キヤノンから新しいデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X2」が発売された。キヤノン一眼レフラインナップの中でエントリー層を担う、考え方によってはもっとも重要なモデルでもある。同製品の価格はボディ単体が約8万7,000円、「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」をセットにした「レンズキット」が約9万6,000円、さらに「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」を加えた「ダブルズームキット」が約12万6,000円となっている(いずれもマイコミジャーナル・価格情報の平均価格。2008年3月24日現在)。なお、本記事は発売前のベータ(β)機を使用している。

「X2」の名にふさわしくない大幅なチェンジ

キヤノンの「Kiss」シリーズといえば、フィルムカメラのころからエントリー層向け定番一眼レフとして名を馳せてきた。ある意味、プロ用のEOS-1Dシリーズよりも重要なモデルである。それはデジタルでも変わらない。2003年9月に発売された「EOS Kiss デジタル」を皮切りに、2005年3月の「EOS Kiss デジタルN」(Kiss N)、2006年9月の「EOS Kiss デジタルX」(Kiss X)と進化し、今回の「EOS Kiss X2」(Kiss X2)である。きっちり1年半のスケジュールでモデルチェンジを繰り返している。

機能・性能的な面は順に述べていくとして、表面的なところでは、製品名から「Digital」が省略されて単に「Kiss X2」となり、シルバーボディがなくなり、ブラックのみになった。Kissのシルバーボディは好きだったので少々残念だ。

それにしても、どうして「X2」なのだろう? ひととおり触ってこれを書いている現在、デジタルKissシリーズでのもっとも大幅なモデルチェンジかもしれないと感じている。なのに「Kiss X2」ではマイナーチェンジに見えてしまう。「Z」でも「11」(フィルムKissの初代モデルから11代目)でもいいが、なにか他になかったのだろうか。

なで肩のボディラインは、EOS-1D系に近い。ボディが小さいため、レンズが大きく見える

背面いっぱいを液晶モニターが占めるよう。ボタン類は上部や右側に置かれる

上面はシンプル。大きなモードダイヤルのほかは、電子ダイヤルやISO感度設定ボタンくらい

Kiss X2レンズキットの内容物。ごく一般的な構成

画像保存メディアにはSD/SDHCメモリーカードを使用する

端子類。上からビデオ出力、リモコン端子、デジタル端子(USB)

D300やα700並みの解像度1220万画素

Kiss X2が使用する撮像素子は有効1220万画素のCMOSセンサー。これは「EOS 40D」の有効1010万画素よりも解像度が高く、ニコン「D300」やソニー「α700」と同等の解像度だ。

モニターは、23万画素ながら大型の3型液晶を採用した。オートフォーカスの測距点は菱形に並ぶ9点式。これらはEOS 40Dと同じスペックだ。連写性能は秒3.5コマ。また、超音波駆動によるセルフクリーニングユニットを装備する。ゴミの付着しづらいローパスフィルターと相まって、画像にゴミなどが写り込まないように工夫されている。

従来Kissとの比較では、バッテリーが新しくなった点が挙げられる。Kiss N/Xでは容量720mAhの「NB-2LH」というリチウムイオン電池を使用していたが、Kiss X2では「LP-5E」という1080mAhの電池に変更された。Kiss N/Xのバッテリーは小型のため撮影枚数が気になるという声も多かったが、一気に5割も容量が増したことで、そういった心配もしなくて済むだろう。もちろん今回の試撮でも、余裕をもって撮影できた。

カラーモードはキヤノンが推す「ピクチャースタイル」が従来どおり採用されている。登録されている6モードのほか、カスタマイズした設定を3パターンまで登録できる。

新しい機能としては、まず、「オートライティングオプティマイザー」(ALO)がある。なんだかニコンの「Dライティング」とソニーの「Dレンジオプティマイザー」を合わせたような名前だが、機能もそれらに近い。逆光などで暗部を明るくし、見た目に近い自然な明るさにコントロールする機能だ。もうひとつ、逆に明るい側を抑えて白飛びを減らす「高輝度側・階調優先」機能が搭載された。

そして「ライブビュー」である。すでにEOS 40Dで搭載され、他社モデルでも次々に採用されているが、Kiss X2ではオートフォーカスに位相差式とコントラスト検出式の両方が使えるようになった。

撮像素子は22.2×14.8mm。よって画角はレンズ表記焦点距離の1.62倍となる

撮像素子(CMOS)単体。有効画素数は約1220万画素

Kiss X2に使われているAFセンサー

Kiss X2のAFポイント(AFフレーム)は9点。中央にはクロスセンサーを使用する

撮像素子に付いたゴミをふるい落とすセルフクリーニングセンサーユニット

Kiss X2の新しいシャッターユニット。消失時間は0.13秒

右がKiss N/Xの「NB-2LH」、左がKiss X2の「LP-5E」。ほぼ同じ大きさながら容量は5割アップ

Kiss X2の充電器はコンパクトで携帯にも便利。ケーブルのない直差しタイプ

手ブレ補正レンズ2本をセットに

キヤノンはボディ側に手ブレ補正を持たないが、代わりにレンズの手ブレ補正化を強力に進めている。Kiss X2の標準レンズは2007年9月に発売された手ブレ補正機構付きの「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」だが、単体の価格が33,000円のこのレンズ、Kiss X2とセットで購入すれば、わずか1万円の追加で手に入る。バーゲンともいえる価格設定だ。

ダブルズームキットでセットになる「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」も、もちろん手ブレ補正機構が付いている。他社のボディ内手ブレ補正はどのレンズを組み合わせても手ブレ補正が使えるのがメリットだが、レンズをすべて手ブレ補正にするやり方は、チカラ技の感がなくもないが、ユーザーのメリットとしては同じこと。キヤノンにはそれだけのチカラがある。

そのほかアクセサリーはたくさんあるが、Kiss X2専用としてはバッテリーグリップ「BG-E5」(1万6,000円)がある。これがあれば単三形電池でも撮影できる。ボディ側のバッテリーが変わったため、Kiss N/X用のバッテリーグリップは使用できない。

レンズキットでセットになる「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」

ダブルズームキットでは「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」もセットになる

Kiss X2用のバッテリーグリップ「BG-E5」。価格は1万6,000円

Kiss X2と「BG-E5」を組み合わせた状態