バンコクでは毎年「Thailand Mobile Expo」というイベントが開催されます。展示会会場を使い、スマートフォンメーカー、通信キャリア、スマートフォンの販売代理店が出展し、その場でスマートフォンや通信回線契約を販売する即売イベントです。タイではスマートフォンはメーカーブランドとして販売されるため、キャリアの出展も代理店の出展もどちらも自社ブース内に各メーカーのミニブースを並べて同じ端末を販売しています。しかし端末の割引やらおまけでもらえるギフトなどに差をつけて、来客を引き込もうと必死になります。一方バンコクの人もこのイベントなら最新スマートフォンも安く買えるということで、多くの人がこのイベント期間中に買い替えを目論んでいます。
キャリアで大きなブースを構えていたのはタイでNo.1のAIS。通信回線とスマートフォンのセット販売はかなりお得です。とはいえ、かつての日本のような「0円」といった過激な割引は難しく、定価の10%オフでも割引率は高い方です。
AISは新製品の展示も行っていましたが、ファーウェイの世界初の3つ折り型スマートフォン「Mate XT」も展示されていました。ガラスのショーケースの中の展示で、係員がいるときは出して実機を試すことができるようです。タイでの販売は現時点では未定ですが、製品の前で立ち止まり写真を撮る人も多数。注目されているようです。
キャリアや代理店ブースの中にはシャオミ、OPPO、vivo、realmeそしてサムスンなど、各社の製品が展示されています。シャオミは日本でも発売になった「Xiaomi 14T」「Xiaomi 14T Pro」がイチオシのようです。
また日本では2万円を切る激安価格で登場した4Gモデル「Redmi 14C」も人気でした。日本未発売カラーの紫モデルだけが展示されており、タイではこの色がイチオシなのかも。
そして中国で販売中の電気自動車「SU7」も展示されていました。タイでの販売の予定はありませんが、多くの来場者が車内に座る試乗を楽しんでいました。なおThailand Mobile Expoは同じ会場に併設してEVの展示会も行われていました。EV熱の高いタイだからこそ、SU7にも注目が集まるのでしょう。
メーカー単独ブースを出していたのはサムスンで、このイベントに合わせて指輪型のウェアラブルデバイス「Galaxy Ring」をタイに投入。スマートフォンを展示する台のすべてのディスプレイに設置するほどの力の入れようでした。10種類のサイズ確認の用のリングキットも展示しており、来場者は自分の指にフィットするサイズをその場で確認することもできます。なお価格は1万4,900バーツ(約6万7,000円)です。
サムスンの製品はキャリアや代理店ブースにもあるのですが、Galaxy Ringはサムスン自身のブースにしか展示がありませんでした。一方で、ZTEも自社ブースを構えており最新モデルを展示。ZTEの製品は逆に代理店などに展示が無く、ここでしか見られないものでした。製品はすべて傘下のnubiaブランドのものだけを展示。ヘッドホン端子を2つ備え背面に巨大スピーカーを搭載する「nubia Music」など特徴的なスマートフォンが人気です。
このように日本ではあまり見られないスマートフォンが見られるのも海外のイベントの面白いところです。こちらの製品はvivoの「iQOO 12 Pro」ですが、ホワイトのボディーにトリコロールラインの入った独特のデザインが特徴のモデル。こちらはモータースポーツの「BMW M Motorsport」とコラボした製品です。日本ではvivoは知られていませんが、海外では大手企業とのコラボも行っているのです。
こちらは日本でもおなじみNothingの「Nothing Phone (2a) Plus」。Nothing Phone (2a)の仕様変更モデルですが、一番大きな違いは背面の色。Nothing Phoneは当初「光る背面」で話題になりましたが、カラーリングを変えたバリエーションモデルを増やしたほうがユーザーは増えるようにも思います。
インドやアフリカから最近は東南アジアでも勢いのあるInfinixの最新モデルは、4Gながらも重量さ62g、薄さ6.8mmとスタイリッシュ&スリムな「HOT 50 Pro+」。持ってみるとスマートフォンとは思えぬ軽さで、薄型なのでシャツのポケットに入れても目立ちません。このサイズのまま5Gモデルにしたら、先進国でも受け入れられそうです。こんな製品が見られるのもバンコクならではでしょう。
店舗の展示品やデモ品などの新古品の即売もあるなど、会場はどこへ行っても熱気に包まれていました。SIMフリーモデルも増えてきた日本でも、このように大規模な「スマホ販売会」が開催されてもいいのかもしれません。