数年前、クレジットカードで不正請求を受けたことがあります。筆者は現金を持たない主義なので、ほぼクレジットカードで生活をしています。サービス内容が気に入っており、海外のクレジットカードを2枚所有しています。ただ、海外のクレジットカードだけでは使えない店舗もあるため、3枚目のカードを国内のクレジットカード会社で利用していました。海外のクレジットカード2枚はステータスが高く、年会費もそれなりの金額になります。

この海外クレジットカードは2枚ともしっかりとした運営がされており、以下のようなことが起こると、一時的にカードを停止し、すぐにコンシェルジュから連絡があります。

  • 同じ時間帯に離れた場所で決済があった場合
  • 同じ内容で複数回決済があった場合
  • 巨額な決済があった場合

過去に不正利用があった時もすぐに対応してもらえ、筆者にはまったく損害がありませんでした。そのほか、海外旅行中にレンタカー会社の返却場所がオープンになっておらず、飛行機の時間が迫る中で助けていただくなど、筆者の中では絶大な信頼が築き上げられています。

年会費無料クレジットカード利用で発生した不正請求による損害

こうした2枚のクレジットカードに対し、3枚目のクレジットカードはテレビCMでも宣伝をしている高ポイントが付与される年会費無料のクレジットカードでした。数年前にクレジットカードで不正取引の被害に遭ったのはこのカードでした。状況は以下の通りです。

  • 毎月1万円くらいの海外のクレジットカード請求が発生していることに気が付く
  • その請求名にあるサイトは以前使用したことがあり、会員登録しているが、その履歴には購入または利用している履歴が見当たらなく、当時は利用していなかった
  • そのサイトにお問い合わせをしても返事が来ない

そこで、クレジットカード会社に連絡をしました。連絡した内容とやり取りは以下の通りです。

筆者: 「その不正請求があったので、過去の●万円分の支払い分を返してほしい」

クレジットカード会社: 「当社には非がないため、返金はできません。規約にも書いてある通りです。また、本当に使っていないか確認してください」

筆者: 「それでは、その不正請求を止めてください。今後請求があっても支払わないでください」

クレジットカード会社: 「それもできません。請求があった場合は、吉政様に請求いたします」

筆者: 「それではクレジットカードを解約すれば止められますよね」

クレジットカード会社: 「解約しても請求がある限り、吉政様への請求が止まることはありません。XXXX社に確認して請求を止められてはいかがでしょうか?」

筆者: 「XXXX社に連絡しても返事がないので、止めようがないのです」

クレジットカード会社: 「そうですか。当社としましてもこれ以上対応ができません。ご了承ください」

筆者: 「そっ、そんな。不正請求があっても止められず、解約しても請求が続くなんておかしいじゃないですか。そもそも、クレジットカードの仕組みを運営しているのは貴社で、不正利用はその仕組みから起こっているものなので、貴社の責任でこの問題を解決して、私が受けた損害はすべて賠償してほしいです」

クレジットカード会社: 「当社が補償するのはインターネットネットでの決済を除く、クレジットカード決済機での決済に限定しています。インターネット決済のトラブルはすべてお客さまの自己責任で行っていただくことになっております。規約にもそのように書いてあります」

この交渉の結果、どうなったかというと……泣き寝入りをせざるを得ませんでした。すぐにクレジットカードを解約したので、不正請求は止まりましたが、不正請求の金額は戻ってきませんでした。

上記の筆者とクレジットカード会社のやり取りは突っ込みどころ満載のトークだと思うのですが、おかしなところは以下の2点です。

  • 不正請求を拒否できないこと
  • 不正請求であり、かつ、クレジットカードを解約した後も請求が続くこと

普通のしっかりしたクレジットカード会社であれば、ユーザーが不正請求と進言した請求先を止めることができます。そして、クレジットカードの解約を行った後は決済ができないため、請求も止まらなければならないのに、請求が続くと説明されています。

今回の件で驚いたのは、このメジャーな年会費無料のクレジットカード会社ではインターネット決済での補償がかなり弱く、自己責任での決済になってしまっていることです。これはちょっと調べるとわかりますが、年会費無料のクレジットカードでは割と一般的なことのようです。

クレジットカードの不正請求に泣き寝入りしないために

当時のクレジットカード会社の請求書には簡単な請求元の名前しか書かれておらず、本当に会員だった会社からの請求かどうかも確定していません。もしかしたら、同じような名前の違う会社からの不正請求かもしれません。または、私がその会社の会員だったことをその不正請求者は知っていて、すぐに気が付かないような金額でその会社の名前で毎月不正請求をしていたのかもしれません。

原因は今も断定できていないのですが、当時、海外のサイトで釣り道具や魚のオブジェを通販で買っており、その際にクレジットカードで決済をしていたので、その時の処理で何か起こったのではないかと想像しています。

筆者が受けた被害に遭わないようにするには、海外の知らないサイトで決済しないことということはもちろんですが、日本でも不正サイトは存在します。以前、妻がクレジットカード決済で購入した製品が届かなかったこともあります。多くの読者の方が感じていると思いますが、詐欺の手口が年々巧妙になっていますので、自分の目で見て判断することも難しくなってきています。

そこで、お勧めなのが厳格なウイルス対策ソフトを利用することです。ウイルス対策ソフトにはスキャンが甘いものと厳しいものがあります。

スキャンが甘いとウイルスの検知率が低く、アラートが上がる割合が少ないので、PCやスマートデバイスが使いやすく感じますが、その分、リスクが上がります。一方、スキャンが厳しいと、安全性が確認できない微妙なものはすべて検知されるため、最初はアラートが多く上がります。しかし、その都度、ウイルス対策ソフトに学習させていけば、アラートが少なくなり、リスクがあるものを検知してくれるようになります。後者のような厳しめのウイルス対策ソフトを使われることをお勧めします。

さて、次回はクレジットカードの話に戻って、「リスクが高いクレジットカードの見分け方」についてお話しします。

著者プロフィール

吉政忠志


業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、DoctorWeb Pacific マーケティングアドバイザーを兼任。