パナソニックは、インナーケア領域での事業展開を開始し、その第一弾として、体調ナビゲーションサービス「RizMo(リズモ)」を展開している。

  • 体調ナビゲーションサービス「RizMo(リズモ)」

    体調ナビゲーションサービス「RizMo(リズモ)」

女性特有の月経リズムと連動した衣服内温度変化や日々の睡眠状態を手軽に把握できるウェアラブルデバイス「リズムモニター」と、独自のデータ分析アルゴリズムを採用したアプリケーションで構成。女性の健康的な生活習慣をサポートするという。

  • ウェアラブルデバイス「リズムモニター」を装着して腹部の温度を計測する

    ウェアラブルデバイス「リズムモニター」を装着して腹部の温度を計測する

  • 計測したデータがわかりやすく表示されたり、専門家に相談できる機能も搭載している

    計測したデータがわかりやすく表示されたり、専門家に相談できる機能も搭載している

宝島社が推進しているフェムテックなどの認知向上啓発プロジェクト「もっと話そう!Fem&(フェムアンド)」に関するイベントでも、パナソニックのRizMoが紹介され、同プロジェクトのアンバサダーを務めるタレントの丸山礼さんも、自らRizMoを利用している経験から、「このサイズで、すごい役割を担ってくれる。自分のことを知ることができ、自分が気にしていなかっタ問題にも向き合うことができる。大発明である」などとした。

  • 宝島社が開催したイベントの様子。約200人が参加した

    宝島社が開催したイベントの様子。約200人が参加した

イベント会場では、丸山さんと産婦人科医の小野陽子さんによるトークセッションや、経済産業省 経済社会政策室の小迫美智子氏による講演が行われたほか、フェムテック・フェムケア分野で社会に貢献する商品やサービスを対象にした「フェムテックアワード2026」の表彰式が行われ、パナソニックの「RizMo」は、サービス賞を受賞した。

パナソニックの「RizMo」は、家電メーカーとして初めて開発したウェアラブルデバイス「リズムモニター」を用いて、月経リズムと連動する衣服内温度と睡眠状態を就寝中に手軽に計測。専用アプリケーションを通じて、計測データの確認や、独自のデータ分析アルゴリズムを活用して、その日や先々の体調予測を行ったり、自身に合った体調サポートアドバイスなどを受けたりすることができる。

日記のように手軽に心身の状態を記録できる点も特徴で、計測および記録したデータをもとに、生理周期ごとの「パーソナル体調レポート」を自動で生成し、心身の状態や傾向を振り返って、客観的に確認することができるという。

これにより、女性の健康的な生活習慣づくりをサポートすることが可能になる。

開発を担当したパナソニックの井上貴美子氏は、「女性のリズムのバロメータとなる温度と睡眠の両方をチェックし、体調管理をサポートすることが可能で、自分のリズムと対処を知ることができる」とし、「パナソニックは、お客様と長くつながり続け、科学的根拠に基づいた信頼できる美のトータルソリューションを届けていく」としている。

  • RizMoの開発を担当したパナソニックの井上貴美子氏

    RizMoの開発を担当したパナソニックの井上貴美子氏

新たな取り組みとして、「RizMo」の活用とともに、専門家によるヘルスケア相談サービスや職場ワークショップの提供を通じて、働く女性の健康行動支援および組織のパフォーマンスへの効果に関する実証事業を行った。経済産業省が推進する令和7年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択を受けて実施したもので、パナソニック目黒ビルに勤務する約120人の女性社員を対象に実施。健康状態の可視化や行動変容をサポートするとともに、ファミワンによるヘルスケアサポートサービスを通じて、専門家によるセミナーや研修、オンライン健康相談による従業員個々のサポートを行い、女性社員の健康支援、社員全員のヘルスリテラシー向上、組織パフォーマンスへの効果などを検証した。

「RizMo」は、「計測」、「分析・予測」、「アドバイス」、「サポート」の4つの機能を提供し、バイタルデータをもとに、月経の予測から、体調管理までをトータルでサポートする。

「計測」では、ウェアラブルデバイス「リズムモニター」を腹部に装着して寝るだけで、睡眠の量、質、リズムを計測する。就寝時間やしっかりと寝た時間の計測、睡眠効率や中途覚醒、寝姿勢、寝がえりの数、就寝および起床時刻の規則性などを可視化する。

