こんにちは、阿久津です。最近では定番データとして各メディアが利用している米国調査会社の「Net Applications」ですが、2013年2月時点のデータが公開されました。コンピューター向けOS(オペレーティングシステム)のシェア率(市場占有率)を示す「Desktop Operating System Market Share」によると、Windows 8は発売から4カ月を過ぎた時点で2.7パーセント。Windows Vistaの5.17パーセントを超えていません(図01)。

図01 「Net Applications」の2013年2月時点の「Desktop Operating System Market Share」をグラフ化したもの

その一方でシェア率の推移を示す「Desktop Top Operating System Share Trend」は、Windows XP、Windows Vista共にシェア率は落ちていますが、Windows 8とMac OS X 10.8は低位な伸び率ながらも成長傾向にあるのは間違いありません。

ただし、Desktop Operating System Market Shareで用いる項目(=OS)はマイナーバージョンで細かく切り分けられています。例えばMac OS X 10は、小数点単位の異なるバージョンが異なる項目として扱われていました。また、Windows 8も"Windows 8 Touch"や"Windows 8 RT Touch"と分けられていますが、"その他"に埋没しています。この点をまとめてみました(図02)。

図02 同一のデータを基にバージョンごとに異なるデータを加算加工したグラフ。するとMac OS X 10が第3位に躍り出ます

するとMac OS X 10.xは7.17パーセント、Windows 8は2.79パーセントとなり、Windows 8よりも、Mac OS X 10のシェア率の方が高いことがわかります。もちろん全体的に見れば、Windows OSのシェア率は91.62パーセントと圧倒的ですが、一時期は倒産の憂き目を見たAppleとは思えません。

もちろん背景にはiOSデバイスの普及や、Windows 8のモダンUIというドラスティックな選択が裏目に出たと思われます。これからのMicrosoftは、自身が目指す方向性とタブレット型コンピューター市場のバランスを見誤ると圧倒的なシェアを失ってしまうかも知れません。

さて、最近の巷で話題になっているチューニングの一つがDWORD値「StartupDelayInMSec」です。同エントリをHKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Serializeキーに作成しますと、デスクトップアプリの起動時に発生していた遅延が改善されるというものだとか。確かに同じデスクトップアプリをWindows 7とWindows 8で比べてみるとワンクッションあるように感じます。そこで今週は同エントリを作成し、その効果を検証してみましょう。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Serializeキーを開きます(ない場合は作成します)。
3. DWORD値「StartupDelayInMSec」を作成します。
4. レジストリエディターを終了し、コンピューターを再起動します。

これでチューニングが終了しました(図03~10)。

図03 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorerまでキーをたどって開きます

図05 Explorerキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>とクリックします

図06 キー名を「新しいキー #1」から「Serialize」に変更します

図07 Serializeキーを開き、右ペインの何もない所を右クリック。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図08 値名を「新しい値 #1」から「StartupDelayInMSec」に変更します

図09 操作を終えたら、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

図10 設定チャームの<電源>ボタンをクリックし、メニューから<再起動>をクリックして、コンピューターを再起動します

早速結果を確認します。今回はローカルグループポリシーエディターとスタートアップフォルダーに現在の時刻を出力するバッチファイルを作成。さらにスタートアップフォルダーに適当なデスクトップアプリのショートカットファイルを30個ほど追加して、DWORD値「StartupDelayInMSec」の値を「0」と「6000(0x1770)」にした状態でベンチマークを取ってみました。その結果は7秒程度の差が生じています(図11)。

図11 DWORD値「StartupDelayInMSec」の結果。確かに数秒程度の差が生じました

そもそも本エントリは、Windows Embedded Standard 8 CTP3 Release Notesに記述されており、「Windows 8アプリランチャーを使用すると、Windows 8がすぐに始まらない」と述べられています。詳細は割愛しますが、Windows Embeddedに含まれるOSランタイムイメージ構築ツール「Image Builder Wizard」や「Image Configuration Editor」を使用した特定環境でWindowsストアアプリの起動が遅くなると述べられていました。

試しにDWORD値「StartupDelayInMSec」の値が「6000」の状態でWindowsストアアプリを起動してみましたが、普段と変わらず数秒ほどで起動しています。これらのことを踏まえますと、確かに本エントリはデスクトップアプリの起動に何らかの影響を及ぼしているのかも知れません。ただし、Process Monitorでレジストリアクセスを観察しても同エントリを参照しているプロセスは発見できませんでした。このことを踏まえ、本チューニングが適用されない環境があることをご承知ください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus