シャープが、ビジネスソリューション事業の強化に取り組んでいる。同事業を推進する中核的な役割を担うのが、スマートビジネスソリューション(SBS)事業本部だ。複合機(MFP)や業務用ディスプレイ、POS、ロボティクスなどの事業を中心に、国内外における成長戦略を描いている。

シャープ スマートビジネスソリューション事業本部の徳山満事業本部長は、「シャープのビジネスソリューション事業は、『テクノロジーとネットワークで、世界中のコラボレーションを強化する』というビジョンのもと、独創的なモノやサービスを通じて、働く現場のDXをサポートする。ハードウェアとソフトウェア、テクノロジーの組み合わせによって実現するシャープ独自のソリューションによって、事業を成長させていく」と抱負を語る。

  • シャープ スマートビジネスソリューション事業本部 事業本部長の徳山満氏

    シャープ スマートビジネスソリューション事業本部 事業本部長の徳山満氏

また、国内でビジネスソリューション事業を展開するシャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社の美甘將雄社長は、「シャープが強みを発揮できる領域での提案に加えて、それをベースにした新たな領域にもソリューション提案も積極化する。提案の横幅を広げていきたい」とする。

  • シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社 社長の美甘將雄氏

    シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社 社長の美甘將雄氏

シャープでは、2026年2月に、東京、名古屋、大阪の3都市において、法人を対象とした総合提案会「SHARP BUSINESS FORUM 2026」を開催。同社の最新ソリューションなどを一堂に展示することで、既存顧客や新規顧客に対するソリューション提案を加速。今後、ビジネスソリューション事業の拡大に弾みをつける考えだ。

シャープのBtoB事業はソリューションビジネスへ

シャープのBtoB事業は、スマートワークプレイスビジネスグループが担当。複合機(MFP)や業務用ディスプレイ、POS、ロボティクスなどの事業を行うスマートビジネスソリューション事業本部、スマホや通信機器、ロボホンやポケともを担当する通信事業本部、PC事業を行うDynabook、国内販売を担当するシャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社で構成している。

スマートワークプレイスビジネスグループの2024年度売上実績は8363億円となり、全社の約4割を占める。また、同ビジネスグループにおける海外売上比率は40%に達している。

  • 全社組織におけるスマートワークプレイスビジネスグループ

    全社組織におけるスマートワークプレイスビジネスグループ

  • 事業部の構成

    事業部の構成

  • 売上実績で全社の4割を占め、海外売上比率が高い

    売上実績で全社の4割を占め、海外売上比率が高い

スマートワークプレイスビジネスグループの売上高の半分強を構成しているのが、スマートビジネスソリューション事業本部である。

同事業本部の自供拡大に伴い、シャープのBtoB事業は、ソリューションビジネスへと移行しはじめている。

たとえば、国内BtoB事業で販売を担当するシャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社では、複合機やBIG PAD、Tele Office、Dynabookなどを中心とした「オフィスソリューション」や、教育分野向け独自製品による「アカデミックソリューション」、医療現場や官公庁向けソリューション、児童家庭相談システムなどの「パブリックソリューション」のほか、POSを中心に飲食店やスーパー、アパレル、ホテルなどの流通・小売を対象にした「リーテルソリューション」、工場や物流を対象にした「インダストリーソリューション」、ガソンリンスタンドや水素ステーションを顧客とする「エナジーソリューション」、コンビニエンスストア向けに製品を提供する「コンビニソリューション」、駅や空港などのサイネージを提案する「ディスプレイソリューション」といった度胸ドメインを対象にビジネスを行っている。

シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社の事業ドメイン

そのほかにも、スマートビジネスソリューション事業本部では、SaaS事業統轄部において、かつては別会社化していたAIoTクラウドの事業を継続。アルコールチェック管理サービス「スリーゼロ」などを提供している。

「これらのドメインに集中しながら、人と社会に寄り添い、働く現場を支えるトータルソリューションを提案している。狙った領域に対して、独自のソリューションでシェアを取っていく」(シャープの徳山事業本部長)という。

