この記事では、スマートフォンや音楽プレーヤーに付属するイヤホンからの買い換え対象になりやすい価格帯の製品について、使い勝手や音質などをチェックしている。今回は、ソニーが2014年1月に発表した「XBA-C10」を取り上げたい。XBA-C10は、バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを採用した密閉型インナーイヤーレシーバーだ。
BAドライバーを採用するヘッドホンやイヤホンは、ダイナミック型の製品に比べて高価という印象があるが、XBA-C10の希望小売価格は4,700円(税別)、量販店では3,000円台で販売されていることが多く、ネットショップなどでは2,000円台で売られていることも見られる。ダイナミックドライバーを採用するエントリークラスのイヤホンと、価格的に競合するラインだ。
シングルBAドライバーモデルならではのコンパクトなサイズ
まずは、XBA-C10の外観からチェックしていこう。下の写真は、同じソニーの「XBA-H1」との比較だ。XBA-C10のハウジングは非常にコンパクトにまとめられている。
装着性を高めるために、ハウジングには三角形のループ状の「フィッティングアシスト機構」が設けられている。実際に装着してみると、非常に収まりがよい。コンパクトで、耳から出ている部分が少なく、邪魔にならない。軽量なため、長時間の装着でも耳への負担は少ない。フィッティングアシスト機構により、触っただけで左右が確認でき、装着時に迷うことがないのもポイントだ。
絡まりを抑えるセレーションコード
XBA-C10は、セレーションコードを採用している。セレーションコードは、縦方向に細かな溝が刻まれたコードだ。絡みにくいという特性を持っている。ただし、XBA-C10に採用されているセレーションコードは、同社の他のモデルに比べると、やや細い。
写真は、XBA-C10とXBA-H1のコードを比較したものだ。XBA-H1ではフラットタイプのコードが採用されており、分岐前と分岐後の太さにはほとんど差がない。一方、XBA-C10では丸型の平行コードが採用されており、分岐から先の部分はそれまでの1/2の太さになっている。
このことで、コードの絡まりを防ぐ効果に差が出るのかが気になるところだが、筆者が試してみた範囲では、明確な差はないようだ。普通にカバンに放り込んでおいても、あまり絡まることはなく、絡まった場合でもすぐにほどける。どちらかというと、ハウジング部分の形状が複雑で、サイズも大きいXBA-H1のほうが絡まりやすい印象だ。
付属しているチップは1種類・4サイズ
XBA-C10のイヤーチップは、ハイブリッドイヤーピースで、サイズはXS/S/M/Lの4種類だ。ソニーのインナーイヤーレシーバーの上級モデルでは、ハイブリッドイヤーピースに加えて、シリコンフォームイヤーピース、またはノイズアイソレーションイヤーピースが付属している。ちなみにシリコンフォームイヤーピースとノイズアイソレーションイヤーピースは、シリコン製のイヤーチップの内部にウレタンフォームが入れられているもので、名称は異なるが実際には同じものだ。
ハイブリッドイヤーチップは、音のヌケはよいのだが、遮音性はノイズアイソレーションイヤーピースに比べて劣る。ノイズアイソレーションイヤーピースは、XBA-C10のオプションとしても用意されている。公共交通機関などを利用していて、音漏れが気になるという場合には、これを利用してもよいだろう。用意されているサイズはS/M/Lの3種類で、XSサイズは用意されていない。耳穴が小さい方は注意が必要だ。
ハイブリッドイヤーピースとノイズアイソレーションイヤーピースでは、遮音性だけでなく、サウンドも異なる。次回は、2種類のイヤーピースに加えて、コンプライイヤーチップも含めて、遮音性と音の違いを比較してみたい。
次回に続く |