スマホの画面の中でかわいい女子が手を振りながら踊ってる――そんな広告を見たことはありませんか?それはもしかして「TikTok」の広告かもしれません。「TikTokって何?」というお父さん、焦らなくても大丈夫です。「TikTok(ティックトック)」とは、2018年から若い世代を中心に人気が急上昇しているショートムービー共有サービスです。

TikTokの人気ぶりをデータで見ていきましょう。Googleが発表した国内の「Google Play ベスト オブ 2018」では、TikTokがアプリの「エンターテイメント部門」でベストアプリを獲得しています。女子中高生に絞ってみると、2018年5月発表の「女子中高生と動画サービスに関する調査(プリキャンティーンズラボ by GMO)」で、LINEやTwitter、Instagramといった人気SNSに続いて4位にランクイン。芸能人も個人アカウントを作って発信するなど、かなりの盛り上がりを見せています。

  • 鈴木朋子のお父さんが知らない女子SNSの世界

    女子中学生や女子高生は、TikTokのどんなところに魅力を感じているのでしょう

TikTokの代表的なコンテンツは、リップシンク動画と呼ばれる口パク動画です。音楽に合わせてまるで歌っているかのように口を動かすのです。また、TikTok内で流行っているダンスを踊るのも人気。

お父さん世代は、1983年にラッツ&スターがリリースした「め組の人」をご存じですよね。あの、目の横に二本指を広げるポーズがTikTokで大流行。昨年は音楽に合わせて「めっ」のポーズをとる女子が続出しました。彼女たちが使っているのは2010年に倖田來未がカバーした楽曲ですが、私たちが知っている曲で若者が盛り上がっているなんて、親しみを感じますね。

このようにダンスといっても、たいていは手を動かす程度の簡単な振り付けで、誰でも真似できます。TikTokでは「#だれでもダンス」や「#こっちを見て」といったお決まりのハッシュタグを付けて投稿すると、誰かが見てくれる可能性が高まります。TikTokは知り合いとつながるSNSというよりも、YouTubeのような配信サービスなので、人気の「TikToker」を目指してフォロワーやいいねを獲得したい人もいます。

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    TikTokで定番となっている「#こっちを見て」。振り返るとかわいい女子がたくさん!

「かわいい女子がいっぱい出てくる」から。

スマホでTikTokアプリを起動すると、「おすすめ」として人気投稿やあなたが気に入りそうな投稿が次々に表示されます。動画の長さは最大15秒と短く、興味のない投稿は指で上に向かってフリックするだけで飛ばせます。なんとなく暇つぶしに眺めていても、新たなコンテンツがどんどん流れてくるので飽きることがありません。

とはいえ、TikTokを見た人からは「楽しさがわからない」という声を多く聞きます。私も最初は魅力がよくわかりませんでした。そこで女子中学生に聞いてみると、「かわいい女子がいっぱい出てくる」とのこと。

タレントではないお姉さんたちがかわいい服装や化粧をして出てくるので、自分もこうなれたらなと憧れながら見ているそうです。また、ダンス好きの女子高生は、本気のダンスが見たくてTikTokを見ているとのこと。TikTokには誰でもできるダンスだけでなく、プロやダンスを習っている人のダンスも投稿されています。刺激されて自分も投稿!と競い合う人たちもいるのでしょう。

こうしてTikTokを見ていると、TikTokはその人の好みをAIで学習していきます。検索キーワードや長く閲覧している投稿のジャンルから分析し、「おすすめ」に表示するのです。先ほどのダンス好きの子には、上手なダンス動画が優先して表示されます。ちなみに私はペットの動画をよく見ていたら、かわいい猫や犬がよく出てくるようになりました。そう、TikTokにはダンス以外の動画もたくさんあります。料理や車、ネタ動画など、ムービーなら何でもといっても過言ではありません。

最初はつまらないな、と感じても、検索などで好みの動画を見ていれば、あなた向きの動画が多く表示されるようになります。食わず嫌いせず、ちょっとのぞいて見てください。赤ちゃんから中年まで、みんな楽しそうですよ。

著者プロフィール
鈴木朋子

鈴木朋子

ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。