縦折りスタイルの折りたたみ型スマートフォンはコンパクトな大きさが魅力で、日本でも7月にサムスンから「Galaxy Z Flip6」が発売されています。一方、海外ではファーウェイから「nova Flip」が8月に発売、従来の折りたたみスマートフォンに比べてパステルカラーを基調とした本体のカラバリや、正方形の外画面で使えるウィジェットが人気になっています。

  • ファーウェイの「nova Flip」

nova Flipは開くと6.94インチの画面が現れるフリップ型スマートフォンです。バッテリーはフリップ式としては大型の4,400mAhを搭載し、66Wの急速充電にも対応。バッテリーゼロから満充電までに要する時間は40分です。

  • 6.94インチ画面を搭載

フリップ型スマートフォンは本体を閉じたままでも外側の画面である程度のことができます。nova Flipの外画面サイズは2.14インチの正方形。アプリを動かすには小さいものの、スマートウォッチと同等の表示サイズなので、時計や天気予報、通知の表示の他、ヴァーチャルペットを表示したりテクスチャのアニメーションを動かすことで動きのあるファッションアイテムのような使い方もできます。

  • 外画面にアニメーションのテクスチャ表示もできる

本体をL字型にたたんで机の上に置けば、外側のメインカメラを使った自撮りも楽にできます。メインカメラは5,000万画素の広角と800万画素の超広角と十分な画質。夜間撮影にも強いとのこと。三脚がいらないので自分一人で自撮りを気軽に撮影できるのもフリップ型スマートフォンの魅力です。

  • L時にたたみ、外画面でプレビューを見ながら自撮りできる

  • ハンズフリー撮影も可能だ

nova Flipにはちょっと楽しいアクセサリも販売されます。それは本体を収納できる肩掛け型のミニポーチです。ポーチの外側には「nova」の文字も大胆にデザインされています。フリップ型スマートフォンは取っ手のような形のストラップを取り付け、バッグのように持ち運ぶことのできるケースのある製品も出ていますが、nova Flipはポーチに入れて持ち運ぼう、という新しい使い方を提唱しています。

  • novaの文字をデザインしたポーチ

  • フリップ型スマートフォンの新しい持ち運び方だ

ケースも本体カラーに合わせたパステル調の4タイプを提供。ラインを入れた表面はnova Flipのカジュアルなデザインそのままに滑り止め効果もあります。実用性とデザインを兼ねているわけです。なおこのケースをつけたままミニポーチに入れることも可能です。

  • ケースの色も本体カラーに合わせている

nova Flipはまず中国で販売が始まっています。発売から2週間が過ぎたころ中国の深センにあるファーウェイのフラッグシップストアを訪問したところ、nova Flipの展示コーナーには多くの人が集まっていました。特に女性客が多くその場で購入している姿も。ちなみに価格は5,288元、約10万8,000円です。

  • ファーウェイストアでnova Flipを試す女性客

ファーウェイは高性能かつ高級なフリップ型モデル「Pocket 2」を2024年2月に発売しています。こちらは価格が7,499元、約15万3,000円とより高価にも関わらず販売は好調と言います。Pocket 2は外画面が小さく1.15インチの円形であり、ウィジェットの表示もnova Flipに劣ります。それにもかかわらず本体の仕上げの高さやデザイン性から人気になっているのです。

  • ファーウェイのもう1つのフリップ型スマホ「Pocket 2」

ファーウェイはこのPocket 2に加え、横折りスタイルの「Mate X5」も中国で販売しており、中国国内の折りたたみスマートフォンのシェアは堂々の1位。nova Flipが加わることで「折りたたみと言えばファーウェイ」という認識が広がりそうです。

  • 中国の折りたたみスマホ市場でファーウェイは圧倒的に強い

IDCの調査によると2024年第2四半期(4月-6月)の中国折りたたみスマートフォン出荷台数は257万台で、そのうちファーウェイのシェアは41.7%。2位と3位に大きな差をつけています。ファーウェイのスマートフォンはカメラを強化したモデルにも人気が集まり、中国のiPhone販売不振の原因にもなっていると言われます。しかしそれだけではなくAppleにはない折りたたみモデルを展開していることも強さの要因でしょう。

2024年の夏はフリップ型スマートフォンが次々と出ており、サムスン、ファーウェイ以外にもシャオミの「MIX Flip」、HONORの「Magic V Flip」が中国で発売。シャオミは香港や台湾などにグローバルモデルも投入しています。日本ではまだニッチな存在に見えるフリップ型スマートフォンですが、中国ではメジャーな製品になりつつあり、各社の競争もすでに激しくなっているのです。