シャープには、多くの人には知られていないが、圧倒的な存在感を発揮し、高いシェアを誇っている事業がいくつかある。身近なところでは、コンビニエンスストアに導入している複合機だ。日本全国で約6割のシェアを持つ。また、ガソリンスタンドにおけるPOSシステムでは45%のシェアを獲得している。

シャープでは、2025年秋から、全国の主要駅のLEDディスプレイにおいて、BtoB事業の認知度向上施策として、「身近なシャープ」をサイネージ配信している。

「ビジネスの身近に、実はシャープのソリューション」をテーマに、「今みているディスプレイ、やっぱりシャープ。」を訴求。さらに、「その〇〇〇〇、シャープかも。」として、「コンビニプリント」、「オフィスソリューション」、「駐車場ソリューション」、「ガソリンスタンドのセルフ注文機」などを、順次、アピールしている。

人と社会に寄り添い、働く現場を支えるトータルソリューションを提案

だが、この訴求戦略は、ソリューションビジネスを前面に打ち出し、シャープのブランド価値を高める狙いがあるわけではない。

電機大手では、日立製作所やNEC、富士通、パナソニックなどが、ソリューション事業を前面に打ち出してブランド価値の向上を図っているが、シャープでは、スマホやPC、テレビなどのBtoC領域においてブランド価値を高めることを重視している。

徳山事業本部長は、「シャープがBtoB事業に取り組んでいることに関しては、認知をしてもらいたい。また、いくつかのBtoB領域においては実績を持っていることも知ってもらいたい。だが、BtoB事業がシャープのブランド認知向上を牽引するものではない」とし、「シャープの製品や技術が、どこに、どんな形で使われているかがわからないという状況ではなく、ここにも、そこにも、シャープの製品や技術があるということを発信していく」という。

シャープのB2B事業が持つ「3つの強み」

シャープの徳山事業本部長は、シャープのB2B事業には3つの強みがあることを示す。

ひとつめは、パートナーとの連携だ。国内外を含めて1万社の販売店、SIerなどとのパートナーシップを実現しており、20万社の顧客基盤とともに、シャープを含む三者でのWin×Win×Winの好循環を生むことができているという。

「シャープは、歴史的にハードウェアに強みを持った企業であり、その経緯から強固なパートナーシップを、広く確立しているのが特徴である。パートナー企業への研修会の開催や製品情報の提供、表彰などを通じて、世界各国のパートナーとの関係を強化している」と語る。

  • シャープを含む三者でのWin×Win×Winの好循環を生む

    シャープを含む三者でのWin×Win×Winの好循環を生む

2つめが、技術およびプロダクトの強みだ。

「シャープは、中核技術を自社で保有しており、豊富な商材と独自技術による提案力を持つ。AIやDXサービスをスピーディーに実現できる」と胸を張る。

ここでは、ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーを組みあわせることで、独自の「ソリューション」を提供できる強みを訴求する。

たとえば、液晶ディスプレイやLEDディスプレイをはじめとしたパネルなどのハードウェアと、サイネージへの配信やコンテンツ管理などのソフトウェア、放熱や省電力設計、デバイス監視などのテクノロジーが組み合わさって、「デジタルサイネージソリューション」を実現。ネットワークカメラや精算機、在庫センサーといったハードウェアと、クラウド管理やマルチ精算方式に対応したソフトウェア、画像認識や車両検知といったテクノロジーを組み合わせて、「駐車場コインパーキングシステム」を提供するといったように、シャープが持つハードウェア、それに対応するソフトウェアといった商材に、シャープならではの独自のテクノロジーを組み合わせて、現場に最適なソリューションを提供しているというわけだ。

なお、スマートワークプレイスビジネスグループでは、スマートプロダクトとAI・DXサービスを合わせた「スマートビジネス」の拡大に取り組んでおり、現在、16%の事業構成比を30%にまで引き上げる計画だ。だが、スマートビジネスソリューション(SBS)事業本部では、すでに、これを上回る構成比となっており、スマートワークプレイスビジネスグループのスマートビジネス比率向上のリード役となっている。

  • ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーを組みあわせることで、独自のソリューションを提供できる

    ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーを組みあわせることで、独自のソリューションを提供できる

3つめの強みが、販売・サポートのネットワークである。

シャープは、世界110の国と地域において、販売およびサポートに関するネットワークを持ち、長期的な取引関係を構築。販売ルートの広がりとともに、きめ細やかなサポートも実現している。とくに、日本国内では、シャープマーケティングジャパンビジネスソリューション社が、140カ所のサービス拠点と、約800人のサービス人員を配置した体制を確立。これがシャープの国内BtoB事業の強みとなっている。

シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社の美甘社長は、「コンビニエンストアやガソリンスタンドなど、24時間365日体制でサポートしなくてはならないお客様もいる。お客様の近くで、長く寄り添う事業体制を敷いている」とし、販売、機器導入、保守、業界横断によるノウハウの蓄積などを特徴にあげた。

また、シャープの徳山慈教本部長は、「もともとは複合機をベースにして全国の販売網、保守網を構築してきたが、ディスプレイやDynabook、スマホなど、業界を横断しながら、クロスセルを行いやすい体制も整っている。トータルで提案できるノウハウを蓄積している点も強みになる」とした。

  • これまで培ってきた販売・サポートのネットワークも強み

    これまで培ってきた販売・サポートのネットワークも強み

事業成長へ重点方針としてきた5つの領域

スマートビジネスソリューション事業本部では、2025年度の重点方針として、5つの領域ごとにテーマを掲げてきた。

複合機(MFP)における「パブリック・プリントサービス拡大と地域に応じたサービス・ローカルフィット商材の拡充」、業務用ディスプレイでは「高付加価値商材を中心にワンストップ映像ソリューションの提供」、リテールでは「国内リテール向けDXサービスの展開」、ロボティクスにおいては「初期伴走型コンサルティングの強化で、ロボティクス事業を拡大」、ITサービスでは「既存事業とのシナジーを生み出すITサービス事業M&A」を打ち出している。

  • 2025年度の重点方針として、5つの領域ごとにテーマを掲げてきた

    2025年度の重点方針として、5つの領域ごとにテーマを掲げてきた

そのなかでも、2025年度において、新たな事業フェーズへと進んだのが、業務用ディスプレイ事業である。同事業は、2020年11月に、NECのディスプレイ事業と統合し、シャープが51%を出資するジョイントベンチャー(JV)のシャープNECディスプレイソリューションズ(SNDS)を設立。「SHARP/NEC」によるダブルブランドへの移行や、製品ラインアップの統合や、商流の統合および整理、サプライチェーンや調達部材の絞りこみ、共通開発や設計体制の構築を進めてきた。2025年 11月には、NECとのJVを解消して、シャープ100%子会社化として、シャープディスプレイソリューションズ(SDS)を設立し、2026年4月には、シャープがSDSを吸収合併する。

徳山事業本部長は、「JV体制では、商流や組織、人材の一体化が進みにくい局面もあったが、意思決定と実行スピードを最大化する体制へとシフトし、一気通貫で統合を加速することができる。変化が速いディスプレイ業界のなかで生き残るための体制が整う」とする。

また、LCDディスプレイやタッチディスプレイ、PCモニター、電子ディスプレイに加えて、NECとの統合により、LEDディスプレイ、プロジェクター、デジタルシネマにも事業を拡充。「デジタルシネマは、世界で3社しか供給できない希少事業である。シャープは、世界でも類を見ないフルラインアップのディスプレイ企業であり、用途、空間、規模に応じて最適な表示体験を提案する」とした。

さらに、販路についても、シャープが得意とするオフィス、リテール、教育に対して、NECが強みを持つグローバル企業、政府、交通機関などにも事業を拡大する地盤が整った。

シャープでは、世界規模で拠点を持つグローバル企業への提案や、カスタマイズ性の高い社会・交通インフラ向け販路を活用するなど、従来からの顧客基盤を生かした提案や、他のディスプレイやBtoB商材とのクロスセル提案、機器やシステムのソリューション連携などが可能になる点も強みになるとしている。

