日本では京セラがタブボディーのスマートフォン「TORQUE」を販売しており、海外でもアウトドアユースにフォーカスしたものが多数販売されていますが、たいていは本体サイズが大きく、またデザインもゴツイために普段使いはできそうにないものも多いのが事実です。そんな中、Doogeeから、レザー調の背面仕上げに大容量バッテリーを搭載、ナイトビジョンとサーマルカメラを装備し、さらに5Gにも対応する「V20 Pro」が登場しました。キャンプのみならず本格的な登山やアウトドアユースにも使えそうな製品です。

  • Doogee V20 Pro

V20 Proの主なスペックはディスプレイが6.43インチ、表面はゴリラガラスに覆われ強度を高めています。チップセットはエントリー5Gモデル向けのDimensity 700、メモリは12GBですが仮想的にストレージから8GBを追加し最大20GBまで利用可能、ストレージは256GBです。バッテリーは6,000mAhと一般的なスマートフォンより2割程度大きな容量で、長時間の利用も安心でしょう。スペックを見るとミドルレンジクラスの製品といえます。

  • ミドルレンジクラスの性能を持つ

スマートフォンの性能で誰もが気になるのがカメラですが、V20 Proのカメラのアプローチは一般的なスマートフォンとは異なっています。メインカメラは6,400万画素で、通常はこのカメラを使用します。特徴的なのは他の2つのカメラで、1つは2,400万画素のナイトビジョンカメラ。そしてもう1つがサーマルイメージカメラです。

  • トリプルカメラだが一般的なカメラは1つだけだ

サーマルイメージカメラは被写体の温度分布を撮影できます。山や森の中で目の前が見えない状況でも、サーマルイメージカメラを使えば動物などがいればその姿を温度分布の形で見せてくれます。アウトドア向けスマートフォンの中にはこのサーマルカメラを搭載しているモデルも多くありますが、V20 Proは1キロメートル先の温度まで認識できるといいます。

  • サーマルカメラの撮影例

  • 1キロ先でも温度を測定できる

また身近な物体や人物の温度、体温を測定できるのも便利かもしれません。

  • 動物の温度もわかる

本体はIP68の防水防塵、IP69Kの耐高圧高温水、MIL-STD-810H準拠のタフなボディー。このあたりはアウトドア向けスマートフォンの専業ともいえるDoogeeの製品なのでしっかりした造りになっています。

  • アウトドア性能も非常に高い

V20 Proのような製品は数年前から数社が手掛けており、海外のオンラインストアなどで販売されています。日本でも一部業者がAmazonなどで販売しているものの、日本の技適が通っていないものもあり、あまり知られていないのが現状です。大手メーカーがハイエンドからエントリーまで様々な製品を出す中で、中堅どころのメーカーはV20 Proのようなタフボディー製品で差別化を図ろうとしています。

  • 本体にスタンドが内蔵されているのも使いやすそうだ

これらのタフネススマートフォンも当初はサイズが大きくデザインも野暮ったいものが多かったのですが、この1年ほどで各社の製品はスタイリッシュで仕上げもより美しくなっています。そして価格を重視していることもあり4G対応製品ばかりでしたが、ここにきて5G対応モデルも少しずつ増えています。これから5Gの普及が始まることを考えると5G対応は中堅メーカーにとっても必須でしょう。

  • 側面ボタンにショートカット機能を搭載するなどの工夫もみられる

なおV20 Proの本体サイズは170.5x81.2x14mm、297gです。サイズは一般的なスマートフォンより厚く重いものの、最近出てきている折りたたみスマートフォンと比較するとそれほど大きいものでもないと言えます。ちなみにGoogleの「Pixel Fold」は283g。折りたたみスマートフォンと比較するものではないでしょうが、V20 Proのサーマルカメラやナイトビジョンカメラをアウトドアで使ってみたいと思うユーザー層は一定数いるはずです。

  • ニッチな製品ではあるが欲しいと思うユーザーは一定数いるだろう

さて日本では京セラはコンシューマー向けのスマートフォン事業から撤退を発表しましたが、「TORQUE」シリーズは引き続き開発を続けるそうです。つまりタフなスマートフォンの需要は日本でもしっかりあるということなのです。V20 Proの価格は海外では500ドル程度、約7万円で販売されています。日本でもアウトドアストアあたりが正規に輸入して販売したら意外と売れるかもしれませんね。