DTMソフトの基本のひとつといえる波形編集ソフト。その定番のひとつ「Sound Forge」シリーズが魅力的にバージョンアップした。リリースに先駆け、いち早くチェックしてみよう。

初心者にも手が出しやすい価格のSound Forge Audio Studioシリーズ

波形編集ソフトはオーディオファイルの編集をはじめとして録音、エフェクト処理、そして最近はCDライティングまでを行える、DTMにおける基礎ツールのひとつ。以前「DTMの基礎知識 - 波形編集ソフトでは」ではフリーソフトの「Audacity」を中心に波形編集ソフトを紹介したが、製品としてリリースされている中で定番のひとつがSony Creative Softwareの「Sound Forge」シリーズだ。

現在は最新版として「Sound Forge 9」がリリースされている。機能的には24bit/192kHzの録音・編集をサポート、モノラル/ステレオだけでなくサラウンドサウンドにも対応するなどかなり強力なのだが、市場価格で4万円クラスのソフトであるため、初めての波形編集ソフトとしてはちょっと手が出しづらいところだろう。

5.1chなどサラウンドサウンドの録音・編集も可能な「Sound Forge 9」、さらにAC-3(ドルビーデジタル)の詳細なパラメータをカスタマイズできる「Sound Forge 9 Pro」というバージョンも用意される

このシリーズには実売1万円以下のエントリーユーザー向けバージョンも用意されており、それが「Sound Forge Audio Studio」シリーズだ。ただし機能的には結構違いがあり「Sound Forge Audio Studio 8」では録音・編集が16bit/48kHzまでのサポートとなっていた。また対応OSの面でもWindows Vistaに未対応となっており、ちょっと古さを感じるところであった。

しかし先日発表された新バージョン「Sound Forge Audio Studio 9」は実売1万円以下という手頃な価格はそのままに、かなり強力な波形編集ソフトへとバージョンアップしているのだ。

24bit/96kHzに対応、より高音質で録音・編集が可能に

さてSound Forge Audio Studio 9だが、まず対応OSは当然ながらWindows XP/Vistaとなった。Vistaプリインストールの新しいパソコンを使っている人なら、ここは要チェックポイントだろう。

起動してみるとインタフェースは旧バージョン、そして上位版のSound Forge 9とそれほど変わらず、シンプルな印象。メニューは完全に日本語化されているため、基本がわかっていれば操作に戸惑うことはないだろう。また後に紹介するが、初心者にも使いやすいように工夫が施されている。

コンシュマー向けラインとして手頃なプライスで提供される「Sound Forge Audio Studio 9」、インタフェースは上位版とほぼ共通だ

バージョンアップでまず注目すべき進化点は、対応サンプリングレートおよびビット数が旧バージョンでは16bit/48kHzまでであったのに対し、Sound Forge Audio Studio 9では24bit/96kHzまでをサポートするようになったことだ。これはそのまま、より高音質で録音、そして編集が可能となったことを示している。

サンプリングレートおよびビット数は24bit/96kHzまでサポートするようになり、より高音質なレコーディングおよび編集が可能に進化した

もちろん24bit/96kHzでレコーディングするには、オーディオインタフェース側がそのサンプリングレートおよびビット数をサポートしている必要がある。とはいえ、ここ数年に販売されたオーディオインタフェースならば特別高価な機材でなくとも、ほとんどサポートされているはず。あえて内蔵サウンド機能ではなく、オーディオインタフェースと波形編集ソフトを使うようなユーザーにとっては、より高音質にオーディオファイルが扱えるようになったことは歓迎すべき進化だろう。

またレコーディングにおいてはよほど恵まれた環境でなくてはさまざまなノイズが付き物だが、簡単な操作で不要なノイズを除去できる「オーディオ復元」というエフェクトが用意されている。生録で作成したオーディオファイルに有効なのはもちろん、音楽制作とはそれほど関係はないが、レコードやカセットテープといった外部アナログソースからの録音とこのオーディオ復元を組み合わせ、手軽にデジタル化できるメニューも用意されている。

ハムノイズやクラックルノイズ、ポップノイズなどさまざまなノイズを除去する「オーディオ復元」がエフェクトとして用意されている

チュートリアルに従うだけで知識がなくとも録音からノイズ除去、ノーマライズ、さらにCD作成まで一連の作業が行える「レコード録音と復元」機能も搭載される