  • ディスプレイ事業の統合が完了し、ステージは成長のフェーズに

    ディスプレイ事業の統合が完了し、ステージは成長のフェーズに

  • 世界でも類を見ない「フルラインナップ」のディスプレイ企業へ

    世界でも類を見ない「フルラインナップ」のディスプレイ企業へ

LEDディスプレイは、LCDディスプレイなどに比べて、明るく、省エネで、長寿命という特徴を持ち、モジュールを組み合わせて、自由なサイズで、高画質を実現することができる一方で、コンサルティングや調整、設置、施工、保守が重視されるため、ここにシャープが蓄積してきた提供価値を生かすことができる点も見逃せない。

徳山事業本部長は、「建築要素に近いLEDモジュールの施工は未成熟市場であり、技術ノウハウや現場ノウハウの空白地帯といえる。LCDであれば、パートナーとともに容易に設置することができたが、LEDを設置するノウハウを持つパートナーが少なく状況が異なる。また、空港施設などでは、各国ごとの制約などもあり、シャープ自らが設置、施工ノウハウを提供する必要がある」とし、国内では、シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社に、これらのノウハウを持つ組織を編成。海外では買収した企業などを通じて案件をサポートしているという。

その上で、「これまでに培ってきたハード×ソフト×技術による提案力に加えて、大型ディスプレイで培った導入ノウハウ、独自の評価プロセスによる品質、世界各国への安定した供給力、販売ネットワークの強みを生かして、エンドユーザーに直接提案するワンストップサービスを構築することで、バリューチェーンによる新たな価値を提供できる」と胸を張った。

シャープでは、国内外の販売パートナーを対象に、LED施工サービスの教育訓練を実施。米国では、施工が簡便なLEDオールインワンモデルを投入したほか、国内では、シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社にディスプレイソリューションを提案する専任部門を増強し、ビジネスを加速する体制を敷いた。

徳山事業本部長は、「他社にはできない部分も、シャープはひとつのパッケージとして提供ができる」とし、「LEDディスプレイ市場全体では、年平均成長率は16%だが、シャープはこの2倍ぐらいのペースで事業を拡大したい」と意欲をみせる。

もちろん、ハードウェア性能でも特徴を持ち、高耐久性、省電力性、軽量設計などでも先行している。また、LEDディスプレイは、脱炭素やエネルギー価格高騰を受けて、LCDディスプレイなどからの置き換えが進展しており、ここにもビジネスチャンスがあるという。

  • 高付加価値を中心としたワンストップの映像ソリューションを新たな価値として提供する

    高付加価値を中心としたワンストップの映像ソリューションを新たな価値として提供する

  • ハードからソリューションへの転換

    ハードからソリューションへの転換

このように、LEDディスプレイは、ハード販売からソリューション価値創出型ビジネスへの転換の代表例といえる。

意外? シャープがロボティクス事業に注力

もうひとつの注力事業が、ロボティクス事業である。

シャープがロボティクス事業に取り組んでいること、意外性を感じる読者がいるかもしれない。だが、シャープで、は自らが家電メーカーとして、生産技術を進化させてきた経緯があり、工場の自動化技術では56年に渡るナレッジを蓄積している。

「家電メーカーの生産技術が生みだした現場主義のロボティクス事業を展開できるのがシャープの特徴である。省電力化や省力化の動きは生産現場において、避けては通れないものになっている。ナレッジとデジタル技術を掛け合わせ、広範な現場課題に対応できる。初期伴走型コンサルティングの強化により、ロボティクス事業を拡大させる」と意気込む。

  • 家電メーカーの生産技術が生みだした現場主義のロボティクス事業を展開できるのがシャープの特徴

    家電メーカーの生産技術が生みだした現場主義のロボティクス事業を展開できるのがシャープの特徴

同社では、社内に蓄積してきた生産技術をベースに、2017年度にロボティクス事業の立ち上げを行い、外販をスタート。コンサルティングを組み合わせながら事業を拡大してきた。

