シャープの沖津雅浩社長兼CEOは、2025年12月8日、社内イントラネットを通じて、社員を対象に、「上方修正した公表値の達成に向け、全社一丸となって頑張ろう」と題したCEOメッセージを配信した。
今回のCEOメッセージでは、2025年度上期業績が、アセットライト化の影響などにより、売上高は減収となったが、営業利益や経常利益、最終利益のすべてで、大幅増益を確保できたことを強調した。
セグメント別業績では、スマートライフが、競争環境の激化や、ASEANでの冷夏の影響など、想定を大きく上回る環境変化があったものの、高付加価値化やコストダウン、経費削減などの取り組みが進展。さらに、テレビ事業における構造改革効果や、エネルギーソリューション事業の増益などがプラス要素となり、減収ながらも、営業利益は増益を確保したと振り返った。
また、スマートワークプレイスでは、パソコン事業において、Windows 10サポート終了に伴う買い替え特需があったのに加え、これまでの商品力強化の成果が貢献。業界の伸長以上に販売が拡大したという。さらに、米国関税への対応を各事業でしっかりと行ったことで、増収増益になったと述べた。
「ブランド事業全体では、売上高は若干の減収となったものの、営業利益は約1.5倍の大幅な増益になった。ディスプレイデバイス事業についても、構造改革が進展し、減収ながら赤字幅は着実に縮小している」と語った。
その上で、2025年度上期を算定対象とした12月10日に支給する冬季賞与についても触れた。
沖津社長CEOは、「算出した上期の業績評価は、シャープグループ全体での評価が、基準ランク(標準)を2ランク上回る高い水準となり、組織別でも、半数が基準ランク以上となった。これにより、今回の賞与は、社員の頑張りをしっかりと反映した内容になっている」とアピールした。
一方、2025年度通期業績見通しについては、今年度2度目となる上方修正を発表し、営業利益が期初予想の2.25倍、最終利益が5.3倍となり、減益予想から一転して、すべての利益項目で増益を目指す計画とした。
だが、「上期の業績を大きく押し上げたパソコンの特需が減速するのに加えて、国内外問わずに、中国企業との競争が激化。さらにはメモリ価格の高騰によるコスト上昇などにより、上期と比べて大幅減益となる見通しである。また、足元では為替が再び1ドル155円を超える水準で推移しており、さらなる逆風となっている」と、パソコン事業の今後の減速などを予測。「厳しい環境が当面続くとの認識のもとで、2026年度のさらなる増益と、2027年度の営業利益800億円の達成に向けて歩みを進めていく必要がある。その発射台となる下期の業績が極めて重要になっている」と手綱を締めた。
さらに、「シャープは、2024年以降、掲げた目標を着実に達成し、金融機関や投資家をはじめとする様々なステークホルダーからの信頼を回復してきた。こうした観点からも、今回修正した公表値は必ずやり遂げなければならない」と前置きし、「年度末まで残り4カ月、様々な逆風が吹くなかではあるが、引き続き、環境変化を機敏に察知し、全社一丸となって迅速に対応することで、なんとしても修正公表値を達成しよう。そして、その時は、創出した利益を次回の賞与原資にしっかりと上乗せし、従業員に還元する。来春、ともにその喜びを分かちあおう」と呼びかけた。
シャープは、2025年9月10日に新たなコーポレートスローガンとして、「ひとの願いの、半歩先。」を制定した。
「新たなコーポレートスローガンの制定から、約3カ月を経過した。この間、9月の世界陸上を皮切りに、テレビCMや音声広告を展開してきた」とし、「現在推進中のコーポレートブランディングに関する各施策は、社員一人ひとりが発信者になることも視野に入れ、各事業所の所在地や、通勤での接点も意識しつながら進めている。年末年始にかけて取り組みを強化していく。日頃の会話の中で、スローガンが話題になった際は、その意味や思いを自分の言葉でしっかりと伝えていただきたい」と提案。また、「コーポレートスローガンは、ステークホルダーとの約束である。このスローガンを体現した商品やサービスを次々と生み出し、約束を果たしていくことが、お客様からの信頼の獲得、つまり、シャープブランドの向上につながる」と位置づけた。
シャープでは、社員一人ひとりが為すべきことを示した指針を「Our Mission」として定め、「誠意をもって人々の日常を見つめ、創意をもって新たな体験を提案する」を掲げている。
社内向けには、スローガン制定に合わせてSHARP BRAND BOOKを発行したり、ブランド戦略推進部が勉強会を実施したりするなかで、コーポレートブランドに関する体系を解説。背景や込められた思いを正しく理解できるようにしているという。沖津社長CEOは、「自分事として捉え、日々の業務に活かしてほしい」と社員に呼びかけている。
また、12月16日付で、ブランド戦略本部を新設することを報告。今後は、同本部が中心となり、コーポレートブランディングを一層強化し、スローガンや理念を、企業活動のあらゆる場面に浸透させる考えも示した。
なお、シャープでは、11月25日に、海外向けのコーポレートスローガンとして、「In step with your future.」を発表。「日本と並行して、海外でもスローガンの浸透に取り組む」と述べている。
また、12月16日付で、本社CDO傘下にAIサーバー事業推進センターを新設し、AIサーバー市場で大きなシェアを持つ鴻海と連携し、この領域での新たな事業展開の検討を開始するという。「今後、具体化に向けた取り組みを一層加速する」と語った。
2025年度からスタートしている新たな中期経営計画は、この3年間を「再成長フェーズ」と位置づけ、ブランド事業に注力し、収益体質に転換するとともに、新たな成長モデルの確立を目指している。2025年度上期の業績を見る限り、それに向けて、着実なスタートを切ったといえよう。沖津社長CEOのそうした手応えが感じられる今年最後のCEOメッセージであった。
