こんにちは、阿久津です。東日本大震災の影響で公開が延期されていたInternet Explorer 9日本語版が公開されました。執筆時点ではWindows Updateに列挙されませんが、公式サイト経由で入手することが可能です。

Internet Explorer 9は目新しいUI(ユーザーインタフェース)や、GPUを活用することによる表示の高速化などが目立ちますが、興味深いのは省電力に大した配慮がなされている点。

Internet Explorer 9を導入した環境では、電源オプションダイアログに「Internet Explorer」というトップカテゴリーが追加され、サブカテゴリとして「JavaScriptタイマーの間隔」が加わります。ここから選択できる設定項目は「最大の省電力」「最大パフォーマンス」の二種類。同項目はタイマーの分解能を、バッテリ駆動時やAC電源駆動時などの状況に合わせ、変化させるというもの(図01~02)。

図01: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「Rundll32.exe Shell32.dll,Control_RunDLL powercfg.cpl,,1」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02: ダイアログが起動したらスクロールバーで最下部の項目を確認してください。「Internet Explorer」というカテゴリーが加わっています

AC電源駆動時はパフォーマンスを優先するため、割り込みタイミングは短くなり、バッテリ駆動時は消費電力を軽減するために割り込みタイミングは若干長くなります。本機能に関してはIEBlogで詳しく解説されているように、日々リッチ化するWebコンテンツと限られた電力を効率よく消費するようになりました。

また、IEBlogで紹介されているように、各タブのレスポンスチェックを行い、応答がないタブを一時的にキューから取り除くことで、全体の応答性を向上させています。筆者自身は、相変わらずMozilla FirefoxのNightlyビルドがメインWebブラウザですが、Internet Explorer 9のパフォーマンスや各機能を鑑みると、メインWebブラウザを変更したくなってきました。後はキラーアイテムとなるアドオンが出そろえば……。

さて、今回の日本語版公開により、多くのユーザーがInternet Explorer 9へ移行すると思いますが、そこで気になるのがコンピューター初心者への配慮。例えば家族で同じコンピューターを使用している場合、子供などの一般ユーザーに設定を変更されるのは困ります。そこで定番ですが今回は、Internet Explorer 9のオプションを無効にするチューニングをお届けします。

1.管理者権限で「regedit」を実行します。
2.レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Internet Explorer \ Restrictionsまでキーをたどって開きます(ない場合は作成します)。 3.右ペインにDWORD値「NoBrowserOptions」を作成します。
4.DWORD値「NoBrowserOptions」を開き、値のデータを「1」に変更します。
5.次にHKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerキーを開きます。
6.右ペインにDWORD値「DisallowCpl」を作成します。
7.DWORD値「DisallowCpl」を開き、値のデータを「1」に変更します。
8.Explorerキーの下にDisallowCplキーを作成します。
9.DisallowCplキーを開き、右ペインに文字列値「1」を作成します。
10.文字列値「1」を開き、値のデータを「インターネット オプション」に変更します。
11.レジストリエディターを終了し、Windows 7に再ログオンします。

これでチューニングが終了しました(図03~21)。

図03: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoftまでキーをたどって開きます

図05: Microsoftキーを選択した状態で、<編集>メニュー→<新規>→<キー>とクリックします

図06: キー名を「新しいキー #1」から「Internet Explorer」に変更します

図07: Internet Explorerキーを選択した状態で、<編集>メニュー→<新規>→<キー>とクリックします

図08: キー名を「新しいキー #1」から「Restrictions」に変更します

図09: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図10: 値名を「新しい値 #1」から「NoBrowserOptions」に変更します

図11: DWORD値「NoBrowserOptions」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図12: 次にHKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Policies \ Explorerキーを開き、右ペインの何もないところを右クリック。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックします

図13: 値名を「新しい値 #1」から「DisallowCpl」に変更します

図14: DWORD値「DisallowCpl」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図15: Explorerキーを選択した状態で、<編集>メニュー→<新規>→<キー>とクリックします

図16: キー名を「新しいキー #1」から「DisallowCpl」に変更します

図17: 右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<文字列値>とクリックします

図18: 値名を「新しい値 #1」から「1」に変更します

図19: 文字列値「1」をダブルクリックし、値のデータを「インターネット オプション」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図20: 操作を終えたら、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

図21: <スタート>メニューの電源ボタンから<ログオフ>をクリックして、Windows 7に再ログオンします

それでは結果を確認してみましょう。まずはInternet Explorer 9を起動し、[Alt]キーを押してメニューバーを表示させてから、<ツール>メニュー→<インターネットオプション>と選択してください。すると制限ダイアログが起動し、オプションダイアログの起動が抑制されました。これはDWORD値「NoBrowserOptions」による機能抑制の結果です(図22~23)。

図22: [Alt]キーを押してから、<ツール>メニュー→<インターネットオプション>とクリックします

図23: オプションダイアログの呼び出しが抑制されました

今度は<スタート>メニューなどからコントロールパネルを起動してください。すると一覧から「インターネットのオプション」が取り除かれていることが確認できるはずです。これは、コントロールパネルのアプレット表示を制限するDWORD値「DisallowCpl」と、指定した同アプレットを非表示にする文字列値「1」による結果です(図24~25)。

図24: <スタート>メニューから<コントロールパネル>をクリックします

図25: コントロールパネルアイテムの一覧から「インターネットオプション」が取り除かれました

これでGUI操作によるインターネットのプロパティダイアログ起動は抑制されました。コンピューター初心者に対する機能制限であれば、これで十分でしょう。ただし、「inetcpl.cpl」を実行することで同ダイアログを呼び出すことは可能です。より、厳しい機能制限を施すチューニング方法もありますが、誌面も尽きてきましたので続きは次回お送りいたします(図26~27)。

図26: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「inetcpl.cpl」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図27: これでインターネットのプロパティダイアログが起動します

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)