シャープの自社工場を活用し、独自の集中制御システムにより、ロボット走行の最適経路を生成。顧客システムとの連携やデータ管理による業務の効率化、豊富なラインアップによる選択肢の広さを強みとするほか、新たな取り組みとして、東北大学との共同開発、他社との協業や公的機関での実証実験、洗練されたデザインと高機能を備えたロボットの創出、コンサルティング事業の強化による顧客に最適したソリューションを提案できるとした。

東北大学との共同研究では、量子アニーリング技術を活用した最適化問題の解決に向けた成果の創出に取り組んでおり、現在は、NEDOの共同開発テーマに移行し、産官学連携による研究をスタート。将来的には、この成果をロボティクス事業にも生かしていくことになる。

  • 自社工場で培ってきた技術に、東北大学との共同開発などの社外協創を組み合わせ、ビジネスを強化

    自社工場で培ってきた技術に、東北大学との共同開発などの社外協創を組み合わせ、ビジネスを強化

シャープでは、自社開発のスリムスタッカーや、ロボットストレージシステムを開発したが、ここに、Aiten Roboticsのパレットハンドリングロボット「TPX150」などのパートナー製品を組み合わせることで、現場ごとに異なる環境に適した搬送を提案できるという。

具体的には、既存レイアウトを活かせるスリムな本体幅の移載アーム搭載ロボットと、コンパクト設計で狭いスペースに床置きされたパレットを直接搬送により、部品倉庫からラインサイドへの最適搬送を実現できるとしている。

「現在、数億円規模の商談がいくつか生まれている。とくに、スリムスタッカーは設置が容易であるだけでなく、移設にも適している。移設計画があっても、継続的な投資効果が得られるという点が現場で評価されている。製造現場からの引き合いが多い。自分たちで作るものと、外部から調達してきたものを組み合わせて、最適なロボティクスソリューションを提供することができる」とする。

  • 自社開発のロボットにパートナー製品を組み合わせることで、現場ごとに異なる環境に適した搬送を提案できる

    自社開発のロボットにパートナー製品を組み合わせることで、現場ごとに異なる環境に適した搬送を提案できる

徳山事業本部長は、今後の施策について、「国内ビジネスでの成長に加えて、海外ビジネスを強化したい。社員に対しては、海外を含めて、どんどん外に行き、現場の声を聞くように言っている」としたほか、「スマートサービスの拡大に注力する。ハードウェアを生かしながら、ネットワークやセキュリティを組み合わせたトータルソリューションを提案し、マネージドサービスとしても提供するように品揃えを拡大する。スマートサービスの領域では、必要に応じた買収もやっていきたい」とする。

  • シャープが目指す、スマートプロダクトとAI・DXサービスを合わせた「スマートビジネス」

    シャープが目指す、スマートプロダクトとAI・DXサービスを合わせた「スマートビジネス」

また、「BtoB事業の成長の要は、国内外に張り巡らされた営業網や保守網である。これをしっかりと維持し、将来に渡って事業を継続させることの大切さを、社員一人ひとりが自分事として考えてもらいたいと考えている。スマートサービスの成長にも、シャープが持つ営業網や保守網は重要な力を発揮する」と語る。

「SHARP BUSINESS FORUM 2026」の展示を見てみる

一方、2026年に、東京、名古屋、大阪で開催した「SHARP BUSINESS FORUM 2026」では、「現場を支えるシャープのスマートビジネスを体験~DXやAIで生み出す独創解の導入事例~」をテーマに、働く環境や業務プロセスを革新する製品やサービスを展示。導入先の現場の声を聞きながら、実際の使用シーンに近い形で業務改善事例を体験できるコーナーなども設置した。

同イベントは、約20年前から開催しているという。

  • 「SHARP BUSINESS FORUM 2026」の開催は約20年目を迎えた

    「SHARP BUSINESS FORUM 2026」の開催は約20年目を迎えた

シャープの徳山事業本部長は、「展示会では、技術だけを見せても、それをどう使うのかといった会話になることが多い。具体的なユースケースを示すことで、お客様の課題に照らし合わせながら改善要求をもらうことができる。パネル展示ではなく、実際に体験してもらえる展示にした」という。

