これからのエンタープライズモバイルはどうなっていくのか?

【連載】

エンタープライズモバイル活用指南

【第10回】これからのエンタープライズモバイルはどうなっていくのか?

[2016/08/01 09:45]早津俊秀 ブックマーク ブックマーク

業務アプリケーション

連載目次

本連載では「エンタープライズ活用指南」ということで、企業におけるスマートデバイス・アプリの活用方法やその実現方法、注意点、システム部門としての役割などを解説してきました。

最終回となる今回は、最近のトレンドを踏まえ、今後考えられるエンタープライズモバイルの新しい方向性について説明したいと思います。

事例に見るエンタープライズモバイルの未来

IoTなど、新しい技術やソリューションを企業が活用する際には、何らかのかたちでスマートデバイスが使われているケースが多く見られます。今後のエンタープライズモバイルは、そういった新しいソリューションと密接に関わったかたちでの活用が多くなることが予想されます。

以降では、最近筆者が実際に関わった、新しいエンタープライズモバイルの世界を垣間見せてくれる事例を2つご紹介しましょう。

IoTソリューションをタブレットから活用する

1つ目にご紹介するのは、家庭に最低1台はあるような機器の修理サポートに関するソリューションです。

同ソリューションでは、機器の内部のセンサーデータを収集しており、サポートセンターに問い合わせがあった際にはそのデータを確認します。そして、サポートが必要な場合には、担当者がタブレットを持って現地に向かうという仕組みです。

この例では、顧客情報やセンサーデータ、過去の修理履歴、センサーデータ履歴を確認する作業や、修理時に動画マニュアル・PDFマニュアルを表示するといった目的でタブレットを使っています。これは、第2回で解説した「フィールドワーク業務」に当たります。

タブレット側の設計を検討する上でIoTを部分を意識することはあまりありませんでしたが、全てのデータをそのまま扱おうとするとデータ量が非常に多くなるため、タブレットの使い勝手を考えて、どのタイミングでどのくらいのデータをタブレットに持たせるかという点が重要な設計ポイントとなりました。

IoTソリューションをタブレットから活用する仕組みの例

IoTソリューションのデータをスマートデバイスから送信する

2つ目は、スマートデバイスからセンサーの付いた機器を操作したり、発生したセンサーデータをサーバにアップしたりするタイプのソリューションです。スマートデバイスが、操作パネルの役割と通信デバイスの役割を兼ねているようなモデルになります。

もともと、タッチパネル式の操作パネルが付いていた機器にセンサーが付き、そのセンサーデータを活用するという例は非常に多くあるようです。この場合、機器のAPIがWeb系の技術ではない場合がほとんどなので、Web系の開発経験しかないエンジニアにとってはハードルが高くなる傾向があります。実は、ここ1年ほどで筆者が関わっている案件は、このタイプが非常に多くなっています。

IoTソリューションのデータをスマートデバイスから送信する仕組みの例

これを拡張して考えると、例えば、タクシーの競合として話題のUberもこのパターンを活用してビジネスを急拡大している例だと言えるでしょう。

これまで、タクシーの車体には絶対に料金を計算・表示する機器が必要でした。クレジットカードのリーダーや、領収書の出力プリンタも必須だったはずです。しかし、Uberではそれらの機器は全て無く、Uberから配布されているiPhoneが1台あるだけです。そのiPhoneに顧客からのCall情報や位置情報が表示され、乗車後はiPhoneのGPS情報がUberのサーバにアップされて経路や料金が計算されます。決済は顧客側のアプリで完了しますし、領収書については代わりとなるメールが顧客に届きます。

Uberの場合は、車体とスマートデバイスの接続や通信はないため、非常にシンプルな構成です。操作のための機器とデータをサーバに上げるための機器をスマートデバイス1台で行えるようになったことで、さまざまな可能性が広がります。

情報システム部門はデジタルサービス分野にも目を向けよ!

上述したようなパターンの案件は、今後も増えていくと考えられます。危惧すべき点としては、こうした新しいソリューションには製品開発の部門などが中心に取り組んでいて、情報システム部門が関わっていないというケースが多々あることです。

しかし、前回も触れましたが、情報システム部門が関与せず、製品開発部門が独自に顧客データを集めてサービスを開始したためにデータが分散してしまい、後から統合するのに苦労している例などもあります。自社の基幹システムの中に既にあるデータをプラスすることで、より付加価値の高いサービスを実現できることもあるでしょう。

情報システム部門は、いわゆる「デジタルサービス」と言われている分野にも、積極的に要員をシフトすべきときなのです。

* * *

本連載では、エンタープライズモバイルの活用について解説してきました。企業におけるスマートデバイス活用はこれからが本番です。スマートデバイスは、企業の新しいサービス・ソリューションにとって「キーデバイス」となります。情報システム部門の方は、この大きな流れを自身の付加価値向上の機会と捉え、積極的に推進していってください。

早津 俊秀
企業のUX・モバイル活用の専門企業であるNCデザイン&コンサルティング株式会社を2011年に起業。 ITアーキテクチャの専門家とビジネススクールや国立大学法人等、非IT分野の講師経験をミックスして、ビジネス戦略からITによる実現までをトータルに支援できることを強みとする。

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https://news.mynavi.jp/itsearch/2016/08/01/EM10_001.jpg
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