関西学院大学と日本IBMは4月27日、オンラインによる記者説明会を開き、共同開発した「AI活用人材育成プログラム バーチャルラーニング版(VL版)」を7月から企業や自治体、大学に対し、有償による提供を開始すると明らかにした。
AI人材育成投資の必要性
両者は、2017年にAIに関する共同プロジェクトを立ち上げ、2019年4月からプロジェクトの成果としてAI活用人材育成プログラムを同大の全学部生を対象に開講し、延べ1500人が受講している。
関西学院大学 学長の村田治氏は「日本の労働生産性はOECDの中で20~21位となっており、1990年に米国でIT革命が起こり、米国は生産性を向上したが、日本は2000年代にIT革命を進めたが軌道に乗らなかった。米国で成功した要因としては、IT投資・研究開発投資に伴う人材開発が功を奏した。昨今では、AI、DXの時代と言われているものの、AIは多様なレベルがあり、ITの延長線上にあることから日本がIT革命で成し遂げなかった人材育成投資の失敗がAIでも繰り返されると、AIの革命もうまくいかない可能性がある。そのことを前提に人材投資に取り組む必要があると考えたため、プログラムの提供を開始する」と説明した。
また、日本IBM 専務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部長の加藤洋氏は「IBMは関西学院大学に対して、ビジネス、テクノロジー、コンサルシステム開発においてサポートした」と話す。
ビジネス面では、IBMがこれまで培ってきたプロジェクト、メソドロジーを組み込み、同大が持つ学問と融合することで実践的なプログラムとなっている。また、テクノロジー面では、IBM Watson Assistantを用いてチャットボットを活用できるほか、コンサルシステム開発に関しては一気通貫で提供したという。
加藤氏は「今後は学習レコメンデーションなど当社の技術活用による仕組みの高度化や、イベント・ホームページなどでの積極的な紹介などのマーケティング、最新の知見を継続的に反映し、AI活用人材育成への一層の貢献を図る」と力を込めていた。