スマートフォンを半分に曲げることのできる折りたたみモデルがサムスンやGoogleから販売されていますが、ノートパソコンも折りたたみディスプレイを搭載したモデルが販売されています。日本ではLenovoの「Thinkpad X1 Fold」が542,300円、ASUSの「Zenbook 17 Fold」が649,800円で2022年に発売になりました。現在は価格は下がってきているようですが、スマートフォンとは異なり大型の折りたためるディスプレイを搭載することからか、価格はかなり高めです。

海外ではこの2社の製品を追いかけるように、HPが「HP Spectre Fold」を、LGが「LG gram Fold」をそれぞれ2023年9月に発表しました。約1年ぶりの折りたたみディスプレイ搭載ノートPCということでしっかりとした進化が見られます。今回は韓国でLG gram Foldの実機を体験してきました。

  • LG gram Fold

LGのノートパソコン「LG gram」シリーズは、1kgを切る重さ=999「グラム」以下の製品のブランドとしてスタートしました。現在は1kgを超えるモデルもありますが、画面サイズが17型などの大型モデルでも他社製品より軽量な作りが特徴です。今回紹介するLG gram Foldも開いたときの画面サイズは17型で重さは本体のみで1.25kg。Thinkpad X1 Foldは1.26kgでほぼ同等ですが16.3型なのでLG gram Foldより最大画面サイズは小型です。

本体を開いたときは、もちろん全体を画面として使うことができます。付属の薄型キーボードを使って17型の画面全部を表示しながら文字入力も快適です。

  • 開いたときの画面サイズは17型。重さは1.25kgだ

文字入力をしたいときは画面の下側にソフトウェアキーボードを表示できます。キーボードを表示させるとWindowsの表示エリアもその上までに自動的に調整されます。またキーボードを画面の下部側に乗せるとマグネットで固定され、画面表示も上半分だけになるのでキーボード付きの12.3型画面のノートパソコンとして使うことができます。外出先のカフェなどではこのスタイルでの使い方が最も適していそうです。

  • ソフトウェアキーボードだけでも使える

  • キーボードを乗せると小型ノートPCになる

本体を閉じて側面から見るとヒンジ部分には隙間があります。スマートフォンとは違いノートPCはある程度大きさのある製品なので、この隙間はそれほど気になるものではありません。閉じたときのヒンジ側の厚さは19.2mm。Thinkpad X1 Foldの17.4mmには負けるものの、Zenbook 17 Foldの最大34.4mmよりはかなり薄くなっています。

  • 本体を閉じた状態では隙間がある

付属のキーボードは本体を閉じたときに挟み込んで収納できます。こうすることで隙間も無くなるのです。キーボードは挟んだ状態でワイヤレス充電されるため、一緒に持ち運べば常に充電されるわけです。なおキーボードを含む重さは1.53kg。キーボードもかなり軽くできています。

  • キーボードを挟むと隙間がなくなり、キーボードの充電も行われる

  • キーボードは薄型軽量だ

実際に折りたたんだ状態で持ってみると、サイズが小ぶりであることもあって片手でも楽に持ち運べると感じました。やや小型のカバンやバックパックにも十分入る大きさでしょう。モバイルするノートPCは薄型軽量のものが人気ですが、このLG gram Foldは画面を大型化できるという、他の軽量ノートパソコンには真似できない大きな特徴を持っているのです。

  • コンパクトで持ち運びしやすい

LG gram Foldの画面を開いて横向きにすると、17型の大きな表示となります。つまりLG gram Foldは17型の大画面ノートパソコンでありながらも、普段は12.3型の小型ノートとして持ち運びできるわけです。このような2刀流の使い方は一般的なパソコンではできません。ライバル製品と比べると、LG Gram FoldはThinkpad X1 Foldより開いたときに大きな画面を使えます。またZenbook 17 Foldより薄型軽量です。なお本体を開いて使う際には背面にスタンドが無いため、別途付属品のスタンドを使う必要はあります。

  • 開いて横向きにすれば大画面ノートパソコンになる

画面は縦向きにすることもできます。この状態で画面を少し折り曲げればスタンド無しでも使えます。付属のキーボードと組み合わせたりすれば、LG gram Foldは何パターンものスタイルで使うことができるのです。

  • 縦画面で使うのも便利だ

なお開いた状態のまま大型タブレットとして使用することも可能です。開いたときの厚さは9.4mm。とはいえ17型ではちょっと大きすぎるかなと思いました。動画を見たりブラウジングをする用途よりも、別売のスタイラスを使って絵を描いたり図面をチェックする、といったクリエイティブな使い方に向いていそうです。

  • 17型タブレットとして使うのもいい。厚さは9.4mmだ

  • オプションのスタイラスは充電式。イラストなどを描くのに向いている

なかなか便利そうなLG Gram Foldですが、気になるのは価格です。韓国では発売時4,999,000ウォンでしたが、現在は年末セールなのか3,999,000ウォンまで値下げされていました。円安前ならば約40万円ですが、現在のウォンに対する日本円のレートでは、約46万円ということになります。まだ種類は少ないとはいえ、折りたたみノートパソコンの中ではサイズ感に優れたLG gram Fold、ぜひ適価で日本市場へ投入してほしいものです。

  • 価格は高いが魅力的な製品だ