ドコモが開発した駐車場版Uber、目標は「自動運転との融合」

[2016/06/08 14:22]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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NTTドコモが6月6日に発表した「docomoスマートパーキングシステム」は、都心を中心とした駐車場不足を解消する目的で開発された。将来的には自動運転とのコラボレーションも見据えたシステムの展望について、NTTドコモ イノベーション統括部 企業連携担当 担当課長の岡本 健志氏に話を伺った。

NTTドコモ イノベーション統括部 企業連携担当 担当課長 岡本 健志氏(中央)とチームメンバー

docomoスマートパーキングシステムは、コインパーキングの初期投資を大幅に削減できるソリューションとして開発された。6月13日から2017年3月31日まで、駐車場サービスを手がけるコインパークとシェアリングサービスの協力のもと、プレステージ・インターナショナルとプレミアムモバイルソリューションが運営する保守・運用サービスと組み合わせて実証実験を行う。

このシステムは担当課長である岡本氏が、経験に基づいて発案したものだ。岡本氏は実家が駐車場サービスを手がけており、「駐車場事業における課題は以前から把握していた」(岡本氏)そうだ。その一つが、「イニシャルコストの高さ」だった。

「時間貸し駐車場は無人でサービスを提供する場合、フラップ板のロック方式を採用すると、いったんアスファルトで地面を固めたあと、電線を地中に埋めるために一部を削り、機械を設置してと、単純そうに見える構造であってもかなりの労力がかかります。長い場合には工期が半年かかるケースもあり、コストも膨大になります。

数十台の車を収容可能な規模の駐車場であれば投資回収期間は短くなりますが、2、3台の土地であれば、その期間は18カ月と長い期間になってしまいます。そうなると、次の建物を建てるまでの更地化で、駐車場設置によるマネタイズを考えていた地主さんも、躊躇してしまう。スマートパーキングシステムは、そうした課題を解決すべく開発し、投資回収期間が1/3となる6カ月になるようにコストターゲットを設定しました」(岡本氏)

クラウド活用で他事業者連携も

システムは、「スマートパーキングセンサー」と「ゲートウェイ」「駐車場管理サーバー」「駐車場予約アプリ」から成り立つ。駐車場に設置する機材はセンサーとゲートウェイの2点のみで、設置工事も最短1日で済む。センサーは、アスファルトにはめ込むアンカーか、砂利で運用する駐車場向けのペグの穴も設けており、駐車場に合わせた対応が可能となる。

スマートパーキングセンサー。重量は1kg弱といった印象で非常に軽く、片手で持てる

センサーの裏面

アンカー(角のビス)やペグ(側面の2つ穴)で敷設する

センサーには、ループコイルとゲートウェイへセンサー情報を送信する無線モジュールが搭載されている。無線規格はZigBeeを採用して消費電力を抑えているため、センサーはバッテリー駆動で2年半保つ上、最大5年までの目処が立っているという。将来的には、センサーそれぞれにセルラーモジュールの搭載も検討しているとしており、標準化が間近となっているIoTデバイス向け規格の「LTE Cat.0」なども候補となっているようだ。

一方で車の停車状況は、ループコイルによって磁界の変化を検知し、把握する。コイルで金属が近くに寄ってきたかどうかを感知するため、自転車などが近くに寄っても磁界の変化は起こるが、同社の特許技術によって車と異物の見極めが可能となっている。自動車の入出庫を磁界の変化で検知するため、フラップ板を設置せずとも車が停まっているかどうか、分単位で把握できる。

磁界の変化で車の入出庫を検知

センサー情報については、ZigBeeを通してゲートウェイへ流れ、そこからドコモのネットワーク網を通じてクラウドサーバーへと送信される。ゲートウェイでは、センサーが正常に稼働しているかを定期的にチェックする機能を備えており、例えばセンサーを破壊、もしくは設置場所から外された際にはアラートをサーバーへ送信する。

ゲートウェイもバッテリーで駆動する。デモで用意されたものはティッシュ箱程度の大きさだったが、実証実験ではスーパーの買い物カゴ程度の大きさになるそうだ。将来的には、センサーから直接クラウドへデータを送信する構想もある

なお、サーバーでは、車室の満空情報を管理するほか、同システムを採用していない駐車場サービス事業者や駐車場情報を取り扱うWebサービス事業者などとのAPI連携で、満空情報の提供を行う。駐車場に関連するデータの多くを取り扱っており、駐車場予約アプリも用意しているため、自社アプリを製作できない中堅中小の駐車場サービス事業者にとってはシステムの活用メリットが大きいと言える。

サービス利用の流れ

ユーザーにはわかりやすさを

このシステムのメリットは、イニシャルコストの削減だけでなく、ランニングコストの低廉化にも繋がると岡本氏は話す。

「駐車場は更地に小さな機材を置いているだけと思われがちですが、意外にランニングコストがかかります。事前精算機の釣り銭補充やレシート交換、フラップ板の故障対応や破損時の保険、警備、清掃など、やらなくてはいけないことが多い。もちろん、全部がなくせるわけではありませんが、駆動系の機械はありませんし、支払いもクレジットカードやケータイ支払いなどでできるため、釣り銭補充・売上回収の必要もありません」(岡本氏)

駐車場予約アプリを用意しているため、クレジットカードを登録するだけで支払いが行える。電子マネー支払いなどは「機械の問題もあるし、事業者さんの要望によって用意するかどうか検討している」とのこと。実証実験の段階では、「一番『未来が見える』やり方を事業者さんに提示したかった」としており、ユーザー動向を見極めてから運用するそうだ。

もちろん、事業者側だけでなく、ユーザーメリットも存在する。簡素なシステムながら分単位で車の入出庫状況が把握できるため、分単位での課金を念頭にアプリ開発を行った。もちろん、事業者側としては現状の10分~30分単位という課金の方が事業としてメリットが大きいものの「私たちとしてはユーザー目線での使いやすさを重視して分単位のシステムを用意した」(岡本氏)と、あくまでユーザー視点でのメリットを訴求することで、ユーザーに選ばれるサービスを提供すべきというスタンスのようだ。

また、アプリでは「目的地に到着してから、駐車場を探す」というユーザーの利用状況を踏まえ、10分前から近隣の駐車場を予約できる機能を用意した。

「ユーザーインタビューで『目視で駐車場を探す』という言葉を多く耳にしました。もちろん、遠出の際などに前日に1日借りなどの予約をするケースもあるかと思いますが、特に都心などではそうしたニーズは少ない。目的地周辺に着いてから近くの駐車場を探して満空情報を確認してパッと無料予約できれば、地図でおおよその目的地と駐車場の位置関係も把握できますし、使い勝手も良いと思っています」(岡本氏)

目的地周辺に到着後、マップで現在位置と近所の駐車場を確認できる

直前予約は無料だ

分単位で課金できるシステムを用意。何分停めているかアプリでわかりやすく確認できる。なお、入庫時にチェックイン作業が必要だが、将来的にはビーコンなどを活用して自動化も検討している

出庫すると自動で課金されるため、事前精算の必要がない

>>駐車場版Uberの将来は「自動運転システムとのコラボ」にあり

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