また、シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社の美甘社長は、「すでにシャープのソリューションを利用しているお客様に対しても、新たなソリューションを見て、これを追加提案してほしいというきっかけになることを目指した。お客様に対する提案の横幅を広げる狙いがある。2026年度以降の商談につなげるきっかけにしたい」と述べた。

  • 「SHARP BUSINESS FORUM 2026」の会場の様子

    「SHARP BUSINESS FORUM 2026」の会場の様子

東京会場の展示エリアは、文書の意味を分析、抽出し効率的なナレッジを構築できるシャープ独自の技術を活用した、問い合わせ窓口支援やAI接客支援ソリューションなどの次世代サービスを参考展示した「NEXT Solution」のほか、独自のエッジAI技術によって議事録作成を支援する「eAssistant Minutes」や、UTM(統合脅威管理)機能搭載サーバーをオプション化した複合機など、セキュアな環境の実現に貢献し、多様化する働き方を支援する製品を展示した「スマートオフィス」、駐車場向けソリューションや、生成AIチャットボット「Brainrobi」など、顧客満足度の向上と業務変革に寄与するサービスを提案した「スマートリテール」、独自の搬送ロボットや、パートナーのパレットハンドリングロボットなどにより、目的や規模など、現場によって異なる課題にあわせて省人化および自動化を支援する「スマートロジスティクス」、COBフリップチップ方式を採用し、画面が明るく、低消費電力を実現するとともに、樹脂コーティングによって耐久性を高めたLEDディスプレイや、静音設計の小型軽量モデル、高輝度/高耐久の4Kモデル、電子ペーパーディスプレイ「e-Poster」、様々なビジネスシーンに対応するプロジェクター、電子黒板「BIG PAD」の新モデルなど、店舗や公共空間における情報発信を強化するサイネージ製品による「サイネージソリューション」で構成。働く現場のDXを加速する各種ソリューションを展示してみせた。

  • シャープのCOB方式のLEDディスプレイ

    シャープのCOB方式のLEDディスプレイ

  • 今後はLEDディスプレイに注力する

    今後はLEDディスプレイに注力する

  • LEDディスプレイのラインアップも広げている

    LEDディスプレイのラインアップも広げている

  • シャープのプロジェクター

    シャープのプロジェクター

  • DynabookのAIワークステーション

    DynabookのAIワークステーション

  • シャープのスリムスタッカーロボットストレージシステムのパネル展示

    シャープのスリムスタッカーロボットストレージシステムのパネル展示

  • Aitenのパレット搬送ロボット

    Aitenのパレット搬送ロボット

  • シャープが提案する自動搬送ロボット

    シャープが提案する自動搬送ロボット

  • シャープが高いシェアを持つコンビニ向け複合機

    シャープが高いシェアを持つコンビニ向け複合機

会場で注目を集めたのが、「NEXT Solution」のエリアだ。

徳山事業本部長は、「多くのお客様やパートナーが来場する機会であり、当時に、率直な意見を聞いたり、反応を見ることができたりする場でもある。それならば、製品として完成していないものも、積極的に展示して、お客様などからの声を取り入れて開発を進めることがいいと考えた」と、「NEXT Solution」の狙いを説明する。

  • 「NEXT Solution」のエリア

    「NEXT Solution」のエリア

では、同エリアのなかから、いくつかの展示を見てみよう。

ひとつめは、「AI接客支援ソリューション」である。AIスタッフが、店舗案内や商品説明を行うことで、来店客や店員をサポート。RAGを活用したナレッジ検索によって、適切な回答を生成するほか、PDFのカタログやウェブ上のデータからも簡単にナレッジを追加、更新ができる。また、ローカルで稼働するため、店内の通信環境に影響されずに安定動作し、会話の内容を要約して、顧客傾向を分析することもできる。

エッジコンピュータやタッチディスプレイ、カメラ、マイク、スピーカーといったハードウェア、対話ナレッジや音声合成、アバター描画といったソフトウェア、対話生成や対話分析、Advanced AI-OCR、ナレッジ連携といったテクノロジーの組み合わせによって実現したソリューションだといえる。

