日本でもユーザーが多いASUSのスマートフォン、ZenFoneシリーズ。その最新モデル「ZenFone 6」は他メーカーのスマートフォンにはない大きな特徴を持っています。それはカメラが背面にしか搭載されていないのです。そしてフロントカメラを使うときは、そのメインカメラが回転して立ち上がり、前面から撮影もできるのです。
ZenFone 6はCPUがSnapdragon 855、RAM/ROMは最大構成で8GB/256GB、バッテリーは5,000mAhと大容量です。画面サイズも6.4インチと大型です。カメラは4,800万画素の高画質ワイドカメラと、1,300万画素で超広角なウルトラワイドカメラの2つを搭載。他社のフラッグシップモデルに十分対抗できる性能を持っています。
背面のカメラは本体から出っ張らぬように収納されています。通常の写真撮影時に気になることもありません。普通の高画質カメラとして使うことができます。
自分の顔を撮影するセルフィー時は、このカメラが180度起き上がって回転しフロントカメラになるのです。つまりフロント側でもこの高画質なカメラをそのまま利用できるというわけです。スマートフォンのカメラは一般的に背面のメインカメラは高画質で、フロントカメラはそれよりも画質が落ちます。しかしZenFone 6はカメラを回転式とすることでフロント/リアのどちらでも美しい写真が撮影できるのです。
またカメラが回転する機構を活用することで、ZenFone 6のカメラは他社製品にはないトラッキング機能も搭載しています。カメラを向けて追跡したい被写体にフォーカスを合わせると、こちらが動いてもZenFone 6のカメラが自動で追随して、被写体を常に真ん中の位置に合わせて動画を撮影してくれるのです。
さすがにカメラの手振れ補正をしてくれるジンバルのように、上下左右自由にカメラの位置を向けてはくれませんが、街中で立ち止まり動く被写体の動画を撮るとき、あるいはYouTube動画で画面に向かって話しながら自分の顔を撮影するビデオをアップするときなどに便利でしょう。ZenFone 6ならこれまでのスマートフォンでは撮影しにくかった動画も容易に録画できるのです。
スマートフォンの画面の上に位置していたフロントカメラも、画面サイズが大きくなればなるほど邪魔な存在となってしまいました。しかしフロントカメラを廃止すると、セルフィーをしないまでもビデオ通話時などに困ります。そのため各社はフロントカメラを「隠す」製品の開発を進めています。
フロントカメラを指先の大きさにして、必要な時だけ本体からポップアップさせる製品はすでに複数出ています。日本で発売されたOPPOの「FIND X」のように、本体上部がまるごと上下に動く製品も登場しました。
このようにフロントカメラを隠すことで画面の「フルビュー化」が実現できます。とはいえカメラを上下に動かすにはモーターが必要ですし、それなりの耐久性も必要です。また背面カメラの数も増える中で、さらに飛び出すフロントカメラも本体に内蔵させるとなると、カメラ周りの設計も大変になっていきます。
カメラをモーターで動かすのならば、上下に動かすことも、前後に回転させることもあまり差は無いかもしれません。しかも前後に回転させられれば、フロントカメラを廃止してメインカメラに統合できます。あとは耐久性だけが問題となりますが、最近はモーションセンサーの性能も高まっており、ZenFone 6は本体を落とすとその落下の動きを感知してカメラが瞬時に回転して元の位置に収納されます。またカメラ部分も10万回の動きに耐えられるとのこと。
実はASUS以外にもカメラが前後に回転するスマートフォンが発表されています。サムスンの「Galaxy A80」です。Galaxy A80は背面カメラが一度上にスライドし、さらに前に回転するという2段階のギミックを採用しています。ZenFone 6同様にフロントカメラのない画面を広々と使うことができますが、トラッキング機能は備えていません。その点ではZenFone 6のカメラのほうが高機能かつカメラの新しい使い方を提案していると言えます。
YouTubeでの動画視聴は当たり前になりましたし、TikTokのように動画をつかったSNSサービスも増えています。コミュニケーションの手段が変わればスマートフォンの機能もそれに合わせるように進化していきます。ZenFone 6は今の流行のサービスに最適なカメラを搭載したスマートフォンと言えるかもしれません。