2025年11末から12月頭にかけて、オッポ、そしてZTEといった中国メーカーが相次いでローエンドスマートフォンを投入し、多くの携帯電話会社から販売がなされるようだ。一体なぜ、年の瀬というタイミングでローエンドスマートフォンの発表が相次いでいるのだろうか。

性能は低いが2万円を切る機種も登場

2025年も年の瀬が迫る時期となったが、それでもスマートフォンの新機種を発表するメーカーがいくつか出てきている。その1つは中国のオッポで、2025年11月28日に新機種「OPPO A5 5G」の国内投入を発表している。

オッポの中で「A」が付くシリーズは低価格のローエンドモデルに位置付けられている。OPPO A5 5Gも名前の通り5Gには対応するが、チップセットはメディアテック製の「Dimensity 6300」、RAMは4GBと、決して高いとは言えない性能だ。

ただそれでも、背面に約5000万画素のカメラや、6000mAhのバッテリーを搭載するなどユーザーニーズが高い要素は強化が施されているし、クラウドのAI技術を活用することにより、AI技術を活用した写真編集機能なども提供される。それでいて公式オンラインショップでの販売価格は3万2800円と、かなり安く設定されている。

  • オッポの新機種「OPPO A5 5G」は6.7インチディスプレイと約5000万画素のカメラ、6000mAhのバッテリーを搭載したモデル。ベースの性能は高いとは言えないが、その分価格は3万円台となる

    オッポの新機種「OPPO A5 5G」は6.7インチディスプレイと約5000万画素のカメラ、6000mAhのバッテリーを搭載したモデル。ベースの性能は高いとは言えないが、その分価格は3万円台となる

そしてもう1つ、新機種投入を打ち出しているのが中国のZTEで、2025年12月2日に携帯各社からZTE製のスマートフォン新機種が相次いで発表されている。とりわけ多くの機種投入を発表したのがソフトバンクで、同社はサブブランドの「ワイモバイル」で、合計3機種のZTE製スマートフォンを発売することを明らかにしている。

中でも注目されたのは、折り畳みスマートフォンの「nubia Flip 3」と「nubia Fold」。だろう。とりわけ後者は、ZTEが日本に初投入する横折りタイプのスマートフォンで、販売価格が17万8560円と、25万円以上が相場とされる横折りタイプの折り畳みスマートフォンの中では非常に安く販売されるようだ。

だがソフトバンクは他にもう1つ、ZTE製の新機種「nubia S2」も同時に発表している。これは6.7インチの大画面を採用したスマートフォンで、5Gには対応するがチップセットは中国ユニソックの「UNISOC T8100」、RAMは6GBと、やはり高いとは言えない性能である。ただその分価格も2万1888円と非常に安く、価格に重きを置いたモデルであることが分かる。

  • ソフトバンクが「ワイモバイル」での発売を発表したZTE製スマートフォンの1つ「nubia S2」。こちらも性能は低いが、価格は2万円台前半とさらに安い

    ソフトバンクが「ワイモバイル」での発売を発表したZTE製スマートフォンの1つ「nubia S2」。こちらも性能は低いが、価格は2万円台前半とさらに安い

もう1社、ZTE製のスマートフォン投入を発表しているのが楽天モバイルで、同社はZTE製の「nubia S2R」の発売を発表している。こちらも名前の通りnubia S2と基本的な仕様は共通しているが、RAMを4GBに、カメラの数を2つから1つに減らし、1万9800円とさらなる低価格化を実現しているのがポイントとなっている。

  • 楽天モバイルが発売を発表したZTE製スマートフォン「nubia S2R」。ベースはnubia S2と共通しているが、カメラやRAMを減らして2万円を切る価格を実現している

    楽天モバイルが発売を発表したZTE製スマートフォン「nubia S2R」。ベースはnubia S2と共通しているが、カメラやRAMを減らして2万円を切る価格を実現している

価格重視の春商戦に欠かせない商材

しかしなぜ、年末のこのタイミングになって、メーカーと携帯各社がローエンドモデルを相次いで投入しているのかといえば、それは間もなく迎える春商戦を見越した動きと考えられる。学生が主なターゲットとなる春商戦では、実際に端末を購入するのは学生の親、ひいては子育て世代となるため、子供が求めるブランドや性能よりも、親が求める価格の安さを重視してスマートフォンが選ばれる傾向が強い。

それだけにかつて、春商戦では携帯各社が新規契約者を獲得するべく、スマートフォンの大幅値引合戦が非常に激化していた。だが2019年の電気通信事業法改正以降、行政によるスマートフォン値引き規制が厳しくなり、現在は大幅値引きが困難となっている。

そこで携帯各社が調達を増やしているのがローエンドのスマートフォンである。先に触れたOPPO A5 5Gやnubia S2/S2Rは、いずれも3万円台以下という、最近のスマートフォンとしては非常に安い価格で販売され、値引きをしなくても低価格で販売できることから春商戦では重要な商材となる訳だ。

実際、nubia S2はソフトバンク、nubia S2Rは楽天モバイルが販売するとしているし、OPPO A5 5Gもソフトバンクと楽天モバイルに加え、KDDIの「au」「UQ mobile」から販売されることが発表されている。近年中国メーカーと距離を置いているNTTドコモを除き、携帯各社が積極的に2社のローエンド新機種を調達している様子を見て取ることができる。

ただローエンドスマートフォンは価格がとても安いだけに、スマートフォンに強い関心を持たない人達に売りやすい商材でもある。それだけに2025年も、春商戦に限らず携帯電話会社やメーカー各社がローエンドスマートフォンを強化する動きが見られた。

実際2月には韓国サムスン電子が、2022年発売の「Galaxy A23 5G」以来となるローエンドモデル「Galaxy A25 5G」を国内投入。シャープや米モトローラ・モビリティもローエンドモデルの投入を継続している。

  • サムスン電子は2025年2月、2022年以来となるローエンドスマートフォン「Galaxy A25 5G」を国内投入。NTTドコモなど携帯4社が販売している

    サムスン電子は2025年2月、2022年以来となるローエンドスマートフォン「Galaxy A25 5G」を国内投入。NTTドコモなど携帯4社が販売している

進化の停滞や価格の高騰などで買い替えサイクルが長期化しているとはいえ、スマートフォンもIT製品だけに、一定のサイクルで買い替えが求められる。にもかかわらず、従来そうした人達の受け皿となっていたミドルクラスのスマートフォンは6万円前後と価格高騰が進み、買い替えづらくなっている。

それだけに、買い替えるスマートフォンを安く抑えたいというニーズを獲得するべく、ローエンドスマートフォンの販売は今後も一層加速するものと予想される。ただその一方で、性能を大幅に抑えたスマートフォンが広まることは、新しい技術やサービスの利用意欲をそぐことにもつながるだけに、将来を見据えると心配な部分も少なからずある。