ネットをフル活用するのがいっぱしのアングラーだ

今回からカープフィッシングのフィールド編をご紹介していこう。わたし的には釣行とは、大げさにいうと釣りから帰ってきた翌日から始まるものだと思っている。完全に病気(笑)かも知れないが、それぐらい次回の釣行が楽しみで仕方がないのだ。一般的には、釣りの予定が立ったその日から始まるのかも知れないし、釣行前日に慌ただしく準備しているときから始まるという人もいるだろう。しかし、自然の中で楽しむ遊びなので、せめて天気予報は、釣行予定日の1週間前からチェックするようにしてもらいたいのだ。

例えば、当日が晴れであっても、前々日まで大雨だったなんていうこともあるし、逆に今夏がまさにそうだったが渇水が続いて内陸は大減水などということもある。釣り場について、茶色く濁った湖を見るよりは、これまでの天候状況を把握して濁りを予想しておけば、せめて水がいくらかでもキレイな流入河川に近い場所に変更するということもできるようになる。最近では、ピンポイント天気予報などもあるので、釣行予定のフィールドの"まさにその場所"の天候だって知ることができるではないか。

その場合、もちろん情報の入手先はネットになる。ポータルサイトの天気コーナーでもいいし、気象庁のHPへ行ってきちんとしたデータをダウンロードしてきても構わない。天気予報に関しては、その人なりに見慣れた情報があるはずなので、それを活用すればオッケーだ。ちなみにわたしは気象庁発表のものと、民営サービスの両方を使っている。情報の入手先が違えば、若干ではあるが発表内容も変わることもあるので、それを見ながら自分にとって都合よく解釈、いや自分なりに分析するようにしている。

気象庁のHPでは、天気予報や各種警報などが分かる。釣りにも役立つ情報が満載だから、最大限に活用しよう

また、ネットから得られる情報はそれだけではない。最近では地図サービスなどを使えば空撮映像が容易に入手できることは知っていると思うが、実はこれがものすごく釣りには役立つのだ。空撮映像はサービスによって古いものもあれば、新しいものもあるが、湖沼などに関して言えば、それほど急激に変わることはない。ものによっては、晴天で透明度が高いときにフィールドを撮影したたものもあるので、そこの様子がうっすらと分かるものも多い。それだけでなく、すぐ近くにあるもっと良いポイントを見つけたり、意外な地形変化を見つけたりと、俯瞰による視点から得られる独特の情報を分析するのも実に楽しい作業になる。

Google Earthで釣り場を観察。流入河川の流れと本流がぶつかり、砂州が作られているのが分かる。こうした情報が事前に分かれば作戦もたてやすい

さらに、ネットを使ったサービスではライブカメラがある。フィールドを直接見られるものはさすがに少ないが、その近辺あるいは同じ水系という部分まで広げれば、ひとつやふたつはライブカメラがあるものだ。国土交通省管轄の河川管理事務所のHPにはこうした情報が詰まっていることも多いので、調べてみて近くにあるようならぜひチェックしていただきたい。釣行前日でも良いが、普段からちらちらと見ていると、風が吹いた時の波や霧の出やすい日など、フィールド独特の傾向が見て取れる場合もあるので実に楽しい。

先ほどのエリア近くのライブカメラ映像。この場所はタイドエリア(潮汐の影響を受ける地域)なのだが、川面の様子や水面の位置なども分かる

ネットから得られる情報はその他、行楽シーズンでは高速道路の渋滞情報は必ずチェックしておきたいし、近所の釣具屋のHPや"道の駅"、温泉などの入浴施設も調べておくと役立つ情報だ。いずれにしても、楽しい釣行のために頭に入れられる情報はフル活用するのがもっとも大切だ。

釣り場についたら何をする?

