カシオ計算機は、米国で開催中の「2011 International CES」においてボディが回転する機構を搭載した独特な形状のデジタルカメラ「TRYX」(トリックス)を発表した。現在開発中で、米国では4月に発売し、価格は249.99ドル。現地の説明員によれば日本でも同時期に発売を予定しているそうだ。

ユニークなデザインを採用したデジタルカメラ「TRYX」

TRYXは、フレームの内側に液晶ディスプレイをはめ込んだデザインを採用。フレームがレンズを中心に360度回転することで、ちょうどクラムシェル型の携帯電話を開いたような形状となり、さらに液晶部が270度回転する仕組みを備えている。

TRYXのデザイン画。フレームが特徴的

通常時は一見すると普通のカメラ

通常時には普通のカメラのように撮影できるが、回転させたフレームを握って自分撮りする、フレームを引っかけてつるして撮影するなど、独特のスタイルで撮影できるのが特徴だ。カシオの執行役員QV事業部長の中山仁氏はこれを「バリアブルフレームデザイン」と呼ぶ。

液晶部分がぐるっと回転する

フレームを残して液晶が開く

フレームを開いてから液晶部を回転させることもできる

フレームを握ってビデオカメラのようにも構えられる

また携帯電話のような2軸回転式なので、フレームを握ってビデオカメラのように撮影可能。液晶部とフレームを使って直立もするので、テーブルなどに置いて撮影することもできる。

あくまでイメージ的な絵だが、このように壁にかけることもできる

フレームと液晶で自立する

液晶はタッチパネルに対応。ジェスチャー認識も備え、カメラに向かって手を振るとセルフタイマーが起動する、といった機能も搭載する。

ちょっと分かりづらいが、被写体の手のひらを認識しており、セルフタイマーが自動で起動する

画像処理エンジンには最新の「EXILIMエンジンHS」を搭載。また、露出の異なる複数枚の画像を撮影して1枚に合成するHDR機能を備えるほか、そこにアート処理をかける「HDRアート」機能によって、独特の風合いの写真を実現できる。

デュアルCPUのEXILIMエンジンHS

複数枚の写真を高速連写し、さらに高速で合成することでHDRを実現する

HDRアート画像の例(右)

H.264形式のフルHD動画の撮影もサポート。HDMI端子も備えており、簡単にテレビに撮影画像を表示することが可能。240fpsのハイスピード動画の撮影も可能だ。そのほか、複数枚の画像を合成して低ノイズの手持ち夜景撮影が可能な「ハイスピード夜景」、カメラを振るだけでパノラマ写真が合成できる「スライドパノラマ」、PCとUSB接続するだけでYouTubeなどに撮影動画像を転送するアップロード機能を搭載する。

撮影画像を簡単にアップロード出来る仕組みも搭載

カメラのスペックとしては、1210万画素のCMOSセンサー、35mm判換算21mmの広角単焦点レンズ、2倍のマルチフレーム超解像ズーム、960×480・3型スーパークリアLCD(46万ドット)といった機能を備えている。

中山氏はプレスカンファレンスで、「カシオはこれまでデジタルイメージング革命を目指してきた」と指摘。その1つの機種が昨年発売された「EX-ZR10」で、超高速連写とEXILIMエンジンHSによる超高速処理によってHDR、HDR アート機能を実現した点を挙げ、さらに今回、「"デジタルイメージング革命を実現するカメラ"としてTRYXを発表した」とし、この新しいデザインは、「自由でフレキシブルなデザイン」を追求したものだという。

カシオ執行役員QV事業部長の中山仁氏

同社が推進する新しい写真表現"デジタルフォトアート"を体験できる、ネットワークサービス「イメージング スクエア」も今後スタートさせる。イメージング スクエアでは、写真が"アート作品"に変換できる「デジタル クラフト」を用意し、HDR アート風の画像を作成できる「HDRアート クラフト」と、独自の絵画変換アルゴリズムにより絵画調変換を実現する「バーチャル ペインター」などを楽しめる。

「イメージング スクエア」を解説したカシオ執行役員DI事業部長の樫尾和宏氏。「これまで画像でアート表現をするにはソフトウェアやアートの技術が必要だったが、(イメージング スクエアでは)ボタンをクリックするだけで簡単に、誰でもアートワークを作成できる」とアピール

また「マイアトリエ」にて、変換した画像を保存できるほか、「ギャラリー」では、自分の変換した画像を公開したり、他の人の変換した画像を見たりといったことができる。同サービスは、EXILIMエンジンHS搭載カメラだけではなく他社カメラの画像でも、携帯電話の画像でも利用可能だ。

イメージング スクエアは、米国では2月のスタート予定。ただし、国内では1月11日スタートと予告されている

カシオは、TRYXやイメージング スクエアで"デジタルイメージングの経験を再定義する"と位置づけ、今後もこうしたデジタルイメージング革命の実現に向けた新製品の開発を続けていく考えを示している。

イメージング スクエアを利用することで、普通の画像を絵画のようなアート作品に変換できる

「バーチャル ペインター」では「油彩」「重厚な油彩」「ゴシック油彩」「野獣派油彩」「水彩」「ガッシュ」「パステル」「色鉛筆」「淡彩点描」「シルクスクリーン」「ドローイング」「エアブラシ」といった12種類の効果から選択できる

イメージング スクエアでの作品例(右)