図1 エフセキュア インターネット セキュリティ 2010

図2 新しくなったロゴデザイン

エフセキュアは、9月に新しい総合セキュリティ対策ソフトとなる「エフセキュア インターネット セキュリティ 2010」の販売を開始した。従来製品と比べ、スキャン時間を約60%、起動時間を約30%短縮した。同社の製品はこれまでも「高速」も大きな特徴の1つであったが、新バージョンではさらにその性能に磨きがかかったともいえよう。同時に、ロゴデザインや、ブランドイメージの刷新も行われ、スローガンも「BE SURE」から「かけがえのないものを守る」へと変更している。また、同社が運営するエフセキュアブログでは、ミッコ・ヒッポネン エフセキュア CRO(セキュリティ研究所主席研究員)をはじめ、活発なレポートが展開されている。

本稿では、新機能と合わせ、インターネット セキュリティ 2010の基本機能などを紹介する。なお、同社では30日間無料で使用できる体験版も公開している。

エフセキュア インターネット セキュリティ 2010のシステム要件

まずは、インターネット セキュリティ 2010のシステム要件である。対応オペレーティングシステムは、

  • Windows 7(すべてのエディション)
  • Windows Vista(すべてのエディション)
  • Windows XP Home、Windows XP Pro、Windows XP Media Center

となる。ハードウェア面では、

  • CPU:Intel Pentium III 600MHz以上
  • メモリ:512MB以上
  • HDD:800MB以上の空き容量

となる。また、ブラウザがInternet Explorer 6.0以上、光学ドライブ、インターネット接続環境などが必要になる。基本的には、Windows 7、Vistaの最小システム要件を満せばよい。製品ラインナップは大きく分類すると、パッケージ版とダウンロード版があり、それぞれ表1、表2のとおりである。

表1 エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 ダウンロード版の価格表

製品 ライセンス期間 台数 価格
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 1年 1台 4,200円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 1年 3台 4,580円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 3年 1台 9,180円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 3年 3台 10,080円

表2 エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 CD-ROM版の価格表

製品 ライセンス期間 台数 価格
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 1年 1台 4,980円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 1年 3台 5,480円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 3年 1台 10,580円
エフセキュア インターネット セキュリティ 2010 3年 3台 11,800円

また、エフセキュアインターネットセキュリティ 2010から、

  • ファイアウォール
  • 危険Webサイト報告機能(ブラウザ保護)
  • 有害サイトブロック機能
  • 迷惑メール対策

の機能を除いたエフセキュア アンチウイルス 2010という製品ラインナップもある。機能や目的に応じて、こちらの選択肢も検討していただきたい(販売価格は、1PCで1年のダウンロード版が3,390円、CD-ROM版が3,980円である)。

エフセキュア インターネット セキュリティ 2010の新機能

まずは、インターネット セキュリティ 2010の新機能や強化点を紹介しよう。なによりも注目したいのは、高速化の実現である。AV-Test.org(独)の行った調査で従来製品との比較においてスキャン時間が約60%、起動時間が約30%の削減を達成した。また、エフセキュアの検証として使用メモリを約46%削減している。結果、非常に高速な動作が行われ、ストレスを感じることなくPCを利用できるようになった。この実現には、「プロセス数の削減」という方法が使われている。また、軽快な動作にあわせ、ユーザーインタフェースも非常にシンプルなものに一新され、操作で迷うこともないであろう。軽快な動作を徹底的に追求したバージョンと言える。

図3 エフセキュア インターネット セキュリティ 2010のタスク画面

さらに、危険なWebサイトからユーザーを守る「ブラウザ保護」が新機能として追加された。「危険なWebサイトは、閲覧してはいけない」とはよくいわれる。しかし、最近の危険なWebサイトは、一見すると普通のWebサイトとなんら変わることがない。注意力だけでは、そこが危険なWebサイトかどうかを判断することは非常に難しくなっている。そこで、「ブラウザ保護」では、検索エンジンで検索を行った場合に、検索結果の隣に小さなアイコンで安全かどうか表示する。さらに、危険なWebサイトを閲覧しようとすると、警告ページを表示し、注意を喚起する。このようにして、危険なWebサイトに近づくことを防ぐのである。

「ブラウザ保護」。一目瞭然で危険なサイトを判定する

また、「ブラウザ保護」には、ブラウザやプラグインなどの脆弱性を悪用した攻撃に対抗する「脆弱性シールド」も新機能として搭載した。この「脆弱性シールド」により、ブラウザのセキュリティホールを悪用した攻撃から、セキュリティパッチの適応前であっても、ユーザーを守る。エフセキュアの調査では、日本では約44%のユーザーがソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用を意識的に行っていないとの調査結果が得られた。WindowsなどのOSでは、自動的に更新が行われることが多いが、アプリケーションやプラグインなどは、自動的に更新が行われず、ユーザー自らが手動で更新を行う必要があることも少なくない(逆にいえば、悪意を持った攻撃者はその隙を狙うこともある)。脆弱性の放置は速やかに解消すべきであるが、インターネット セキュリティ 2010の「脆弱性シールド」で、脆弱性が存在しても危険な状態から守ることができる。

その他「エフセキュアディープガード 2.0」は、「サンドボックス」と呼ばれる仮想環境とクラウド上のデータベースを活用し、ゼロデイアタック(パターンファイルが対応されていない状態におけるウイルス感染)による不正プログラムを検出する。クラウドの利用はこれだけではない。迷惑メール対策、「ブラウザ保護」、有害サイトをブロックする「ペアレンタルコントロール」のパターンファイルをクラウド化し、PCへの負担を軽減と情報の反映のスピードアップを実現する。近年、注目されつつある、クラウドを積極的に利用することで、安全を高めているのである。

同社Webサイトで公開されている世界地図での脅威レベルマップ。Webサイトでは時間ごとのウイルスの活動状況なども公開されている