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間もなく登場するであろうWindows 10 Creators Updateでは、更新プログラムの適用タイミングが変更される。今回はWindows 10 バージョン1607との違いを解説しよう。

「Windowsをスムーズに実行」するために必要な更新プログラムとは

まずは下図に示した2つのスクリーンショットをご覧いただきたい。1つめはWindows 10 バージョン1607(Anniversary Update)、2つめはCreators Update候補のWindows 10 Insider Preview(執筆時点ではビルド15061)の「設定」に並ぶ「更新とセキュリティ/Windows Update」だ。

Windows 10 バージョン1607の「更新プログラムの設定」セクション

Windows 10 Insider Previewの同セクション。ちなみにビルド15058辺りから変更が加わった

Windows 10 バージョン1607の「更新プログラム」セクションでは、「利用可能な更新プログラムが自動的にダウンロードされ、インストールされます。従量制課金接続(料金が発生する場合があります)では実行されません」とある。

だが、Windows 10 Insider Previewでは、「更新プログラムは自動的にダウンロードおよびインストールされます。ただし、料金がかかる可能性のある従量制課金接続の場合は、引き続きWindowsをスムーズに実行するために必要な更新プログラムのみが自動的にダウンロードされます」と、一部条件が変化したことが読み取れる。

ポイントはどの更新プログラムが「Windowsをスムーズに実行するために必要」なのかという点だ。残念ながらMicrosoftはこの仕様変更について言及しておらず、あくまで推測だが、ここにはデバイスドライバーやWindows Defender用定義ファイルは含まれないだろう。例えば、前者には「従量制課金接続でのダウンロード」という項目を用意し、ユーザーが必要に応じてダウンロードの是非をコントロールできるからだ。

デバイスドライバーなどは、従量制課金接続時のダウンロードを抑止できる

他方で、セキュリティ問題を改善する更新プログラムは大多数が対象になると思われる。「マイクロソフト セキュリティ情報」を確認すると、更新プログラムには「深刻度」を付与し、我々が迅速に対応すべき事柄は「緊急」、危険性が高いものは「重要」など区分してきた。先の一文を素直に読むとパフォーマンス的な問題に対応するように見えるが、セキュリティホールはOSの利用を阻害する要因となるため、対象に含まれるはずである。

また、通常のバグフィックスや機能強化を行う更新プログラムも対象となるだろう。直近のWindows 10 バージョン1607向け更新プログラム「KB4013429」では、MS-IMEで100文字ほど入力するとGDIリソースでリークが発生し、ウィンドウ描画が乱れるバグを修正している。こちらも「Windowsをスムーズに実行」するために欠かせない更新プログラムだ。

いずれは、すべての更新プログラムが従量制課金接続環境でもダウンロード対象となるかもしれない。Anniversary UpdateやCreators Updateといった大型アップデートも対象に含まれるはずだが、さすがにこの辺りは除外されるだろう(そうでないと困るユーザーが大量に発生してしまう)。

少々気の早い話だが、適用せざるを得ない更新プログラムだからこそ、モバイルホットスポット(テザリング)やモバイルWi-Fiデバイスで従量制課金接続を行っている方は、パケ死にならないように注意してほしい。

阿久津良和(Cactus)