説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「接続先によって充電時間が異なるのはなぜ?」という質問に答えます。
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iPhoneに採用されているリチウムイオン(ポリマー)バッテリーは、急速充電に対応しています。ですから残量20%程度の状態から80%あたりまで、早ければ1時間もかからずに充電できますが、それはUSBケーブル(Dock/Lightning)の接続先によります。つまり、どこにつなぐかによって充電時間が変わってくるのです。
従来のUSB規格(USB 1.1/2.0)では、給電能力は5V/0.5A(アンペア)とされてきました。つまり、どのUSBポートに接続してもiPhoneには5V/0.5Aの給電が保証されますが、急速充電には5V/0.7A以上が必要です。数年以上前に発売されたUSB 3.0非対応のパソコンやUSBハブにiPhoneを接続すると、充電が遅く感じられるのはこれが理由です。iPhoneに付属の充電器は5V/1Aで給電できるので、確実に急速充電できます。
一方、最新のパソコンには給電能力が5V/0.9Aに増強された「USB 3.0」が採用されています。iPhoneの急速充電に必要な5V/0.7Aを満たしているため、USB 3.0ポートに接続すれば確実に短い時間で充電が完了します。なお、Macなど一部のApple製品は、5V/1.1Aの給電に対応したUSB 2.0ポートを備えているので、やはり急速充電が可能です。
急速充電はバッテリーに負荷がかかるため、満充電に達したときの電圧変動を確実に検知する機構が要求されます。温度を正確に管理する必要もあります。このようなチェック機構がない場合、バッテリーが損傷し寿命が縮まりかねません。だからiPhoneの内部では、5V/0.7A以上の電流が流れないよう管理が行われています。