ドローンのポテンシャル - メーカーやキャリア、ユーザー企業はこう見る

「ドローンを活用しよう」という話題が聞かれる昨今、波に乗り遅れまいと、さまざまな企業が活用を目指して実証実験を行っています。しかし、「波に乗る」ことが目的になっていないでしょうか?

法規制や現在のドローンのスペック、将来的な可能性、自社事業へのインパクトなど、本当にその事業にドローンが必要なのか、精査できているのでしょうか?

実際にドローンをサービス内で活用しているセコムとコマツ、LTEを活用したセルラードローンの実現を目指す携帯キャリア3社、実際にドローンを提供するDJIとACSL、業界団体のJUIDA、担当官庁の一つである国土交通省に、石川 温氏と中山 智氏が話を伺いました。

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IoT分野に積極的な投資を続けているソフトバンク。これまで、ドローンに対する投資活動はあまり表立っていなかったが、ここにきて同社の方向性が見えてきた。ソフトバンクは日本市場よりも大きな可能性がある「海外での展開」を視野に入れているのだ。

企業コラボプログラムで採択した企画すべてが「ドローン」に

4月7日、ソフトバンクが1枚のリリースを出した。ソフトバンクでは革新的なソリューションや技術を持つ企業と同社のリソースを組み合わせて新たな事業を模索する「SoftBank Innovation Program」という取り組みを行っている。その第2回の選考に選ばれた企業がいずれもドローン関連のものだったのだ(関連記事 : フィンテック、VR、ドローン…ソフトバンクが求めるビジネスパートナーとは)。

第2回はスマートホームやコネクテッドビークル、VR/AR/MR、ヘルスケア、フィンテックなど幅広い分野で企業を募集していたが、最終的に残ったのが実は3つともドローン関連だった。ということは、ソフトバンクは他の分野以上にいま、ドローンに会社として注力しているということなのか。

同社 パートナー事業推進室 イノベーション推進課 課長の原 勲氏は「世間的にそう見えてしまうかもしれないが、これは結果としてたまたまドローンだけが残ったということ。ほかの分野では日本では実現が難しい企画があったりしたというのが正直なところ」と話す。

ソフトバンク パートナー事業推進室 イノベーション推進課 課長 原 勲氏

実際のところ、ソフトバンクのドローンにおけるスタンスはとても冷静だ。

「ドローンに通信機能を載せる上で、実験ベースではなく商用として免許もらえるのが2018年度ぐらいになるのが、いまの総務省のスケジュール感といえる。キャリアが展開してシナジーが得られるのはそこからになりそう。そのための知見を遅ればせながら積んでいこうとしている。実際のところ、飛ばせる場所の制約もあり、日本でドローンが大きな市場になる感覚はいまのところない」(原氏)

「日本では大きな市場がない」と感じているにもかかわらず、ソフトバンクがドローンに取り組むのはなぜなのか。これについて原氏は、グローバルに目を向ければ市場は大きく、ドローンの可能性を見いだせると説く。「ニーズは世界的に共通的なところも多いため、グローバル展開がしやすいのではと思う」(原氏)。