クラウド人材管理ツール「カオナビ」を提供するカオナビ社は8月6日、HR Techサービスプラットフォーム「人材データプラットフォーム構想」を発表した。
同構想は、紙やPDF、Excelなどさまざまなかたちで社内に散在する人事データを集約し、人事マスタデータとして”使える化”しようというもの。その実現に向けた取り組みの第一弾として、2018年度内に、カオナビにデータ管理フォーマット「JOBX(ジョブエックス)フォーマット」を実装するとしている。
人事データの一元化を推進し、「さらに使えるデータ」へ
「従業員の顔と名前を一致させる」ことをコンセプトに掲げるカオナビでは、顔写真に人材データをひも付けて一元管理する。これにより、業務効率化や生産性の向上、コミュニケーションの円滑化などを実現するというものだ。
発表会に登壇したカオナビ社 代表取締役社長 柳橋仁機氏は、「(2012年の)サービス開始当初はクラウド上に人事情報を置くのは危険なのではないか、となかなか普及が進みませんでしたが、3年ほど前からその圧倒的な便利さが認められ、市民権を得てきました」と説明する。
この1~2年ほどで国内のHR Tech市場は急速な伸びを見せており、採用や勤怠管理、給与計算など人事労務関連のクラウドサービスも多数登場している。だが、それらのサービスで使用するデータ項目やフォーマットは各社各様であり、導入にあたっては社内に散在する人事データの整備が必要になることが多い。
「カオナビを導入した後、今度は外部の人事労務関連サービスと連携したいといった場合に、『どのようなデータ項目を用意すればよいのか』『これで過不足はないか』と、ユーザー企業は人事マスタデータの整備に四苦八苦しています。しかし、それらのフォーマットは大体決まっている、ということを私たちは知っています」(柳橋氏)
1,000社以上のカオナビ導入実績から得たデータ分析を基に開発されたJOBXフォーマットでは、外部の人事労務関連サービスとのAPI連携を想定したかたちでデータを保持する。例えば、職種の「エンジニア」と「技術者」など、入力者によって表現にブレが生じがちな項目を選択式で入力する仕組みにし、表記の「揺らぎ」を防ぐ。これにより、データの集計や検索精度、閲覧性が向上するとしている。
連携対象の外部サービスについてはまだ調整中だが、柳橋氏は「今は市場も伸びていて、雨後のたけのこのようにサービサーも出現しているが、そのうち離合集散が進み、主要プレイヤーとそうではないところが出てくると思う」との見解を示し、現時点では多くても4~5つほどのサービスとの連携を想定していると語った。
人材マネジメントは「入社前」から「退職後」まで
さらに柳橋氏は、「これから人材難が予想される日本の企業においては、入社時から在職中、退職後に至るまでの人材データを管理できないと、労働力が不足する」と指摘する。近年では、退職者のデータをカオナビに残しておき、将来的な再雇用の可能性を探るケースも増えているという。
同社は、入社前から退社後まで、企業が従業員との継続的な関係構築を行っていく”エンプロイジャーニー”に着目。発表会では、カオナビを中心にこのエンプロイジャーニーをサポートする追加機能として、入社者自身が入社手続きに必要な情報を直接入力し、社会保険関係の手続きを自動化するワークフローシステム、従業員が自身の履歴や職歴をスマホで登録/簡易できるアプリ、退職者の同窓会ネットワーク構築を支援するコミュニケーションツールの構想についても明らかにされた。
これらの機能は、JOBXフォーマットの実装後、順次追加していく予定だという。