スマートフォンのカメラ性能の進化が続く中で、今度はスマートフォンそのものをカメラのようなデザインにした製品が現れました。OPPOが2021年9月16日に発表した「Find X3 Pro Photographer Edition」は、往年の機械式のカメラを思わせるようなちょっとレトロ感あふれるデザインになっています。
Find X3 Pro Photographer Editionは日本でも販売中の「Find X3 Pro」をベースモデルとしています。OPPOがソニーと共同開発したカメラセンサー「IMX766」を2つ搭載する贅沢なモデル。広角5,000万画素+超広角5,000万画素+望遠1,300万画素、そして300万画素の顕微鏡という構成は「カメラフォン」として他のメーカーとは一味違う魅力を持っています。
このPhotographer Editionモデルの基本性能はベースとなるFind X3 Proと変わっていません。大きく変更されたのは外観、そしてケースやアクセサリなどの付属品です。
OPPOは「本物のカメラ」のデザインをスマートフォンに取り込むために、老舗のカメラメーカーであるコダックと提携を行いました。Find X3 Pro Photographer Editionにはコダックのロゴは入っていないものの、1938年にアメリカで最初に製造された35ミリのフィルムカメラ「Kodak 35」にインスパイアされたデザインを採用しているそうです。
Find X3 Pro Photographer Editionの本体は黒とグレイのツートンカラー仕上げ。上半分のグレー部分は金属、下半分のブラックは革風仕上げですが、おそらく素材はビーガンレザーでしょうか。スマートフォンでありながらも、しっかりとカメラらしい雰囲気を演出しています。
それではこのFind X3 Pro Photographer EditionをOPPOはどんなターゲットに売ろうとしているのでしょうか? カメラ性能に優れていることから、スマートフォンで写真撮影を好むユーザーを狙っていると考えるのが自然でしょう。しかしレトロなカメラのデザインは、ここ数年増えている、スマートフォンではなくあえて純粋なカメラで写真撮影を楽しむ「カメラ女子」と呼ばれる層に好まれそうです。
OPPOのプロモーションビデオを見ると、若い女性がFind X3 Pro Photographer Editionを手に写真撮影を楽しむ様々なシーンが出てきます。「カメラのような端末で街の風景を切り取る」そんな感覚で写真を撮れるのがFind X3 Pro Photographer Editionなのでしょう。
そういえばコダックも2016年にスマートフォン「Kodak EXTRA」を発売しました。背面は樹脂仕上げですが、カメラ風のデザインにまとめているあたりは、カメラスマートフォンは外観もそれっぽくするべきという思想があったのでしょう。残念ながらこのモデルは販売が思わしくなかったようで、その後後継機は出てきていません。
カメラ風デザインのスマートフォンとしては、2021年7月にライカの「Leitz Phone 1」が発売されました。ライカのカメラをイメージさせるように、本体側面にはローレット加工がされており、カメラ部分を覆うライカロゴ入りのレンズキャップも付属します。どこから見ても「ライカの製品」に仕上げたLeitz Phone 1ですが、日本でしか販売されていないため海外ではあまり大きな話題にはなっていないのが残念なところです。
OPPOは2021年6月に「Find X3 Pro Mars Exploration Edition」を出しています。これは中国初の火星探査機「天問1号」のミッション成功を祝して発売したものです。OPPOはそれだけではなく日本のアニメとのコラボモデルも数多く出しており、スマートフォン本体のバリエーションモデルの展開を得意としています。
OPPOのコラボモデルはほとんどが中国のみの販売でした。おそらく版権の問題があるのでしょう。今回のFind X3 Pro Photographer Editionの日本展開は不明ですが、OPPOのブランドイメージアップ効果が期待できますし、日本のカメラ女子にも注目されるかもしれません。ぜひ日本でも発売してほしいものです。