そろそろ新機能にも慣れてきた「Mojave」だけれど、慣れはじめると今度は細かい変更点が気になるもの。あれ? ここは前からこうだっけ? という機能をピックアップし、その背景やこれからについて解説してみよう。

あの機能もJPEGからHEICへ

iPhone/iPadではiOS 11から、macOSではHigh Sierraからサポートされた「HEIF」。High Efficiency Image Fileの略で、ファイルとしての拡張子は「.heic」であることから、もっぱらHEIC(ヒーク)と呼ばれている。macOSに付属の「写真」や「プレビュー」などのアプリがサポートしていることから、知らず知らずのうちにHEICをメインに利用しているMacユーザは少なくないはずだ。

iOS/macOSを見るかぎり、将来的にはJPEGを置き換えるのではという勢いのHEICだが、実のところチグハグな対応が散見される。iOS/macOSデバイス間でファイルをワイヤレス送受信できる「AirDrop」はその一例で、High Sierraの時点では転送時にJPEGへ強制変換されていた。HEICをサポートするOS/アプリ間で処理するにもかかわらずだ。

Mojaveではこの点が修正され、HEICのままAirDropできるようになった。HEICのほうがデータ圧縮効率に優れていること、そもそもHEICで撮影した写真をJPEGに変換するメリットがないことを考えると、ささやかではあるが歓迎すべき変更点といえるだろう。

  • いつもどおりiPhoneから「AirDrop」すると、MacではHEICファイルを確認できるはず

最後の32bitアプリ実行環境として

iOSに続き、macOSでもMojaveを最後に32bitアプリサポートが終了する。WWDC 2017において発表済であり、2008年1月以降Mac App Storeに32bitアプリを新規申請できなくなっている状況からすると、いまさら驚くべき話でもないが、いよいよ腹をくくらねばならない時期が来たことは確かだ。

ユーザに対し注意喚起すべく、Mojaveで32bitアプリを起動すると以下に示すような警告ダイアログが表示される。30日おきに表示されるとのことだが(リンク)、筆者が常用しているアプリの大半は64bit対応が完了しているため、いまだ実物を見たことがない"レアキャラ"だ。

なお、Appleは32bitアプリのサポート終了に備え、High Sierraのときから32bitアプリを起動できないテストモードを用意している。Macをリカバリーモードで再起動(電源ON直後にCommand-Rを押し続ける)したあと、Terminalで以下のとおりコマンドを実行すれば、次回システムを起動したときから32bitアプリおよび関連フレームワークを実行できなくなる。32bitアプリが複数残る環境の場合は、次のmacOSアップデートで32bitアプリを実行できなくなる前に、一度試してみるのをお勧めしたい。

$ nvram boot-args="-no32exec"

※:元に戻すときは「nvram boot-args=""」を実行
  • 32bitアプリを起動すると、30日に1回このような警告ダイアログが表示される

  • 32bitアプリは「アクティビティモニタ」の表示項目に「種類」を追加すると識別できる

いつのまにか現れた「Dockのパーティション」

Mojaveにアップデートすると、いくつかの変更点に気付く。特に目立つのは「スタック」で、Finderメニューで「スタックを使用」を有効にすると、デスクトップに散乱した大量のファイルが「スクリーンショット」や「スプレッドシート」などの括りでまとめられ、実にサッパリとした雰囲気になる。ダークモードも、ウインドウ枠まで暗色化されるようになり、デスクトップの様子が一変する。

そのように大胆な変化には追随するしか手はないが、微妙な変化は逆に困ってしまう。そう、Dockに追加された"パーティション"だ。最近起動したアプリのアイコンが3つ、Dock領域の左端付近(初期設定ではダウンロードフォルダの左隣)に表示され、ちょこまかと入れ替わる。慣れの問題とはわかっていても、なんかジャマだよな、と感じるのは筆者だけではないはず。

だが、安心していい。この"パーティション"は、システム環境設定「Dock」パネルの「最近使ったアプリケーションをDockに表示」チェックボックスを無効化すれば、すぐに消える。有効化すれば再び表示されるようになるので、慣れるまで頑張るかこれまでどおり使うか、好みで決めよう。

  • いつのまにかDockに"パーティション"が追加されていた

  • "パーティション"のスイッチはシステム環境設定「Dock」パネルにある

HEICのサポートが一歩前進

HEICファイルをJPEGに変換せずAirDropできるようになったことは前述のとおりだが、編集機能も進化している。macOS標準装備の画像閲覧/編集アプリ「プレビュー」では、TIFF変換後でなければHEICを編集できなかったが、Mojaveではそのまま編集できる。

しかし、MojaveからサポートされたQuick Lookから直接画像加工する機能は利用できず、編集が必要な場合はプレビューなど他のアプリを起動するしかない。画像編集をバッチ処理できる「sips」コマンドも、HEICのメタ情報を表示することはできるが(High Sierraと同様)、JPEGに変換するなどの加工処理はサポートされない。HEICの本格利用には、もう少し時間がかかりそうだ。

  • 「プレビュー」でTIFF変換なしにHEICを編集できるようになった

  • Quick Lookでサポートされた画像編集機能は、HEICでは利用できない