VRとAR、Googleはなぜ取り組むのか

[2016/12/03 08:00]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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グーグルは12月1日、VRとARに関する記者説明会を開催した。

HTC ViveによるTilt Brushの実演や、国内で初めてGoogle Pixelを用いたDaydreamの解説が行われた説明会には、米GoogleでVRパートナーシップのグローバルリードを務めるアーロン・ルーバー氏が登壇した。

Tilt Brushのデモンストレーションの様子

同氏によると、GoogleのVRやARにおける取り組みは、「世界中の情報を整理し、誰もがアクセスできるようにする」という同社のミッションに則ったものだという。唯一異なる点は「インフォメーション(情報)がエクスペリエンス(体験)に変わること」(ルーバー氏)。

ARやVRは、ユーザーが現実と仮想空間を重ね合わせたり、全くの別次元に飛べる”体験”が出来ることから、この技術をプラットフォームとして提供することで「Google検索」と同様の価値を提供しようというのが狙いだ。「エンターテインメントやゲーム、教育といったジャンルの話ではなく、情報技術がVRやARの方向に向かっていると感じている。だから私たちは、モバイルデバイスにこの技術をデリバリーする」(ルーバー氏)。

この説明会でグーグルは「Daydream」と「Tango」「Tilt Brush」の3製品について説明。DaydreamはVRプラットフォーム、TangoはARプラットフォーム、Tilt Brushは3D空間で絵を描くことができるHTC Vive向けアプリケーションとなる。

来年には普及が始まるVRプラットフォーム「Daydream」

米Google VRパートナーシップ グローバルリード アーロン・ルーバー氏

Daydreamは、Google Pixel(日本発売は未定)がファーストロンチ製品となっており、ほかにもサムスンやHTC、LG、Huawei、Asusなどが対応製品の提供を予定している。DaydreamでVRを体験するには対応スマホとヘッドセットが必要で、ヘッドセットにはコントローラーが付属する。

既存のVRはアプリケーションベースでVRの最適化を図っているのに対し、OSのAndroid N(7.0)から手を加えることで高品位なVR体験を提供する。

「スマートフォンは常にさまざまなアプリのタスクがマルチに動作している。Android Nでは、VR機能を利用する際に不必要なタスクを消すことで、(VR酔いに直結する)レイテンシの軽減やパフォーマンス改善を図っている」(ルーバー氏)

また、ハードウェアのヘッドセットとコントローラーにも細かい気配りが施されている。もともとGoogleは、2014年に安価なVR体験が可能となる「Google Cardboard」をGoogle I/Oでリリース。このプロジェクトは、同社のいわゆる「20%ルール」で始まったもので、ダンボールで製作したCardboardをラリー・ペイジに見せたところ「I/Oまでに(6週間で)1万5000個を作れ」(ルーバー氏)と言われたそうだ。

Google Cardboardの試作品

3名で始めたプロジェクトはその直後に30名までメンバーが拡大、I/Oでの披露にこぎつけた。公表後はオープンソース化してサードパーティもCardboard準拠の製作が可能となり、日本のハコスコなどが実際に製品を制作している。

「これらのVRヘッドセットは500万個以上も出荷されている上、ニューヨーク・タイムズの定期購読者100万名に配布したケース、それらを友人などに紹介する間接的なリーチも含めると数倍~10倍のユーザーがVRに触れている。世界最大のVRプラットフォームと言ってもいい」(ルーバー氏)

こうして得たナレッジを活かしたものがDaydreamのヘッドセットだ。カードボードで不満があった「ストラップ」や「頭へのフィット感」を改良しており、「ウェアラブルデバイスとして付け心地を重視したものがDaydreamヘッドセットだ」とはルーバー氏の弁。例えば、一般的にVRヘッドセットはプラスチック製のものが多いが、Daydreamヘッドセットはシャツにも使われる素材を用いている。

またCardboardではストラップがなく、VRの操作を行うには入力方法が1つしかなかった。

「Daydreamでは、ストラップを用意して頭につけることで手が開放される。これにコントローラーを用意することでさまざまな操作が可能になる。センサーとタッチパッド、ボタンによって、野球のスイングや釣り竿の引く、押すといった行動がコントローラーで再現できる」(ルーバー氏)

Daydreamのヘッドセット

コントローラーを持つルーバー氏

では、こうしたVR製品がどのようにビジネスに活きてくるのか。現状は、Oculus LiftやHTC ViveなどのPCを用いた高品位なVRソリューションを展開しようとするエンタープライズ向け製品が見られるが(関連記事:野球の練習をVRで - NTTデータが楽天と協力して見つけた「課題」と「成果」)、ルーバー氏によればモバイルデバイスにおいても「パフォーマンスは今後、どんどん改善していく」ことから、そうした分野でもソリューションが登場する時期はそう遠くないそうだ。普及する要素の1つとして挙げられたのが直前に触れた「コントローラー」。

「手元が空くことがVRには重要で、実際に『触って』『動かせる』という要素が大事。これを実現するために、私たちはコントローラーを追加した。(ビジネスでVRが普及する分野は?との問に)ただ、早晩普及するのは、旅行や不動産、ファッション領域だろう。なぜならVRという仮想空間で『普段行けない場所』『普段体験できないコト』を体験できることが重要・有効になる。普段行けない場所の体験であれば、たとえコントローラーがなくとも没入感が得られるはずだ」(ルーバー氏)

こう話したルーバー氏は、何よりもコンテンツ作りが重要と語っていた。一部では「GoogleがFacebookやAppleに勝つためにコンテンツを必要としている」との声もあるものの、Facebookや各コンテンツプロバイダーの取材の中で聞こえてくる声は「VR普及のために、プラットフォーム間の競争ではなく、手を取り合ってVR市場を盛り上げる」というものだ。ゲーム業界においてもPlayStation VRとOculus Lift、HTC Viveにまたがってコンテンツを提供する企業は数知れず、この指摘は見当違いという印象を受ける。

なお、この日にデモンストレーションが行われたDaydreamとスマートフォンの「Google Pixel」は、来年中に日本で発売する可能性があることをルーバー氏は示唆していた。

Google Pixelを披露するルーバー氏

YouTubeなどのGoogle製アプリもDaydreamへの最適化が図られている

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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