15日にクリエイティブメディアから発表されたワイヤレススピーカー「ZiiSound D5」を、試聴できたので簡単にレビューしてみたいと思います。なお、発売前の製品なので、実際に市場に並ぶ製品とは、部分的に異なる可能性があることをお断りしておきます。

Bluetooth接続で手軽に使えるワイヤレススピーカー「ZiiSound D5」

ZiiSound D5は、Bluetooth接続のワイヤレススピーカー。幅43cm程度、高さ/奥行きとも8.5cm程度の1ボックスのキャビネットに(スタンド部分を除く)、左右のスピーカーが内蔵されています。本体は、3点で接地していて、質量は、2.5kg程度。比較的重量感のある作りとなっています。

操作系は、本体の天面に配置されたタッチ式のボリュームコントロール、前面に配置された「CONNECT」ボタン、背面に配置された電源ボタンの3つだけで、非常にシンプルなものとなっています。

製品には、iPod用のBluetoothアダプター「BT-D5」が付属します(A2DP、AVRCP、apt-Xに対応)。アダプターとスピーカーとは、既にペアリングが行われた状態となっていて、ユーザーはとくに何も設定することはありません。アダプターをiPodのコネクタに接続して、再生すればスピーカーから音が出ます(同社によると、アダプターなしでもiPhoneなどとの接続は可能だが、その場合、iPhone側がAVRCPに完全には対応していないため、スピーカーのボリュームコントロールは、iPhone側からは行うことができないとのこと)。なお、iPod Touchを使用した場合の感覚ですが、タッチパネルでボリュームをコントロールした場合、1拍程度の若干のタイムラグが感じられます。ただ、これはボリュームコントロールの場合だけで、それ以外の操作ではそのようなことはありませんでした。

PCで使用する場合には、PCにBluetoothアダプターが搭載されていれば、とくに何も用意しなくても接続可能です(VISTAの場合、BluetoothのインジケーターからBluetooth設定を選択して、「新しい接続」を選ぶと、「Zii Sound D5」が検索される。「Zii Sound D5」のショートカットから「接続」を選べばOK)。Bluetoothアダプターが搭載されていないPCでは、別途アダプターを用意する必要がある。その場合、BT-D5同様にA2DP、apt-Xを利用可能とのことです(ただし、筆者が試用してみた限りでは、ノートPCに標準で装備されていたBluetoothユニットと聞き比べて、それほど顕著な差というのは感じられませんでした)。

ZiiSound D5は、接続がBluetoothなので(それ以外に、ライン入力1系統装備しているが)、ドアを隔てた隣の部屋などとの通信では、音がとぎれることがありますが、それは、この製品が、操作は手元にあるプレーヤー、再生はスピーカーというスタイルで使われるように考えられており、両者が同じ部屋にあるということが前提だからということなのでしょう。

使用されているスピーカーユニットや、出力については公開されていませんが、表面は布で覆われており、触ってみると、幅9cm程度×高さ7cm程度の長方形の開口部が左右に2箇所存在します。これは、スピーカーユニットが、直接本体キャビネットに取り付けられているのではなく、いったんスピーカーボックスに取り付けられ、そのスピーカーボックスがモノコックタイプの本体キャビネットに取り付けられるという構造になっているためとのことです。また、背面左側には1本のバスレフポートが存在します。

音量は、筆者が8畳程度の部屋で聞いた場合、ボリュームを10段階中の4段階まで上げた程度で十分でした(夜間だと、これでもうるさいかもしれない)。普通のリスニング環境として、パワーが足りないということは、あまりないでしょう。音量を上げた際にも、とくにバランスが崩れたり、もちろん、音が割れるといったことはありませんでした。

音質面では(このタイプのスピーカーにどういった音質を求めるのかという問題があるのですが)、ワンボックスタイプとしては比較的しっかりとしたキャビネットの効果なのか、変な癖はなく、パワフルな中低域が印象的です。例えば、BGM用として長時間使用していても、いわゆる聞き疲れしないサウンドといった感じです。また、Bluetoothによる帯域のハンデというものも、とくに感じられません。ただ、よりよい状態で聞くには、セッティングも重要です。左右よりも、上下方向での指向性が比較的強く感じられる傾向があるため、スピーカーを置く場所の高さに、気を配る必要があります(フロントパネルがリスナーの正面に向いているほうが、高域が届きやすい)。また、背面にバスレフポートが配置されているため、設置場所と壁との距離で、低域の出方が大きく変化します(壁に近づけるほど、低域が増強される)。もちろん、ワンボックスタイプの小型スピーカーなので、例えばモニタータイプのスピーカーなどと比較すると、広がり感や、定位、解像度、音の抜けのよさといった面では苦しい面もあるのも事実ですが、そういったものと比べるほうが間違っているのでしょう。そういったシステムにはない手軽さこそが、このスピーカーの持ち味です。

いずれにせよ、ZiiSound D5は、ワイヤレスならではの手軽さがポイントとなる製品です。ノートPCや、携帯電話などに保存されている音楽を、いちいちラインで接続することなく、聞くことができるというのは、なかなか便利な環境です。

上部には、iPodを取り付け可能なドック上の部分があるが、これは充電専用で、ここに接続した場合でも信号はBluetoothで送られる

アナログのライン入力(3.5mmステレオミニジャック)も1系統装備。ただし、Bluetoothとライン入力の両方から信号を送った場合、2つの音が混ざって再生される

左が「ZiiSound D5」に付属するiPod用のBluetoothアダプターで、右がオプションのPC用のBluetoothアダプター