富士通は11月8日、AIチャットボットを活用したコンタクトセンター向けソリューション「FUJITSU Business Application CHORDSHIP powered by Zinrai」(CHORDSHIP)を発表した。

AIチャットボットを活用したコンタクトセンター向け「CHORDSHIP」

執行役員常務 デジタルフロントビジネスグループ グループ長の宮田一雄氏

富士通のAI技術「Human Centric AI Zinrai」(Zinrai)を使って、従来のAIチャットボットでは難しかった教師データが少ないケースでも精度の高い回答ができるようにした。また、富士通がこれまで提供してきたコールセンター事業のノウハウを生かし、導入コンサルサービスや運用支援サービスをワンストップで提供。さらに、AIチャットボットとオペレータを柔軟に組み合わせることで、顧客に対するきめ細かな対応をできるようにした。

発表にあたり、執行役員常務 デジタルフロントビジネスグループ グループ長の宮田一雄氏は、「デジタル化に取り組むユーザー企業の悩みの1つはスキルやノウハウが不足していること。この課題を解決するために富士通ではKnowledge Integration in Actionというコンセプトでデジタル時代に求められる人材の育成や専門組織の立ち上げを支援してきました。そして、デジタルイノベーションの実現に向けてデジタルソリューションを体系化しました。今回は、その第一弾となる顧客関係のデジタル化領域でのソリューション提供となります」と説明した。

執行役員 デジタルフロントビジネスグループ 副グループ長の今田和雄氏

CHORDSHIPは、顧客接点の高度化を支援するコンタクトセンター向けソリューションだ。CHORDSHIPを提供する意図について、執行役員 デジタルフロントビジネスグループ 副グループ長の今田和雄氏は「コンタクトセンターは消費者の価値基準が多様化し顧客接点力の強化が急務になるなか、採用難、離職増といった人材不足が深刻な状況です。AIなどの先進ICTを活用して顧客との新しい関係性構築に取り組むことが求められています」と説明した。

ハイブリッド型の正答率は87%

コンタクトセンターではAIチャットボットの適用が進んでいるという。だが、コールセンターの現場では教師データが少なく、ディープラーニングを実践しても回答精度は50%程度だという。精度を上げためには膨大な教師データが必要になるが、そこまでのデータを集めるのは膨大な時間がかかり現実的ではない。

そこで、富士通では、少量の教師データでも回答精度を高くできるAIの開発に取り組んだ。それがCHORDSHIPに組み込まれているチャットボット「FUJITSU Business Application CHORDSHIP Digital Agent」(Digital Agent)だという。

「Digital Agentはルールベース型対話制御と機械学習を組み合わせたハイブリッド型です。FAQなどの既存のデータだけで運用開始できます。お客様が使う言葉のゆらぎを吸収する辞書を自動生成するために機械学習を利用することで、正答率の精度を上げています」(今田氏)

同社の検証では、深層学習を利用した他社のAIチャットボットが40%台の正答率だったところ、ハイブリッド型のDigital Agentは87%の正答率だったという。今田氏は、AIチャットボット以外のCHORDSHIPの特徴として、コンサルから導入・稼働支援、センター運用までをトータルサービスで提供できること、AIチャットボットと有人のハイブリッド型で運用することを挙げた。

AIチャットボットと有人のハイブリッド運用