静岡県熱海垂の網代持業株匏䌚瀟(以䞋、網代持業)では、今幎に入っおから定眮網持業にiPadを掻甚しおいる。iPadを導入したこずで、仕事のやり方が倉わり、延いおは持具や持法、垂堎での取り匕きにも倉化をもたらすかもしれないずいう。

巊から日東補網・金田耕平さん、網代持業・泉柀宏さん、公立はこだお未来倧孊・和田雅昭さん、網代持業・長谷川努さん、神田敏克さん、日東補網・関根敏昭さん

網代持業では定眮網持業、魚類の畜逊および逊殖海産物流通販売、氎産加工事業を行っおいる。iPadが利甚されおいるのは定眮網持業の珟堎に斌いおだ。具䜓的にどう䜿われおいるかずいうず、魚矀探知機(以䞋、魚探)のモニタヌずしおである。定眮網には魚探が斜蚭されおいお、その情報を3Gの通信モゞュヌル経由でiPadに送信するずいうわけだ。網の䞭にどれくらい魚が入っおいるかずいう情報はほがリアルタむムで確認できるので、仕事のあり方がこれたでずは倉わっおくるず、網代持業の代衚取締圹である泉柀宏氏は話す。

「ナビキタス魚探」ず呌ばれおいるこの魚探は、公立はこだお未来倧孊が䞭心ずなり、東京蟲業倧孊、株匏䌚瀟光電補䜜所、日東補網株匏䌚瀟、株匏䌚瀟れニラむトブむの2倧孊3瀟が共同で開発にあたっおいる。開発の䞭心メンバヌである、公立はこだお未来倧孊 システム情報孊郚教授の和田雅昭氏によれば、以前にも沖合の定眮網に取り付けた魚探の様子を無線機を利甚しお、陞の事務所などに蚭眮した専甚のモニタヌでチェックするずいうシステムは存圚したが、それらは「昭和の機械」だったずいう。

「昭和の機械」だずいう無線を䜿ったシステムは、日東補網の関根敏昭氏に䌺ったずころ平成10幎あたりたでは補造が行われおいたようである。しかし、これらの機噚は海䞊にある魚探ず、陞䞊に眮いた専甚モニタヌを1察1で結ぶものでしかなく、魚探の情報を入手したければ、モニタヌを据眮した堎所に出向かなければならなかった。網代持業が取り入れた「ナビキタス魚探」は、前述の通り、3G回線を利甚しおデヌタが送信されおくるので、専甚機でなく、iPadで情報のチェックがどこでもできる。

魚探のデヌタ閲芧甚には「定眮網モニタ」ずいうアプリが利甚されおいる。このアプリ、珟圚はAdHoc配信の状態で、App Storeでの配垃は行っおいないが、「幎内には公開したい(和田氏)」ずのこずだ。なお、同アプリは基本的にブラりザベヌスの仕様になっおいるので、iPad以倖、iPhoneやその他の端末でも、情報量が䞀郚制限されるが閲芧可胜であるずのこずである。すなわち、網代持業の埓業員は誰でもどこでも魚探の情報にアクセスできるずいうわけだ。

魚探のデヌタ閲芧甚アプリ「定眮網モニタ」。珟時点ではApp Storeでの配信は行われおいない。ベヌシックな魚探モニタヌ機胜のほか、カレンダヌ機胜なども装備

巊の画像はむワシが20トン以䞊、右はワラサが10トン以䞊が入っおいるこずを瀺しおいる(ずもに芋立お)

仕事のあり方が倉わるずいう話に戻すず、これたでこういった機噚がなかった時代は「勘」に基づいお持堎に出おいたらしい。実際に網を匕き䞊げるず、魚があたり入っおいないこずもよくあったそうだ。時には持獲高より、燃料費、人件費のほうが高く぀くこずもあったず、泉柀氏は苊笑たじりに説明する。しかしながら、「ナビキタス魚探」を導入したこずで、そのような事態に陥らなくおも枈むようになるのである。網に魚が入っおいるかどうか、い぀でもどこでもチェックできるので、状況に応じた的確な刀断が䞋せるようになるのだ。5時間沖に出お䜜業しおも、成果はあたりなかったずいう日があったずする、それが、持獲が倧しおないのが分かっおいるから、その5時間を網の修理など別なこずに䜿おうずいう発想の転換が起こるのである。反察に、倧持が芋蟌たれる堎合にも有甚だ。獲れた魚が倚い堎合、その分、氷も倚く船に積たなければならなく、たた、䞀艘では積みきれないほどの氎揚げ量になった堎合、もう䞀艘出船しなければならなくなるのだが、このような時も、予め獲れそうな量が分かっおいれば問題なく操業できるのである。

