音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」、皆さんは楽しんでますか? いち早く始めた人からは「飽きてきた」との声も聞こえてきますが、毎日roomで楽しんでいる人や招待を待っている人も多いでしょう。
Clubhouseが日本国内で使われ始めてから3週間以上がたち、少しずつトラブルが起きそうな事例を耳にするようになりました。ここでは、Clubhouseを使ううえで注意すべき3つのポイントをお伝えします。
1. 口が滑って個人情報の流出や誹謗中傷に
Clubhouseは音声によるコミュニケーションです。パネルディスカッションのようにスピーカーの話を聞いたり、特にテーマも持たず雑談をしたり。いいねボタンや文字で交流する機能はなく、すべてが音声です。
あまりに楽しい「room(ルーム)」があると、録音したくなるかもしれません。でも、Clubhouseはコミュニティガイドラインで事前の許可なしに録音・録画・転記などで複製、共有することを禁じています。つまり、録音だけでなく、Twitterにroomの内容を書き起こしてもNGです。ただし、Clubhouseとそのroomで話した人たちから事前に明示的な許可を得ている場合はOKです。
しかし実際には、記録されないからと安心して話したことが記事化された芸能人がいたり、動画共有サイト「YouTube」や音声共有サービス「SoundCloud」にClubhouseの音声が許可なく公開されたりしています。
文字であれば送信前に注意できるのに、音声では「口が滑る」という言葉通り、つい自分や他人の個人情報を話してしまいかねないため、注意が必要です。同様に、誰かの悪口や下品な言葉なども避けるべき。知らないうちに記録、公開されることもありますし、データがなくても人づてに伝わるかもしれません。
もし誹謗中傷などの被害にあったときは、Clubhouseに報告することができます。Clubhouseはユーザーからルール違反の報告を受けたときのために、room終了まで音声を録音しています。とはいえ、いまのところ日本語への対応に関してはどこまで行われるかわかりません。「違法・有害情報相談センター」などの機関にもあわせて相談しましょう。
2. 真偽が不明な情報やデマに遭遇する
上記の通り、Clubhouseは本人たちの許可なく記録に残すことはできません。この点を逆手に取って、真偽が不明な情報を流している人たちがいます。もしくは、自分たちが間違っていないと信じて、一人でも多くの人に「自分の真実」を伝えようとしている人たちもいます。
特に注意が必要な分野は、医療系でしょう。コロナ禍のなかで健康不安を抱いている人がたくさんいますが、「○○でコロナが防げる」といった話が出ていても、鵜呑みにしないでください。新型コロナウイルス感染症が流行り始めたころ、「お湯を飲むと予防効果がある」といったデマが流れましたが、こうした情報は電話やメッセージで直接伝えられることが多かったのです。ウェブの記事ならスルーしたかもしれない情報でも、人の声で伝えられると信じやすくなってしまうもの。
医療系のほかにも、投資やマルチ商法などの儲け話や、詐欺の勧誘が行われるかもしれません。怪しいなと感じたら、話している人のプロフィールを確認し、ネット検索で情報を確かめてみましょう。
3. 危険な人物と出会ってしまう
Clubhouseは実名登録が推奨されていますが、英字表記の場合は本名がよくわかりません。プロフィールには表示名を追加できるので、その人のプロフィールを開かなければ本名がわかりません。そもそも、身分証明書を提出しているわけではないので、偽名でも通ります。
また、サービス規約には「18才以上が対象」と記されていますが、規約を知ってか知らずか、18才未満で登録してしまっている子どももいます。
そしてClubhouseは知らない人同士が簡単に話せるプラットフォームです。何を話したか、証拠は残りません。未成年保護の観点でいえば、かなり危ない状況です。
実際に、「知らないおじさんに話しかけられた」という女子高生の話や、高校生と題されたroomに入っていた中年男性の話も聞きます。もちろん、すべてが悪質な目的ではないにしても、「誘い出し」で被害を受けている子どもたちがオンラインゲームのボイスチャットで知り合っている事例を思い出すと、不安を覚えます。もしClubhouseで子どもと出会うことがあったら、利用を止めるように促してあげてください。
危ない目に遭う可能性は子どもだけではありません。オレオレ詐欺の受け子をする「裏バイト」を募集する人や、違法な薬物を売る人などに、ふと入ったroomで知り合う可能性があるのです。声では優しい人と思ったのに実際に会ってみたら……ということもあるでしょう。相手のプロフィールは慎重に確認し、気安く会うことは避けましょう。
音声のみでコミュニケーションするClubhouseには、「記録が残らない」というリスクがあります。テキストや画像中心のSNSよりも、少し慎重に使うほうが良さそうです。そして、ハマりすぎて寝不足に……なんてことにもならないように、Clubhouseとうまく付き合ってください。