「自分の身体の変化を予測できたり、イライラしている原因を理解できたりする」(パナソニックの井上氏)という。

「分析・予測」では、専用アプリを利用し、衣服内で計測した温度を表示、グラフ化する。計測したデータは、リズムモニターから、ワンタッチで専用アプリに転送し、グラフで温度変化などを確認でき、計測した温度から、生理日や排卵日の予測も表示する。低温期から高温期に入ったタイミングを知らせるといった機能も搭載している。

「計測したデータをもとに、天気予報のように、今日の体調を予測し、体調に影響を与えている項目を確認できる。また、今後1カ月の体調のリズムを、グラフの色や点の大きさなどで、わかりやすく表示。今後の体調傾向もレポートする」という。

  • RizMoの利用イメージ

また、「アドバイス」では、体調予測をもとに、体調を整えるためのヒントを毎日届けるほか、生理周期などをもとに感じている不調を体調記録に入力すると、その場でアドバイスが届くという。専門家監修のアドバイスによって、体調変化のメカニズムなどの基礎知識や正しい対処法なども学べる。

「サポート」としては、2025年10月から、50人以上の看護師や薬剤師、臨床心理士などの専門家が参加するオンライン健康相談を提供し、具体的な悩みを、専門家に相談することができるようにした。また、LINEを活用したパートナー共有機能などを提供し、体と心の状態をパートナーに知らせ、妊活やメンタルヘルスのセルフケア、パートナーとのコミュニケーションにも役立てることができるという。

パナソニックの井上氏は、「自分の身体のことを知ると、生活がしやすくなるこという実感を得られる」と、RizMoのメリットを訴求した。

タレントの丸山さんは、「ダイエットに向かない時期を示してくれたり、バナナを食べるのがいいということをやさしい言葉でアドバイスしてくれたりする。しかも、文字だけでなく、写真を通じて、わかりやすく教えてくれる。ミュージカルに出演している期間は、毎日、緊張や不安、焦りがあるが、『朝ごはんを食べてみよう』とアドバイスしてくれるといったこともあった。私のことを理解してくれているデバイスであり、日々満足度が高まっている」と述べた。

  • RizMoのリズムモニターを手にするタレントの丸山礼さん

    RizMoのリズムモニターを手にするタレントの丸山礼さん

働く女性の多くは、月経に関連する症状や睡眠不足により、心身の健康への影響を受けている一方、女性のヘルスリテラシーの高さが、仕事のパフォーマンスの高さに関連する可能性が指摘されている。また、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は、年間約3兆4000億円にのぼるとの試算もある。

経済社会政策室の小迫美智子氏は、「政府では、ダイバーシティを推進しており、性別、国籍、年齢だけでなく、キャリアや経験、働き方などを含めてダイバーシティと捉えている。企業において、様々な視点による議論が行われるほか、多様な人材が働ける場所が確保されることで、心理的な安全性を実現でき、企業の価値を高めることができる。ダイバーシティ経営にはメリットが多い」と前置きしながら、「日本の企業における女性の活躍は道半ばであり、諸外国と比較して、管理職における女性比率は著しく低い。妊娠、出産にあわせて離職する人が多いことに加えて、PMS(月経前症候群)や更年期など、18歳から60歳過ぎまでの働いている期間に、なにかしらの性にまつわるトラブルが続いていることも影響する。男性とはその点が大きく異なる。女性特有の健康課題への対応が重要になっている」と指摘した。

  • 経済産業省ヘルスケア産業課の資料より。女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は、年間約3兆4000億円にのぼるという

    経済産業省ヘルスケア産業課の資料より。女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は、年間約3兆4000億円にのぼるという

  • 内閣府男女共同参画局の資料より。性別による特有の病気の総患者数のデータ

    内閣府男女共同参画局の資料より。性別による特有の病気の総患者数のデータ

経済産業省では、2025年度までの5年間に渡り、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を用意し、フェムテック企業や医療機関、導入企業、自治体などが連携して、女性特有の健康課題や、妊娠、出産などのライフイベントと仕事の両立、個人のウェルビーイング実現に向けた実証事業にかかる費用の一部を補助。5年間で79件の事業に対して補助を行った。

また、フェムテックの普及啓蒙活動として、2025年度には、大阪・関西万博のウーマンズパビリオン「WA」など、全国5カ所でイベントを開催し、2026年3月には最終報告会を実施。9件の実証事業者による成果報告や今後の展望が示された。

また、フェムテック実証事業ウェブサイトを通じて、フェムテックに関する情報を発信しているという。

「男女間の健康課題の違いや、それにあわせた職場づくり、人材確保などについて考えることが必要である。そこでは、男性も女性も当事者意識を持つ必要がある。女性特有の健康について話し合うことは、タブーではないことを広げていかなくてはならない」と述べた。