30分間のウォーキングを究める

ビジネスマンであっても、毎日運動をしたほうが健康によい。毎日は無理だとしても1週間の単位で150分から300分は「中強度の運動」をすることが最も健康になる可能性が高いと、世界保健機関(WHO: World Health Organization)が報告している。

週末にまとめて運動を行うのも手だが、1日に30分間「中強度」の運動を実施できれば、WHOの指針はクリアすることができる。1日30分ならわかりやすいし、習慣にもしやすい。

  • Polar Vantge V2 - 心拍数測定

    Polar Vantge V2 - 心拍数測定

そこで、今回は最も手をつけやすい「30分間のウォーキング」で得られる結果を調べていく。ウォーキングは歩くだけの簡単な運動だが、さまざまな方法で負荷を上げることができる。簡単であり、無理を感じることのないギリギリのところで、もっとも効果が狙えるウォーキングを見極めるのがしばらくの目標だ。既にスマートウォッチを使った計測で、いくつか効果的な方法が見えてきている。この調子でウォーキングを究めていこう。

「速歩き」でどれだけ脂肪は燃焼するだろう?

これまでに取り組んだ工夫は、歩く時に5kgのダンベルを背負ってみたり、傾斜をつけてみたり、ウォーキングの前に筋トレをしてみたり、といったものだった。今回は最もシンプルに「速歩き」を試してみる。速く歩けばその分消費カロリーが増えるというのは間違いなさそうだし、それなりに効果は見込めるように思える。

ここでは、30分間のウォーキングを測定した。それぞれ時速3kmおよび時速6kmに設定したトレッドミル(ランニングマシン)で計測している。傾斜は0度だ。

比較1 比較2
時間 30分間 30分間
速度 3km/h 6km/h
傾斜

速度の設計は時速6kmを基準にしている。トレッドミル(ランニングマシン)で試してもらうとよいが、時速6kmは歩ける限界の速度に近いというか、これを超えてくると歩き続けるのはかなりしんどくなってくる。軽く走ったほうが楽といった感じだ。なので、上限としてこの速度を選択した。傾斜を度にしたのもこのためだ。時速6kmで歩き続けるには傾斜がつくと辛い。このため時速6kmで傾斜0度に設定した。

そして比較として速度を半分にした3km/hだ。傾斜0度で時速3kmはかなりゆっくり歩いているという印象だ。これでどれだけカロリーが消費されるのか疑問に感じるくらいには遅いように感じられる。

仮に、斜度を15度にして速度を時速4km/hを基準にしたとすると、比較として傾斜15度の時速2kmを設定することになる。これはあまりにもゆっくりすぎて、散歩でもありえない遅さになってくる。

実験として比較しつつ現実世界の歩く速度も加味すると、斜度0度の時速6kmと時速3kmは具合のよい設定なのだ(トレッドミルの斜度0度は現実世界では下り坂に相当すると言われるので軽すぎではあるのだが……。時速6kmと時速3kmというわかりやすい速度が得られるので、今回はこの値で計測だ)。

筋トレ後にウォーキングしたり、ウォーキングを継続したりして行うと結果が変わってしまうことがわかったので、この2つのウォーキングはそれぞれ別の日に、筋トレをする前に計測した。どれくらいの違いがあるのか見てみよう。

計測結果はこちら

早速、計測結果を見てみよう(計測にはPolar Vantage V2を使用)。

3km/h 6km/h
消費カロリー 114kcal 156kcal
脂肪消費カロリー 91kcal 121kcal
平均心拍数 70bpm 86bpm
消費カロリー比率 1 1.37
脂肪消費カロリー比率 1 1.33
平均心拍数比率 1 1.23

心拍数グラフを重ねると次のようになる。時速3kmおよび時速6kmの心拍数はかなり低い印象だ。平均値がそれぞれ70bpmと86bpmだから、ほとんど上がっていない。トレッドミルの傾斜が0度なのが影響しているように思う。時速6kmにすることで心拍数は増えてはいるものの、それでも86bpmだ。心拍数があまり上がっていないという感じだ。

  • 心拍数推移グラフ

    心拍数推移グラフ

消費カロリーを比較すると次のようになる。心拍数からもわかるように負荷が低い運動なので、脂肪のほうが優先的に使われている。時速3kmから時速6kmへ上げることで、脂質の燃焼も糖質の消費も増えている。「速歩きで脂肪燃焼が進む」というのはどうやら間違っていないようである。

  • 消費カロリー推移グラフ

    消費カロリー推移グラフ

ただし、体感として時速6kmはかなり「せわしない」。常にせっせと一生懸命歩いている感じになる。その感覚の割に、消費カロリーが少ない。これまでの取り組みと比べると、大変さは時速4kmで斜度15度よりも高い。にもかかわらず、消費カロリーは低い。足が受けるダメージも大きい感じがした。これまでの取り組みを見る限り、歩く速度で消費カロリーを稼ぐのはあまり得策ではない、といった印象だ。

これまでの工夫を比較してみよう

これまでに行った、ウォーキングの負荷を引き上げるとともに脂肪燃焼を増やす取り組みをまとめると、次のようになる。

工夫方法 消費カロリー 脂質燃焼
5kgダンベル背負い 28%増加 15%増加
事前に筋トレ30分間 13%増加 2%増加
傾斜15° 71%増加 30%増加
速度2倍 37%増加 33%増加

割合で比較すると上記のような感じになるのだが、実際の消費カロリーの値と、継続の簡単さなどを加味すると、次のようなランキングであろうか。

  1. 傾斜15度
  2. 5kgダンベル背負い
  3. 事前に筋トレ30分間
  4. 速度2倍

ジムを使わないで散歩をベースに考えるのだと、次のような順序になってくると思う。

  1. 5kgダンベル背負い
  2. 事前に筋トレ30分間
  3. 速度2倍
  4. 傾斜15度

今のところ、ウォーキングの消費カロリーを引き上げる効果的な方法は傾斜だ。しかし、トレッドミルのようなマシンを使うなら簡単だが、散歩のようにマシンを使わない場合は、傾斜を歩き続けるのはかなり難易度が高い。ある程度重いものを背負って歩くほうが効果が期待できる。

ウォーキング前の筋トレは消費カロリーにはあまり影響を与えないのだが、比較的すぐに心拍数が上がるので歩いていて楽な感じがするのと、心拍数が上がることでの効果も少々期待できる。こちらはジムでも散歩でも、ウォーキング前に筋トレはできるので応用しやすい。

重めの荷物を背負ったウォーキングは手軽に効果をブーストできるのでお薦めだ。特に散歩をベースに脂肪を燃やしていきたいなら、検討の価値がある。あらかじめ重めの荷物を入れたバックパック(リュックサック)を用意しておき、散歩にいく時に背負えばよい。通勤時を散歩を兼ねるなら、持ち歩くバックパックを重めにすると同じ効果が期待できる。

もちろん、重い荷物を背負い続けると腰や膝、かかとなどに負担がかかるので、自分の体と相談して調整してもらえればと思う。

せっかく歩くのであれば、最も効率のよい方法を選びたいもの。1回当たりの効果は小さくても、習慣として毎日行えば積もっていくものだ。健康的な身体をキープして元気に仕事に取り組んでいきたい。