事前のネット活用も済んで無事に予定通りフィールドに到着したとしよう。すぐに釣りの準備に取り掛かりたいところだが、一番最初にやるべきことがある。それは水底のチェックだ。

通い慣れてくると特にそうなのだが、釣り人というのは知っているものと思い込んでしまう部分である。何しろ水面から下は人間には量れない世界である。毎回同じと思っていても、強風や水流によって流入物が流れ込んでいたり、逆に水底が掘り返されていたりしても全然おかしくはないのだ。もちろん、そうなれば魚の行動にも影響がある。いままで釣れてた場所なのに、ぜんぜん釣れない。なんていうときは要チェック。時間にして数分~数十分程度の作業なので、なるべく実行していただきたい。

やり方は複数あるが、一番確実なのは魚群探知機を使ってサーチする方法だ。別途ボートが必要になるので、かなり大掛かりになるが、そのフィールドが気に入ってこれから通いつめたいと思うようなら、この方法が最適だ。

魚群探知機というと、「いきなり魚を探すのか?」と思う人もいるかも知れないが、実際には魚群探知機は水深や地形変化を見る道具でもある。というか、モニターに映し出される魚影がコイなのか、ナマズなのか、フナなのか、というところまでは、よほど慣れないとわからないだろう。それよりも、自分が釣りをしたい範囲をじっくり流しながら、"かけあがり"(なだらかなスロープ状の地形※魚の回遊コースになりやすい)や、周囲と比べて深く掘れているフラットなエリア(餌がたまりやすい)、障害物の有無などを見ておくほうが良いのだ。

ボートが出せるなら、魚群探知機を使ってサーチするのが一番効率的。水深はもちろん、底の形状や障害物の有無などもすぐに分かる。ちなみにこの画像は岸に向かってなだらかに駆け上がっているうえ、水草が豊富なエリアであることが表示されている

ただし、事前に魚群探知機を用意する必要もあるし、フィールドにレンタルボートが無いこともあるだろう。わたしはルアー釣りをする関係で、魚群探知機はポータブルタイプや据え置き型などいくつか持っているが、そういう知人がいるケースはそれほど多くはないと思う。そんな場合は自分の手の感覚を使ってみるといい。

ロッドにリールをセットしてガイドにラインを通す。ラインの先にはオモリだけをつけて、前方に投げ込んでみてほしい。ゆっくりとズルズル引っ張ると、軽くなったり重くなったり、あるいはゴツゴツと手ごたえがあったりするはずだ。軽くなるのは手前に向かって水深が下がっているときで、重くなるときは逆に水深が浅くなっている。ゴツゴツした手ごたえは、下に岩があるか枕木などがあることが多いのだ。たったこれだけのことでも、ずいぶん情報が入手できることがご想像いただけるだろうか?

もっと慣れてくれば、底が砂なのか泥なのか、障害物が大きいか小さいかといったところまで分かるようになる。コイの場合、回遊コースは底がきれいになっていることが多いので、周囲が泥質なのに一部分だけ砂泥質だったり、障害物のすぐ近くに"かけあがり"や"かけさがり"などのスロープがあったりすれば、そこが絶好のポイントになりやすい。

これはカープフィッシングで使われるボトムサーチ用の道具だ。先端に浮きを付けることで、オモリを引いて底質を判断して、ここぞと思うポイントを見つけたら、浮きが水面に出るまでラインを出した長さで水深も測ることができる優れものだ

さすがに写真だとちょっと分かりづらいが、かけあがりの上にある砂泥質のポイントの真上に浮きが出ている。水深はおよそ4m。周囲はガレ場なので、コイを寄せるには絶好の地形だ。今日はこのポイントでじっくり粘ることにしよう

実績があるポイントには、そうした条件がいくつか重なっていることが多いので、後日魚群探知機を持ち込んでみると「なるほど!」と思うことも多い。もちろん、これを事前に知っていれば、勝利にそれだけ近くなることは確実だ。

次回は魚を集めるためのテクニック、撒き餌について解説しよう。