中学生、高校生のころに聴いた音楽は何ですか? 特に音楽が趣味でなくても、青春時代に好きだった楽曲は、甘酸っぱい思い出とともに心の中にあるはずです。

今の中高生も音楽とともに生きています。オトナと違うのは、いつでもインターネットで音楽を入手できることでしょう。なけなしのお年玉でレコードを買ったり、レンタルレコード店に足繁く通ってカセットテープに録音したりする必要はないのです。

聴きたい音楽は手元のスマホとYouTubeで検索すればすぐ聴けますし、好きなアーティストに似た(というと少し語弊がありますが……)アーティストを自動的にレコメンドしてくれたりもします。音楽雑誌やライナーノーツをくまなく読んで、アーティスト発掘していた私たちは何だったのでしょうか。

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と、つい思い出に熱くなってしまいましたが、音楽を聴くデバイスも様変わりしましたね。カセットテープやCDを聴ける音楽専用プレイヤーから、HDDや内蔵メモリーで音楽を持ち歩けるプレイヤー、そしてスマートフォンへと変化しました。

当然、持ち歩ける楽曲数も増えています。オンラインなら、持ち歩く必要すらありません。カセットテープを何本も持ち歩かずに済むように、お気に入りの曲を1本のカセットテープにまとめていた私たちは何だったのでしょうか。

と、また話がそれましたが、マイナビティーンズラボが2018年2月に行った10代女子の音楽生活に関する調査によりますと、「YouTubeなどのWebサービス」で音楽を聴いている人は51.5%、「AWAやLINE MUSICなどの音楽ストリーミングサービス」で音楽を聴いている人は35.5%だそうです。意外に思われるかもしれませんが、CDを購入している人も31.5%と、音楽ストリーミングサービスとそれほど変わりません。

お小遣いやアルバイト代をやりくりして生活している10代女子ですが、アイドルやミュージシャンのCDは「所有したい」気持ちが強く、積極的に購入しているようです。CDに付属するアーティストグッズも魅力のひとつでしょう。取材で出会った中高生たちにインターネットで買い物するものを尋ねると、ほとんどの人が「音楽CD」と答えました。クレジットカードがないため、親に代行してもらったり、コンビニ払いにしてお小遣いで支払ったりしている人が多かったですね。

新たな音楽との出会いは、Webサービスによるレコメンドだけでなく、SNSも大きく影響しています。前述の調査によりますと、アーティストや楽曲を知るきっかけの第1位はTwitterで86.1%、2位がYouTubeで54.7%だそうです。また、Instagram、LINEの名前も挙がっています。SNSで友人や知り合いがシェアしている音楽や、タイムラインに表示されたアーティストを聴いてみることが多いのでしょう。今なら、TikTokでの出会いも多そうです。

こうして見ていくと、無料と有料のコンテンツをうまく使いこなしているように見えますが、MMD研究所が行った「2018年11月 中高生のデジタルコンテンツの利用と消費調査」によると、無料で利用しているデジタルコンテンツが有料化した場合、12歳~18歳の中高生男女の83.2%が「他の無料のコンテンツを探す」と答えています。

実際、中高生がよくリスニングに使っているとして名前が挙がるアプリに「Music Box」や「Music FM」があります。これは海外製の無料音楽配信アプリで、著作権違反やアプリの利用権限の問題なども指摘されています。同種のアプリが出てはストアから削除され、そのたびにユーザーは名前やアイコンが変更されたアプリを追いかけてインストールしており、結果的に無料アプリのランキング上位に常に入っています。

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人気の理由は無料で音楽が聴けるだけでなく、ダウンロードして聴けること。LTE回線のデータ通信量を節約しなければならない10代にはありがたい機能です。また、YouTubeでの音楽再生は画面を開きっぱなしにしなければなりませんが、それではバッテリー消費が早まりますし、スマホで他の機能が使えません。ところが、これらのアプリはバックグラウンド再生が可能なのです。

ただし、若い世代にも「これらのアプリは違法らしい」という認識はあり、応援しているアーティストの楽曲は購入していると聞きます。ある女子高生は「Music FM使っているって平気で言える神経がわからない」と憤っていました。サブスクリプションサービスも定着してきていますし、「ネットで手に入れれば無料」という認識が少しずつでも変わっていくのはよいことですね。

著者プロフィール
鈴木朋子

鈴木朋子

ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。