低価格ながらも機能が充実
写真の絵画化もいっそう簡単に【2008年2月号掲載】



スペック

[発売元] コーレル [価格] 通常版:9,980円、特別優待版:7,980円、アカデミック版:5,980円 [OS] Mac OS X 10.4以上(アップデータで10.5に対応) [メモリ] 256MB以上 [HD] 1GB以上 [備考] 700MHz以上のPowerPC G4、もしくはIntel Mac。24ビット以上、1024×768ピクセル以上のカラーディスプレイが必要 [掲載号] 「Mac Fan」2008年2月号

OVERVIEW

趣味としてちょっとした絵を描きたくても、絵の具や筆を買ってきて絵を描くというのは難しい。後片づけも大変だし、うっかりすると服や家の中を汚したりする。道具のために数万円の出費が必要なこともある。気軽にチャレンジとはいかないものだ。

本製品は、Mac上でさまざまな画材をシミュレートする本格派ソフト「Painter(ペインター)」の入門版に当たる製品だ。1万円を割る価格設定でありながら、95種類ものブラシを搭載。また、本物のパレットのように色を混ぜ合わせて新しい色を作れる「ミキサーパレット」など、廉価版とは思えない豊富な機能を備えている。

FOCUS ON

(1) 起動画面で作業を選択
ペイント系ソフトを初めて使う人でも、まずは目的の作業にすぐ入れる。機能解説のビデオを参照することも可能だ

さっそくソフトを起動してみた。まず作業を選択するウィンドウが開くので、初めて使う人ならば[ビデオを見る]を選択すれば、WEBブラウザが起ち上がり、基本的な使用方法を動画で説明してくれる。ビデオの作例を真似することで、かなり簡単に作業手順を覚えられるだろう。

インターフェイスはシンプルで、アイコンを見れば機能が一目でわかる。各種ブラシも使用目的ごとにまとめてあるので、初心者でもわかりやすい。また、ブラシ履歴機能で頻繁に使うブラシをすぐ選択でき、痒いところに手が届く作りだ。今ではPhotoshopのブラシも多様になったが、やや雑多にまとめられており、どこに何があるかを細部まで把握しているプロ用ソフトという印象が強い。

(2) シンプルでわかりやすいインターフェイス
右上のカラーパレットは一見煩雑に思えるが、初心者が主に使う色を網羅してあり、スウォッチ的な使い方が可能

(3) 本物の筆や絵の具に近い書き味
Painter Essentials 4(左)とPhotoshop CS3(右)の描き味を、同じ下絵で比較してみる。頭部のムラや、ボクシンググローブのニジミなど、筆と絵の具をに近い表現をするなら、Paiterのほうがずっとやりやすい

新機能のミキサーパレットは、実際にパレットで絵の具を混ぜ合わせて色を作る、アナログな使い勝手を実現している。カラーホイールによる色作りは、単色の色を均等に塗るのには良いが、濁りのないフラットな色になってしまう。絵の具を使った色塗りは、単色でも濃度のムラや滲みもあって当たり前で、それを含めての絵の個性や味わいになるのだから、ミキサーパレットでより人間味のある彩色ができる。

もちろん、パース(遠近法)やグリッドの作画補助機能、ブラシの詳細なカスタマイズなど、Painter Xから削られている機能もある。これらはプロには便利な機能だが、必ずしも万人に必要ではない。むしろ本製品は、誰でも写真を素材として活用することができ、さまざまな彩色の表現を組み合わせ独自のイラストを作成できる、間口の広く奥行きの深いソフトだといえるだろう。

(4) 写真の加工もより簡単に
写真を絵画風にアレンジする機能は前からあるが、本バージョンではかなり操作がわかりやすくなっている。画面右上の[フォトペイント]タブをクリックすると、専用のパレットに切り替わる。[自動ペインティング]で好きな設定にして自動でアレンジすることもできるし、ブラシを選んで自分でタッチを加えていくこともできる

(5) 機能の実例
鉢植えの小菊を撮影した写真をフォトペインティングで加工してみた。左から、印象派ペイント、色鉛筆描画、チョーク描画、スーラペイント(点描画)など多彩な表現が用意されている

AFTER REVIEW

絵画は「デッサンは努力、色彩は才能」といわれるが、逆説的にプロとアマの差はデッサンに費やした時間の質と量ということになる。本製品は、本来なら努力を要するデッサン部分に写真など既成の素材を使い、加工したりトレースすることで敷居を大きく下げている。不満をいえば、PhotoshopのブラシがCS3で劇的に軽くなったのと比較すると、やや重く感じた。もちろん比較の問題であり、使用上の問題はない。