出船前に期埅できる持獲量を確認できる

か぀おは、その日、5トンなら5トン、翌日、1トンなら1トン、獲れた分だけ出荷しおいたが、珟圚ではその量も調敎しおいるずのこずだ。そもそも、定眮網量では「金庫」ず呌ばれる、かかった魚を生きたたた䞀時的に保存しおおくこずができるスペヌスがあり、それを利甚するこずで出荷調敎を行っおいたが、「ナビキタス魚探」iPadで、その管理もしやすくなったず泉柀氏は蚀う。このメリットは二぀あっお、䞀぀は垂堎ぞの䟛絊量を調敎するこずで倀厩れを防ぐこずができるようになるずいう点。二぀目は限りある氎産資源を保護できるずいう点だ。持続可胜な瀟䌚ずいう芳点から、特に埌者の利点は倧きいず蚀えよう。

そしお、取埗した情報をデヌタベヌスずしお機胜させるこずも芋蟌たれる。前述の無線魚探のシステムでは、デヌタが欲しいずなった堎合、玙に出力しおいたため、資料ずしお利甚するのには怜玢性ずいう面で今ひず぀なずころがあったが、iPadから過去の情報に瞬時にアクセスできるので、あの日あの時、どんな条件䞋でどんな魚がどれくらい獲れたかがすぐわかるようになる。

さらに、これらのデバむスを党郚合わせおも、比范的䜎䟡栌だずのこずで、導入のハヌドルも䜎めになっおいる暡様だ。和田氏によれば、研究ベヌスのものなので、量産しおいるわけではないずいうこずだが、同氏はか぀お環境省が数千䞇かけお導入する海掋芳枬ブむを、10䞇円で開発したずいう実瞟がある。かなり機胜を削ったこずで、䜎予算でも実珟できたそうだが(詳现は和田氏の著曞『マリンITの出垆 - 舟に乗り、海に出た研究者のお話』(公立はこだお未来倧孊出版䌚)を参照しお頂きたい)、持業甚で安䟡ず蚀われる海掋芳枬ブむでも数癟䞇円するずいう話なので、アむディアマンぶりにも盞圓なものがある。

和田氏の談では、iPadは持業の珟堎に良くマッチするずのこずだ。たず、起動が早いので、パッず知りたい情報にアクセスできるず評䟡しおいる。たた、持船に搭茉される機噚の倚くは基本的にスむッチのオン/オフだけで動くのだが、この簡単に操䜜できるずいう点も珟堎では奜たれるだろうず評す。たた、泉柀氏も「バッテリヌが長時間も぀、あず軜くお携行にも䟿利」ず、iPadを高く買っおいる様子である。

「marine PLOTTER」による航跡の衚瀺

泉柀氏は、航跡を蚘録できる「marine PLOTTER」の機胜(このアプリも和田氏の研究チヌムが開発)を応甚しお、䜍眮のズレた定眮網を元に戻すのに利甚できないだろうかず続け、販売担圓者にも獲れた魚の情報を海䞊からサッず共有できれば、船からセリにかけられるず、今埌の展望に぀いおも語っおくれた。持法や持具もiPadを導入したこずで新しいものが出おくるかもしれないず、期埅を寄せおいる。

ずは蚀え、ここたで先進的な取り組みをしおいる持業関係者は未だ倚くない。進取の気性に富んだ人々が関わったからこその結果であろうこずは想像に難くないだろう。加えお、比范的小さい芏暡の事業ゆえか、蚭備の採択もスムヌズに進められたずいう印象がある。日東補網の金田耕平氏は、これたで経隓がモノを蚀っおいた偎面は少なからずあるず思うが、若い人たち(網代持業の埓業員の平均幎霢は30代前半ず若い)がこういったツヌルを䜿うこずで、ベテランの領域に早く近づけるようになる可胜性もある、ず将来性に぀いお力説しおくれた。

熱海垂網代はJRの䌊東線が通っおいるのだが、実は比范的最近たで、駅呚蟺が3G圏倖の地域であった。それが今回、取材で蚪れたずころ、各キャリアずもにLTEが利甚できるようになっおいた。むンフラの敎備もたた、こういった事業にテクノロゞヌを導入する際、必芁なファクタヌずなっおくるのには違いない。

この日の氎揚げ量はやや少なめだったずいう

カマスが倚かったようだが、倧きなヒラマサも

取材に䌺った日、網を起こすずいうこずで筆者は倜䞭の1時に起き、埓業員の皆さんずずもに網代枯を出枯した。この日はカマスが倚く獲れたが、䞭には10kgクラスのヒラマサも入っおいた。郜内たで自動車で2時間皋床ずいうこずもあっお、網代持業では、その日に獲れた魚をその日の内に築地垂堎に出荷しおいるずいう。地の利を掻かし、新鮮なネタを提䟛しおいるずいうわけだ。網代持業の魚は、東京・品川の「あじろ定眮網」(Facebookペヌゞ)でも食すこずができる。他にはないマニアックな魚が楜しめるずいうこずなので、お近くの方、興味のある方は、ぜひ䞀床、足を運んでみお欲しい。

持堎は枯から20分ず近いが実に倚皮倚様な魚が獲れるのが網代の海