マイクロソフトは、学生向け支援活動の強化として「Microsoft 学生就職応援プログラム」を18日から開始した。

マイクロソフトの学生向け認定プログラム「Microsoft Student Partners」(MSP)資格を持つ110校約500人の大学生、大学院生、高等専門学校生を対象に実施するもので、無償でのオンラインカリキュラムの利用、資格試験の学習ツールの利用のほか、学生向けOffice製品のテンプレートの利用、マイクロソフトおよびパートナー企業のインターンシッププログラムに参加できる。

「Microsoft 学生就職応援プログラム」概要

マイクロソフトの業務執行役員最高技術責任者である加治佐俊一氏

マイクロソフトの業務執行役員最高技術責任者である加治佐俊一氏は、「ひとつの技術に特化するよりも、様々な分野の学問とつながることが求められている。今回のプログラムは、こうした世の中の流れに沿ったものとしたい。各種施策を通じて、学生が取得したマイクロソフトの技術知識を応用する無料カリキュラムや、資格試験などの学習ツールの提供、インターンシップなどの機会を提供する。パートナー会社を通じて、業界の様々な職種を体験し、IT活用やIT業界で働く魅力を感じる仕組みを提供したい。さらに将来のIT産業を担う人材育成をサポートすることで、学生に大きく育ってほしいと考えている。マイクロソフトが学生一人一人を手厚くサポートするのではなく、あくまでも主役は学生であり、学生の自主性を支援するものになる」と位置づけた。

マイクロソフトでは、これまでにも学生の実践力を養う自習用ソフトの提供プログラムである「Dream Spark」、専門力を高める機会として大学において、マイクロソフト社員が講師を務めるオンキャンパスイベント、国際力や挑戦の場を提供する技術コンテスト「Imagine Cup」などを展開してきた。

「学生にアンケートをとると、ITベンダーに提供してほしいサービスやプログラムとして、就職活動やインターンシップが98.4%にも達している。そこにマイクロソフトとしてなにが提供できるかを考えてきた。これまでは専門力、実践力、挑戦・国際力の観点から支援してきたが、今回のプログラムによって、応用力というところにも踏み出せる」(加治佐最高技術責任者)とした。

また、マイクロソフトアカデミックテクノロジー推進部・伊藤信博部長は、「マイクロソフトは、最新テクノロジーの有効活用、実践から新たな可能性の発見、Microsoft Student Partnersへの参加、学生への就職応援という観点からを支援し、社会で活躍できる人材、将来のIT業界を担う人材を育成していく。今回のプログラムは、MSPの活動内容に応じて提供されるものであるが、まずは支援ツールの第1弾として、学生がネット上の辞書に簡単にアクセスしやすい機能などを搭載した、学生向けにカスタマイズしたInternet Explorer 8を提供するほか、学生向け専用サイトであるMicrosoft Academic Portalを提供する」などとした。学生版のIE8の利用はMSP参加者以外でも利用できる。

マイクロソフトアカデミックテクノロジー推進部・伊藤信博部長

学生向けにカスタマイズしたInternet Explorer 8

インターンシップに関しては、インターンシップ派遣事業を行うデジット株式会社が、プログラム参加企業の呼びかけを行い、今後、参加企業を増やしていく。

デジットの舩川治郎社長

デジットの舩川治郎社長は、「今年の就職内定率は約70%となり、まだ10万人が就職先が決まっていない状況。だが、一方で、企業では優秀な人を受け入れたいという意識が強い。今回のプログラムによって、マイクロソフトが優秀な学生を選定し、企業にとっては求める人材を受け入れることができ、うまくいけば採用まで結びつけられる。1社単独でのインターンシップ、採用活動ではできないメリットを提供できるだろう」と期待を述べた。

また、同プログラムのオブザーバーである早稲田大学ビジネススクールの松田脩一教授は、「学生はネットを使ってあらゆる情報を入手できるが、一方で意見を戦わせたり、実行したり、挑戦するといった場がなく、こうした場が提供されることを期待している。マイクロソフトのような最先端のテクノロジーを使う企業でインターンシップの経験ができることは、新たな社会の動きを体験することにもつながる。伝統的な会社のインターンシップよりも価値がある」などとした。

早稲田大学ビジネススクールの松田脩一教授

インターンシップの受入会社は、NECラーニング、岐阜イノベーションセンター、ネットディメンション、チェプロ、三三、BCNなど11社。インターンシップの候補者は、マイクロソフト社員による審査で決定する。インターンシップの期間は2週間。

Lunascapeの代表取締役兼CEOである近藤秀和氏

インターンシップの受入企業の1社であるLunascapeの代表取締役兼CEOである近藤秀和氏は、「かつては、プログラミングコンテストも少なく、IT分野において、学生が目指すべき目標がないという状況だった。私自身、未来に向けて一歩踏み出せると考えて、Imagine Cupに参加し、グローバルで戦った。その経験がいまに生きている。また、学生のうちに短い期間でも就業体験をすることは大変な経験になる」などと、自らの経験からインターンシップのメリットについて語った。

なお、今回のプログラム実施にあわせて、大学生協とも連動して、学生就職応援プログラムの告知活動などを行っていくという。