日本でもスマートフォンやスマート製品を展開しているシャオミが、2024年第2四半期(4月-6月)の決算を発表しました。スマートフォンの全世界出荷台数は4,200万台で売上高も約50%アップ。スマートフォンの市場シェアも14.6%になったとのこと。上位のApple、サムスンとの差はまだあるものの、着々と世界2位、そして1位の座を狙えるポジションを維持しています。

  • スマートフォンの販売も好調だ

スマートフォンメーカーとして知られるシャオミですが、中国では今年3月からEV(電気自動車)の販売も始めています。シャオミ初のEV「SU7」は3つのラインナップを揃えており、販売直後の4月の単月販売数(納車数)は7,058台に達したとのこと。この数が多いか少ないかは議論が分かれることですが、自動車を全く手掛けていないメーカーの最初の製品がこれだけ売れたというのは大きな意味を持つでしょう。

  • シャオミ初のEV「SU7」(車種はSU7 Max)

SU7の価格はベーシックモデルが21万5,900元(約440万円)から。SU7は中国のシャオミストアで展示・販売されていますが、年内に自動車をメインにしたカーディーラー型の店を200店舗以上に増やすとのこと。

  • SU7を売るシャオミのディーラー型ショップ。奥ではスマホも売っている

スマートフォンメーカーの手掛けるEVとしてはファーウェイが自動車メーカーと協業して「AITO」「LUXEED」ブランドの製品をすでに販売中です。ファーウェイの店舗でもスマートフォンを買い物がてら、EVを試乗する来客の姿も多くみられます。中国では新興のEVメーカーが次々に立ち上がっていますが、あまり聞いたことのないメーカーのEVを買うよりも、日々使っているスマートフォンと同じメーカーのEVを選ぶ方が安心感もあるかもしれません。

  • ファーウェイの店にならぶEV。スマホ販売店で自動車を売るのも中国では当たり前になりつつある

スマートフォンメーカーのEVは車内システムにもスマートフォンと同じOSを搭載することで、シームレスなユーザー体験を提供しています。普段自分が使っているスマートフォンと同じ操作性で自動車のコントロールやナビゲーション、お店の検索や音楽再生が可能なのです。たとえば車内のエアコンや座席のヒーターなどのコントロールもスマートフォンやタブレットから操作できます。

  • 車内の16.1インチディスプレイでEVのコントロールも可能。スマホからも操作できる

SU7は4月以降も販売は順調で、決算報告によるとEVを含む新規事業の売り上げは62億元(約1,265億円)となり、これはグループ全体の7.2%に達したとのこと。自動車は単価が高いために新規参入事業ながらも全体の1割弱を占めるほどの売り上げをたたき出しているわけです。なお4月から6月のEV出荷総台数は2万7,307台でした。

  • 3カ月で3万台弱を販売した

シャオミは個人が常に持ち歩くスマートフォンに加え、家庭で使える様々なスマート家電製品も販売しており、さらにボールペンやサングラスなどの日用品も展開しています。そしてSU7を投入したことで、シャオミ製品の活用シーンは自宅内だけではなく自動車での移動中にも広がります。通勤時、あるいは旅行に出かけた時、自動車の車内でシャオミの統合的なエコシステムを活用し生活をよりスマートなものにできるのです。

  • シャオミはスマート製品から日用品まで様々なものを販売している

たとえばSU7に乗車して帰宅中、車内で「自宅のエアコンを19時にオンにして」と伝えれば、自宅にあるシャオミ製のエアコンのタイマーを自動的にセットできます。シャオミはスマート家電も多数販売していますから、自宅の家電もシャオミで揃えてしまえば、あとは何も考える必要はありません。これが他のメーカーであれば、家電を買うときに「このTVや洗濯機、スマホに繋がるんだろうか?」と考える必要がありますし、繋がらない製品のほうが多いのが実情です。

  • シャオミの家電製品も種類は多い

なお日本でも2024年9月30日まで東京・渋谷のPARCOでシャオミのポップアップストアが開催されています。日本ではまだシャオミ製品は少ないですが、スマートフォン以外の製品も多数展示されており実際に触れることも可能です。このポップアップストアの店構えは海外のシャオミストアとほぼ同等で、シャオミがいずれ展開するだろう自社ストアもこのようなイメージになるのでしょう。日本でもいずれシャオミのエコシステムのメリットが感じられるくらい、多くのスマート製品が出てくることを期待したいものです。

  • 渋谷で開催中のシャオミポップアップストア

  • SU7のスケールモデルカーも展示