Niantic Head of Marketing, APAC 須賀健人氏

2016年7月に登場し、日本でも爆発的なヒットを記録したスマホゲームアプリ『Pokémon GO(ポケモン GO)』。

Googleのエイプリルフール企画が開発のきっかけとなった、というエピソードはよく知られており、現在の開発元であるNiantic, Inc.(Niantic)にとっても、エイプリルフールは思い出深く大切なものだという。

今年のエイプリルフールでNianticは、ポケモン GOの「ポケモンずかん」で表現されるキャラクターたちがすべてドット絵になるという企画を実施した。

原作からのファンにとっては懐かしさが感じられるものであり、また原作を知らないユーザーからも”かわいい”などと評判だった。

本稿では、この企画の担当者の一人であり、またポケモン GO誕生のきっかけとなるエイプリルフール企画にも関わっていたというNiantic Head of Marketing, APAC 須賀健人氏にお話を伺った。

Google時代からエイプリルフール企画に参画

―― はじめに、須賀さんの経歴と普段の業務内容を教えてください。

Nianticに入る前は、GoogleでAndroidやGoogle Play、NEXUSなどのマーケティングのほか、Nianticの前身であるGoogleの社内スタートアップ「Niantic Labs」のアジア地域のマーケティングを担当していました。

GoogleからNiantic Labsが独立するタイミングで、現在のCEO ジョン・ハンケをはじめとするメンバーと共にNianticへ移ってきたというのが私の経歴です。

今は、Nianticでアジア地域のマーケティングおよび広報を担当しているほか、今年からはポケモン GOのグローバルのマーケティングも受け持っています。

―― Googleに在籍されていたころからエイプリルフール企画に携われていたのですか?

はい、そうです。エイプリルフールを盛り上げようという風土が各IT企業にあるなかで、Googleはかなり中心的な役割を果たしてきました。

特にGoogleやNianticは、具体的な製品のプロモーションを意識しているわけではなく、単純に利用者の皆さんに楽しんでもらうことをエイプリルフールの目的としています。

マーケティング部門やプロダクト部門などが一緒になって皆さんにおもしろいと思ってもらえる企画を考えるというのが、GoogleとNiantic共通の文化ですね。

―― Googleではどのようなエイプリルフール企画に参加されましたか?

初めに参加したのは、ファミリーコンピュータでGoogleマップが利用できるという 「ファミコン版 Googleマップ 8ビット」の企画でした。これがポケモン GOのディレクターでもあるNiantic 野村達雄との出会いです。

彼とオフィス内で偶然会ったときに、パソコンの画面におもしろそうなものが映っていたんです。話を聞くと、「これをエイプリルフールにリリースしたい」と。そのときに、ぜひマーケティングを担当させてほしいとお願いしました。

―― それがGoogleマップ 8ビットだったということですね。ポケモン GOも、もともとはGoogleのエイプリルフール企画「ポケモンチャレンジ」がきっかけになっていますよね。ポケモンチャレンジの企画にも関わっていたのですか?

ポケモンチャレンジは、Googleマップ 8ビットから2年後の企画ですね。

エイプリルフール企画はボランティアプロジェクトで、社内から特別な評価が得られるわけではないため、実は当時、そろそろ身を引こうかな……と思っていたところでした(笑)。

そんな矢先、ポケモン社に知り合いがいる社員を探しているというメールがGoogle社内で回ってきたんです。たまたま私の友人がポケモン社に在籍していたのでこのメールに返信したら、CCに野村達雄が入っていて……運命を感じましたね。

その後、ポケモン社と共にポケモンチャレンジをエイプリルフールにリリースしました。これが現在のポケモン GOに繋がっていったというわけです。Nianticにとっても私にとっても、エイプリルフールは非常に思い出深いものです。