三脚で挑むJavasparrow

[2018/09/05 08:30]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

音声通話やメッセンジャーアプリなどを通して、いつでもどこでも誰とでも連絡を取りあえるようになった昨今。便利な一方で、返信が来ないときにネガティブな気持ちになってしまったり、逆に義務感から返信を負担に思ってしまったりと、少し息苦しさを感じることもある。

こうしたなか、コミュニケーションの情報量を必要最小限にしたIoT照明「wesign」(ウィーサイン)が好評を得ている。

“コミュニケーション”がコンセプトのIoT照明「wesign」 - 片方の照明を灯けると(左側)、もう一方の底側にある小さなLEDが点灯する(右側)

wesignは、ネットワークに接続された2つで1セットとなる照明で、相手側の照明が点灯するとペアの照明も点灯するというもの。LEDの明かりが相手の”気配”となり伝わるため、遠距離恋愛中のカップルや単身赴任中の家族など、こまめに連絡をとるのは億劫だが、繋がっている安心感を得たい人たちにとってはうってつけの製品だ。

今回はwesignの製品化を手がけたJavasparrow 代表取締役の國舛 等志氏と稲田 祐介氏に、起業のきっかけや今後の展望についてお話を伺った。

Cerevo出身のデザイナーとエンジニアがタッグを組む

Javasparrowは、”たった2人のメーカー”として、エンジニアの國舛氏とデザイナーの稲田氏の二人三脚体制でWeb・アプリからハードウェア開発までを一貫して行っている。そんな2人の出会いは、国内ハードウェアスタートアップの先駆け的存在であるCerevoだった。

國舛氏は、プログラマとしてCerevoに入社し、次第にプロダクトマネージャーへと働き方を変えていった。仕事には満足していたというが、言い訳ができない環境で自分自身が考えたコンセプトを突き詰めたモノづくりがしたいという思いを抱えていた。

Javasparrow 代表取締役の國舛 等志氏

一方、家電メーカーでモノのデザインを経験後、Cerevoに入社した稲田氏は、同社でモノから画面の中のデザインまでを手がけていた。しかし、モノや画面にとらわれず、さらに自由にデザインを追求していきたいという思いが強まった。

Javasparrow 代表取締役の稲田 祐介氏

そして、お互いの意見が一致していることに気づいた國舛氏と稲田氏は、2人での起業を決意する。

2人のやりたいことを追求した製品「wesign」

自分のモノづくりへのこだわりを追求したい——そんな2人の強い思いからはじめにできた製品が、wesignだ。”繋がる”とはどういうことなのか、半年間の議論を経て、IoT照明という形に行き着いたのだという。

「たとえば、襖の向こうに人の気配があると安心しますよね。人を感じるとはどういうことなのか、またそれを嫌味なく感じられる瞬間とは……という議論を徹底的に行いました。私は美大時代に、音で人と人とがつながれるような作品を制作しており、その発展形として当初は音声でコミュニケーションを行うものを考えていましたが、本当にコミュニケーションに必要なものは何かを考え、機能をそぎ落としていったんです」(稲田氏)

IoTというとスマートフォンなどでの複雑な操作が必要となる印象があるが、wesignはスイッチをONにするだけ。機能を究極までそぎ落としたことで、これまでの間接照明と同様の使い方で相手とのつながりを実感することができるような、私たちの生活に自然になじむ製品に仕上がっている。

クラウドファウンディングにて、好きなイラストを入れられるプロジェクトも開始した(現在は終了)

試行錯誤の場としてDMM.make AKIBAをフル活用

Javasparrowは第2弾として、2018年6月に卓上USB扇風機「Javasparrowの扇風機」を発売した。自身で組み立てて利用するDIY型となっており、オフシーズンには解体して箱に収納しておくことができる。

暑くなってきたら自分で組み立てて風を感じ、夏が終われば片付けて次の夏を待つ、というストーリーで心地よい夏の涼しい空間を演出する、いわば風鈴のような位置付けの製品だ。

卓上型のUSB扇風機「Javasparrowの扇風機」

同扇風機は、電子基板の土台と真鍮でできた柱、紙の羽からなるシンプルな作りだが、羽はレーザーカッターで成形、部品は3Dプリンタで出力、土台の柄はUVプリントで印刷……といったように、DMM.make AKIBAの設備を駆使したものとなっている。

DMM.make AKIBAとはCerevo時代から関わりがあるという2人。機材の選定を行っていたこともあり、現在でもそのまま利用し続けている。

國舛氏は「普段は自宅で各々作業をしていますが、DMM.make AKIBAは、モノを持ち込んで2人で相談しながら手を動かせる試行錯誤の場として利用しています。試行錯誤をするのに機材とスタッフがここまで揃っている場所は他にありません」と評価する。

設備はもちろん、他の会社との交流の場としても良い環境なのだという。

ユーザーの声を直接聞けるからこそのモノづくりを

Javasparrowでは、アイディアから世に出して広めるところまでの各工程をほぼ2人で担っており、数十万〜数百万台という大量の商品を売る体制にはなっていない。

しかしそれは、柔軟な生産に対応できるうえ、本当に欲しいと思っているユーザーに商品が届き、その声を直接聞くことができるという意味でもある。

國舛氏は「極端な話、お弁当屋さんでも良いんです(笑)。自分たちから見えるお客様を大切にできれば満足かなって。ダイレクトに反応がわかる相手に商売がしたいという思いがベースにあって、私たちのモノづくりのスキルや経験を生かして製品を作っているというわけです」と語る。

Javasparrowが何より重視しているのは、ユーザーからの声だ。

「大きな組織ではさまざまな制約がありますが、何にも縛られていないのが自分たちの強みです。お客様からのフィードバックも生かしやすい仕組みになっています」(國舛氏)

「先日もらったwesignの修理依頼のメールは非常にうれしかったですね。お客様がwesignを落として壊してしまったそうで修理を頼まれたのですが、その中に、wesignがないと困る、早く日常を取り戻したい、と綴られていたんです。生活の一部に溶け込んでいることがわかって感激しました」(稲田氏)

目指すは、「無印良品」のような、私たちの生活に自然に溶け込む商品を生み出し続けること。小さい規模ならではの、生活に根ざしたユーザー目線の新しい商品を期待したい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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