こんにちは、阿久津です。Windows 8が一般公開されてから三カ月経ちました。そろそろWindows 8がコンピューター市場に与えた影響が、数字として反映される時期になりました。本誌のニュース記事でも紹介されているように、米市場調査会社の日本法人となるIDC Japanによりますと、「日本国内における2012年のクライアントPC出荷台数は年間で1,558万台」とのこと。前年比0.6パーセント減のマイナス成長となりました。

IDC Japanのプレスリリースでは、同社携帯端末&クライアントソリューショングループマネジャーである片山雅弘氏の「Windows 8に起爆剤としての効果を期待したが、残念ながら不発に終わった」という分析を引用し、「未だにWindows 8の良さがユーザーに十分に伝わっていないようだ。(中略)早く対処しないと、"使いづらい"というレッテルを貼られる可能性もある」と述べています。

そこで興味深いのは、Windows 7がリリースされた2009年10月22日以降の市場傾向。既にIDC Japanのサーバーからは削除されていますが、2010年のクライアントPC総出荷台数は1,578万台。数字の上では20万台の差が生じています。もっとも2009年を対象にした前年比は17.9パーセント増と大幅に増え、Windows 7のリリースがコンピューター市場に影響を与えたのは明らかでした。

2007年の総出荷台数を見つけられなかったため、Windows Vistaの影響は確認できませんでしたが、多くのユーザーがWindows 8を従来のデスクトップ/ノート型コンピューターで使用し、モダンUI(ユーザーインターフェース)と呼ばれるタブレット型コンピューター向けUIに、魅力を見いだせていないのが現実なのでしょう。筆者の意見は繰り返しになるため簡潔に述べますが、パーソナルコンピューターのあり方が変化しつつある過渡期において、Windows 8の変化は必要です。しかし以前のように、キーボードとマウスだけで使用するユーザーへ選択の余地を残す方法は他にもあったのではないでしょうか。

さて、Windows 8には従来の"デスクトップアプリ"と、Windowsストア経由で入手する"Windowsストアアプリ"と二つのアプリケーションが存在します。前者に関しては以前とWindows OSとロジックは変わりませんが、後者のWindowsストアアプリはダウンロードしたファイルを「%ProgramFiles%\WindowsApps」フォルダー下に展開する仕組み。アンインストールもアプリバーのボタンから実行できますが、その他の方法があることをご存じでしょうか。それがPowerShellです(図01~12)。

図01 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「%ProgramFiles%\WindowsApps」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02 フォルダーに対するアクセス許可がないことを示すダイアログが現れます。<続行>ボタンをクリックしてください

図03 アクセス許可設定が変更できなかったことを示すダイアログが現れます。リンクとして用意された<セキュリティタブ>をクリックしてください

図04 フォルダーのプロパティダイアログが起動したら、<詳細設定>ボタンをクリックします

図05 続いてセキュリティの詳細設定ダイアログが起動します。今度は<変更>をクリックしてください

図06 ユーザーまたはグループの選択ダイアログが起動します。<詳細設定>ボタンをクリックしてください

図07 同じダイアログの表示形式が変化します。検索結果から「Administrators」グループを選択して<OK>ボタンをクリックしてください

図08 元のダイアログに戻し、オブジェクトとしてAdministratorsグループが選択されました。そのまま<OK>ボタンをクリックしてください

図09 セキュリティの詳細設定ダイアログに戻ります。<サブコンテナーとオブジェクトの所有者を置き換える>をクリックしてチェックを入れてから<OK>ボタンをクリックします

図10 これでサブフォルダーを含む「%ProgramFiles%\WindowsApps」フォルダーの所有者がAdministratorsグループに変更されます

図11 再び図01の手順を実行しますと、図02と同じダイアログが現れますが、気にせず<続行>ボタンをクリックしてください。これでWindowsストアアプリのファイルを確認できます

図12 Windowsストアアプリは、タイルを右クリックすると現れるアプリバーの<アンインストール>ボタンをクリックすれば、簡単に削除できます

Windows 7以降標準搭載されるようになったPowerShellは、.NET Framework 2.0をベースとしたオブジェクト指向のCLI(コマンドラインインターフェス)。PowerShellはcmdlet(コマンドレット)と呼ばれるプログラムをコンポーネントとして使用し、Windows OSの各種操作を実行することが可能です。今週はこのPowerShellを利用して、Windowsストアアプリを削除するチューニングをお送りします。

1. 管理者権限でPowerShellを起動します。
2. 「Get-AppXPackage -User {ユーザー名} | Remove-AppXPackage」を実行します。

これでチューニングが終了しました(図13~17)。

図13 [Win]+[Q]キーで検索チャームを起動し、テキストボックスに「Power」と入力してください。検索結果として「Windows PowerShell」が現れます

図14 「Windows PowerShell」を右クリックし、アプリバーの<管理者として実行>をクリックします。もしくは図13の時点で[Ctrl]+[Shift]キーを押しながら「Windows PowerShell」をクリックしてください

図15 これでPowerShellが管理者権限で起動しました。「Get-AppxPackage -AllUsers」と入力して[Enter]キーを押せば、Windows 8にインストールされているすべてのWindowsストアアプリが列挙されます

図16 自身がインストールしたWindowsストアアプリを列挙する場合は「Get-AppXPackage -User {ユーザー名}」と入力して[Enter]キーを押してください

図17 それではユーザーがインストールしたWindowsストアアプリを削除します。「Get-AppXPackage -User {ユーザー名} | Remove-AppxPackage」と入力して[Enter]キーを押してください。いくつかエラーが現れますが気にする必要はありません

それでは、結果を確認します。スタート画面を開くと「Internet Explorer」と「(Windows)ストア」「デスクトップ」を除いたすべてのWindowsストアアプリが削除されました。これは、Windowsストアアプリの更新でPackageUserInformationが自身のアカウントに変更されるため起きる現象です。そのため、「Get-AppXPackage | Remove-AppxPackage」とユーザー名を明示しない方法でも結果は同じ。Windowsストアアプリを個別に削除するのであれば「Remove-AppXPackage」コマンドレットを使いますが、それならアプリバーから削除した方が簡単でしょう(図18)。

図18 実行後にスタート画面を開きますと、ほぼすべてのWindowsストアアプリが削除されたことを確認できます

このようにPowerShellを使えば、コマンド一つでWindowsストアアプリをまとめて削除することが可能です。なお、「ストア」を使用すれば必要なWindowsストアアプリを復元することもできますので、Windows 8を以前のようにデスクトップを中心にお使いになりたい方はお試しください。なお、本チューニングを実行しても「%ProgramFiles%\WindowsApps」の内容はすべて削除されません。先の手順で所有者およびアクセス権を変更してから、すべて削除してください。その状態でも「Internet Explorer」「ストア」の動作やWindowsストアアプリの追加は可能でした(図19~20)。

図19 チューニング後に「%ProgramFiles%\WindowsApps」フォルダーを確認しますと、約1.5ギガバイトの容量を消費していました

図20 こちらは削除後の同フォルダー。この状態から任意のWindowsストアアプリもインストール可能でした

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus