ニンテンドーDSをアナログシンセサイザーにしてしまうソフトとして発表以来注目を集めている製品、それが「KORG DS-10」だ。この注目製品をお借りすることができたので、果たして本当にアナログシンセなのか、それともあくまでもそれっぽい程度のゲームソフトなのか確かめるべく使ってみた。
携帯ゲーム機で本格的なアナログシンセ!
24日からamazon.co.jpにて発売が開始されたAQインタラクティブのニンテンドーDS用ソフト「KORG DS-10(以下DS-10)」。既に各種ニュースサイトなどで報道され、興味を持っている人も多いだろう。どんなソフトか簡単に紹介すると、これはニンテンドーDS用とはいえゲームソフトではなく、DSをアナログシンセにしてしまうというもの。しかも相当本格的なアナログシンセだという。今回は製品と同等のサンプル版をお借りしたので、どのようなものか早速触ってみた。
まず仕様から説明すると、このDS-10はKORGが1978年に発売した往年の名アナログシンセ「MS-10」をモチーフとしている。モノラルシンセであるMS-10相当を2系統、さらに4トラックのドラムマシン、ミキサーと3系統の内蔵エフェクト、そしてシンセやドラムマシンを演奏できるシーケンサ機能が用意されているのだ。とはいえシンセ部はMS-10をそのまま再現したわけではなく、一部に機能的な違いもある。
実はお借りしたサンプルには説明書が付属しておらず、最初は戸惑いながら触り始めたのだが、このDS-10は、アナログシンセ、またはアナログシンセを再現したソフトウェアシンセを使ったことがある人ならば、説明書がなくてもほとんど疑問を感じずにさまざまな音が出せる。それほど使い易いのだ。
逆にいえば、初めてアナログシンセに触れる人にとってはどうすればよいのか、さっぱりわからないだろう。アナログシンセの基本操作については触れないが、DS-10製品情報ページの「サウンド&ムービー」に、「初めてのシンセサイザー」の他、動画共有サイト「YouTube」にアップされた数々の公式ムービーへのリンクが用意されている。これらのムービーはアナログシンセの基本であるVCOやVCF、EGといったパラメータを、DS-10の操作方法を例に実際の出音と共にわかりやすく紹介した力作だ。興味がある方はぜひそちらも合わせてご覧いただきたい。
アナログシンセならではのパラメータが揃うエディット画面
では実際に触りながら説明していこう。ニンテンドーDSは、上下にディスプレイが配置された2画面構成となっている。DS-10では2基のシンセサイザーを設定する「SYN1 EDIT」、「SYN2 EDIT」という画面の他、さまざまな画面が用意されている。その全体構成を表すのがマップ画面で、任天堂DS の2画面のうち片方には常にこのマップ画面が表示されている。マップ画面で呼び出したい機能のボタンをタッチすると、もう一方の画面が切り替わる、というのが基本的な仕組みだ。
2系統のアナログシンセは仕様的には共通で、それぞれが独立している。VCOは2基搭載し、出力波は三角波、のこぎり波、パルス波、ホワイトノイズを選択可能。VCO1、2の出力バランスを調整する、VCO2のピッチをずらす、といったこともできる。VCFはフィルタタイプをLPF(ローパスフィルタ)/HPF(ハイパスフィルタ)/BPF(バンドパスフィルタ)から選択可能。EG(エンベロープジェネレータ)はもちろんADSR(アタック・ディケイ・サスティン・リリース)を独立して設定でき、EGからVCFやVCAをモジュレーションすることも可能となっている。各画面の右上にあるプレイボタンをタッチするとシーケンサで組まれたパターンが演奏され、各パラメータをタッチして動かしてやるとサウンドがどんどん変化していくことがわかる。気に入ったサウンドができたら名前を付けて保存しておこう。
DS-10ではリアルタイム演奏を行うための画面が2つ用意されている。1つはキーボード、もう1つはカオスパッドだ。カオスパッドはKORGのコンパクトシンセサイザ「KAOSSILATOR」やDJエフェクト「KAOSS PAD」シリーズでお馴染み、上下左右にタッチして直感的に演奏できるインタフェース。
どちらもタッチして演奏できるだけでなく、その結果をリアルタイムレコーディングし、シーケンサに記録できる。カオスパッドでは画面上のキーやスケールを設定するだけでなく、X/Y(縦/横)軸にシンセのパラメータを自由にアサインし、コントロールすることまで可能だ。
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左上の「1」ボタンはX(縦)軸にGATE、Y(横)軸にNOTEを割り当てている。「SET」をタッチすればKEYとSCALEを変更可能だ |
「3」ボタンはX/Y軸にシンセのパラメータを自由に割り当て、サウンドを変化させていくことが可能だ |
アナログシンセ、またはそれを再現したソフトシンセを使いこなしている人なら、今回紹介した範囲だけでもDS-10が本格的なアナログシンセであることがわかっていただけただろう。次回はさらにパッチ機能などを紹介していこう。