  • 「AI接客支援ソリューション」は、AIスタッフが、店舗案内や商品説明を行うことで、来店客や店員をサポートする

    「AI接客支援ソリューション」は、AIスタッフが、店舗案内や商品説明を行うことで、来店客や店員をサポートする

また、新たなサイネージソリューションとして公開したのが、「視聴効果測定システム」である。サイネージを見ている視聴者の属性や人流傾向を解析し、より効果の高いターゲット層にアピールすることができるソリューションだ。カメラ映像から年齢や性別を推定するとともに、AIによる視聴分析および集計を実施。さらに、表示スケジュールの生成や属性に合わせたコンテンツ表示を行うことができる。「サイネージによる訴求効果を向上させるほか、機器連携によって、犯罪防止の活用にも使える」とした。

  • 「視聴効果測定システム」はサイネージを見ている視聴者の属性や人流傾向を解析し、より効果の高いターゲット層にアピールすることができる

    「視聴効果測定システム」はサイネージを見ている視聴者の属性や人流傾向を解析し、より効果の高いターゲット層にアピールすることができる

そして、生成AIを活用した「業務DXソリューション」パッケージ群も展示した。

カスタマーサポート向けの「お問い合わせ窓口支援パック」では、マニュアルや問い合わせ情報の一元管理や、問い合わせをAIが集計し、改善施策を提案。一般デスクワーカー向け「ドキュメントナレッジパック」では、独自のAI-OCRにより、効率的に文書を分析し、企画や開発など幅広い領域での利用が可能だ。また、営業向け「商談分析支援パック」では、音声ファイルから商談内容を要約し、見込み顧客度や関心度を分析することで、商談を支援することができるという。

「様々な生成AIパッケージを用意しており、お客様のシステムと連携したり、ニーズにあわせたカスタマイズも可能である。オンプレミスでの運用が可能であり、社外秘データも漏洩の心配がない。高精度な音声認識技術と独自のナレッジ構築も差別化になる」とした。

  • 生成AIを活用した「業務DXソリューション」パッケージを展示

    生成AIを活用した「業務DXソリューション」パッケージを展示

また、すでに発表している議事録作成支援ソリューションの「eAssistant minutes」にも、あらかじめ設定した言語を自動で認識して、英語/中国語から日本語に即座に翻訳する新機能を搭載。ウェブブラウザからも、文字起こしや議事録閲覧の操作をセキュアに利用できるようにした。さらに、複数人の話者を分離する精度を約1.5倍に向上。約76%の精度で同じ話者を認識できるという。

さらに、「在車センサー方式駐車場コインパーキングシステム」は、複数のセンサーシステムにより、車両や車番を認識することができ、ロック板レス、チケットレス、ゲートレスを実現。設備が少ないため、工事や保守コストを抑制できるほか、季節や気候、駐車場の形状を問わず、幅広い環境に対応できる。「自前のセンサーシステムを新たに採用した。雪が積もるような地域においても、複数のセンサーシステムによって運用が可能になる。カメラ画像の認識機能を活用して、駐車場だけでなく、ドライブスルーなどへの応用も見込んでいる」という。

同システムは、ガソリンスタンドでの実績をベースにした新たな事業領域であり、先行企業と比べて、フラッパーゲートなどの設置にこだわらない柔軟な提案が可能な点も強みになっている。

  • 「在車センサー方式駐車場コインパーキングシステム」は、ロック板レス、チケットレス、ゲートレスを実現したソリューション

    「在車センサー方式駐車場コインパーキングシステム」は、ロック板レス、チケットレス、ゲートレスを実現したソリューション

シャープマーケティングジャパン ビジネスソリューション社の美甘社長は、「約4年をかけて開発をした。シャープが、駐車場コインパーキングシステム分野に参入していることを聞いて意外に思うお客様も多いが、既存ソリューションにはない新たな提案に高い評価が集まっている。シャープというブランドに対する安心感がBtoB領域でも生かされている」とする。

ハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーを組み合わせたソリューションの提案によって、新たな市場に対しても積極的な提案を進めている事例のひとつだ。