いきなり話が飛ぶが、今回から何回かに分けて、IIS(Internet Information Service)について取り上げる。まず今回は、ASP(Active Server Pages)やASP.NETやPHPを使わない、静的なコンテンツだけを使用するWebサーバの構成について取り上げよう。

Windows Server 2012はIISバージョン8(以下IIS8)を装備する。静的コンテンツ用のWebサーバであれば、IIS8をインストールする際に、規定のインストールによって必要なコンポーネントが揃うようになっている。これにより、HTML文書と画像データの提供に加えて、ディレクトリ参照、ログ記録、匿名認証が可能になる。

Webサーバのインストール

IIS8のインストール方法はいくつかあるが、ここではWindowsのGUIを使用する方法について解説する。これ以外ではコマンドラインを使用する方法もあるが、本連載の趣旨を勘案して割愛する。

  1. [サーバーマネージャー]で[ダッシュボード]を選択してから、[クイックスタート]以下にある[役割と機能の追加]をクリックする。
  2. IISを使用するには、役割と機能の追加作業が必要

  3. [役割と機能の追加ウィザード]が起動する。

  4. 2 画面目の[インストールの種類の選択]画面で、[役割ベースまたは機能ベースのインストール]を選択して、[次へ]をクリックする。

  5. 次の[インストール先サーバーの選択]画面で、[サーバー プールからサーバーを選択する]を選択する。次に、[サーバー プール]以下の一覧でコンピュータの名前(通常は操作中のコンピュータだろう)を選択して、[次へ]をクリックする。

  6. 次の[サーバーの役割の選択]画面で、[Webサーバー(IIS)]チェックボックスをオンにする。すると、依存関係にあるツールを表示するダイアログが現れる。管理ツールもインストールしておきたいので、[管理ツールを含める(存在する場合)]チェックボックスをオンにしてから[機能の追加]をクリックする。

  7. [Webサーバー(IIS)]チェックボックスをオンにする

    すると、依存関係にあるツールを表示するダイアログが現れるので、[機能の追加]をクリック

  8. 元の画面に戻ったら、[Webサーバー(IIS)]チェックボックスがオンになっているのを確認して、[次へ]をクリックする。

  9. 次の[機能の選択]では、必要な機能を最初から選択した状態になっている。そのまま[次へ]をクリックする。

  10. 次の[Webサーバーの役割(IIS)]画面では、そのまま[次へ]をクリックする。

  11. 次の[役割サービスの選択]画面では、必要な役割サービスを最初から選択した状態になっている。そのまま[次へ]をクリックする。

  12. 次の[インストール オプションの確認]画面で、選択した内容を確認してから、[インストール]をクリックする。

  13. 最後に、[インストールの進行状況]画面で、必要な役割と役割サービスのインストールが行われたことを確認して、[閉じる]をクリックする。

これでIIS8のインストールはできる。正常にインストールできたかどうかを確認するには、Webブラウザを起動して、アドレスバーに「http://localhost」と入力して[Enter]キーを押せばよい。それで既定の[ようこそ]ページが現れれば、インストールは成功している。

Webサイトの追加

IISには「Webサイト」という言葉がある。一般的にいうところの「Webサイト」とは意味が異なる点に注意したい(以下で「Webサイト」といった場合、特記がなければIIS用語の「Webサイト」を指す)。

通常はWebサーバ1台につき、ひとつのWebサイトがあればよい。しかし、同じWebサーバでSSL(Secure Socket Layer)を使用するコンテンツと使用しないコンテンツを混在させるとか、宛先ポート番号が異なる複数のWebコンテンツを混在させるとかいった場面では、複数のWebサイトを用意する必要がある。

Webサイトを追加する際の手順は以下の通りである。

  1. [サーバー マネージャー]で、[ツール]メニューから[インターネット インフォメーション サービス(IIS)マネージャー]管理ツールを実行する。

  2. [接続]ウィンドウのツリー画面にある[サイト]ノードを選択する。続いて、[操作]画面の[Webサイトの追加]、あるいは右クリックして[Web サイトの追加]を選択する。

  3. [サイト]を選択して、Webサイトの追加を指示する

  4. [Webサイトの追加]ダイアログが現れるので、[サイト名]にWebサイトの名前を入力する。用途や名前が分かるような名前をつけるようにしたい。

  5. [物理パス]では、作成するWebサイトに対応するコンテンツを配置するフォルダのパスを指定する。手作業で物理パスを入力する方法に加えて、参照ボタン([...])をクリックしてダイアログで指定する方法もある。

  6. [種類]の一覧で、Webサイトのプロトコルに関する指定を行う。既定では[すべて未割り当て]に設定するが、[IPアドレス]で明示的にIPアドレスを指定することもできる。[ポート]は宛先ポート番号を入力するものだが、Webサイトがひとつしかない場合には既定値(80)で用が足りる。ひとつのサーバに複数のWebサイトを設置する場合、識別のためにそれぞれ異なるポート番号を指定する必要がある。

  7. サイト名、コンテンツ配置場所の物理パス、バインドの指定を行う

    物理パスは参照ボタンによるツリー画面からの選択も可能。また、ここでフォルダの新規作成も可能なのは通例通り

  8. [Webサイトを直ちに開始する]チェックボックスをオンにして[OK]をクリックすると、いま設定したWebサイトがただちに稼働を開始する。

「4.」のパス指定では、別のサーバで公開している共有フォルダを指定することもできる。ただしその場合、[接続]をクリックして、その共有フォルダにアクセスする許可を持つユーザーアカウントの資格情報を指定する必要がある。そこで特定の資格情報を使用しない場合には、[接続]ダイアログで[アプリケーション ユーザー (パススルー認証)]を選択する。

なお、ASP.NETを使用する場合には、アプリケーションプールの選択が必要になるかもしれない。その場合、「3.」~「5.」で使用するダイアログで、[選択]をクリックする。すると[アプリケーション プールの選択]ダイアログが現れるので、そこで既存のアプリケーションプール一覧から使用するものを選択できる。使用するアプリケーションプールを選択して[OK]をクリックすると、その結果は元のダイアログの[アプリケーション プール]に現れる。