音楽サービスをリードするauが、次の一手として繰り出したソニーとの提携。では、その要となる新ソフトの「LISMO Port」は、現行の「au Music Port」からどこが進化しているのか。ユーザーインタフェースや機能などを中心に、LISMO Portの魅力を解説していく。
機能やインタフェースが大幅に進化
LISMO Portは、音楽管理ソフトの「SonicStage for LISMO」や、データ管理ソフトの「ケータイデータバックアップ」などから構成されており、それぞれのソフトはランチャーから起動する仕組みとなっている。これまでは、au Music Portで音楽から電話帳データまで全てを管理できた半面、何ができるのかが少々分かりづらかった。ランチャーを導入することで、ソフトごとの役割がより明確になった印象だ。
SonicStage for LISMOは、前回述べたようにATRAC3形式でのリッピングに対応。このソフトからmoraへダイレクトにアクセスできる点も、まさにSonicStageだ。また、楽曲転送時に画面が左右に分割されるなど、ユーザーインタフェースも一部、SonicStageのものが生かされている。
一方で、"LISMOらしさ"を追求することも忘れていない。
「画面の上にFlashを表示させるといった遊び心はしっかり残しています。LISMO Videoクリップが左上に表示されるのも、au Music Portと同じです。ユーザーインタフェース的な部分は、こちらからも提案を出しましたので、見た目は、驚くほどLISMOのイメージになっているのではないでしょうか」(千葉氏)
そのほかの機能も、着実に進化している。au Music Portでは、PCに転送した着うたフルを聴く際には、ケータイとPCをケーブルで接続している必要があった。この点も、しっかり改善されており、PC単体で着うたフルを再生できる。リッピング時に選択できるビットレートも「SonicStageと同等」(千葉氏)へと多彩になった。
また、ケータイ側のプレイヤー機能「au Music Player」も一新したそうだ。
「ユーザーインタフェースを改善しつつ、ATRACを他の楽曲と一緒に管理できるようにしています。機能的には今までのウォークマンケータイが標準になったイメージですね」(千葉氏)
今後は、KCP+を導入した全ての機種に、新しいau Music Playerを搭載していく予定だ。
LISMO Portはまだまだ進化する
進化したLISMO Portだが、課題も残されている。
例えば、moraで楽曲を購入する際にケータイの決済機能を利用できないのも、そのひとつだ。au Music Portからアクセスする「LISMO Music Store」では、「まとめてau支払い」でケータイの利用料と一緒に楽曲代を支払えたが、このような仕組みはぜひmoraにも導入してほしい。
また、LISMO Music Storeで購入した楽曲は、「着うた」として着信音などに利用できるが、moraの楽曲はこのような設定には非対応だ。PCでの着うた購入は、他の音楽配信サイトにはない魅力だっただけに、少々残念だ。
「moraでの楽曲購入にも、ゆくゆくはまとめてau支払いを利用できるようにしていきたいと思います。また、LISMO Music Storeも意図的に外したわけではないので、今後は対応していく可能性もあります」(千葉氏)というが、今後の改善を期待したいとこだ。
とはいえ、現状でもソフトの完成度は高く、機能も多彩。特に、着うたフルをケータイ以外の機器に持ち出せるのは、auにしかない強みだ。LISMO Portに対応したKCP+搭載機も、今後は続々と増えていくだろう。
千葉氏は「音楽を嫌いな人はほとんどいません。その意味では、幅広い層のユーザーに楽しんでもらいたいですね」と話す。これまで、「ケータイで音楽を聴くのはちょっと……」と躊躇していた人も、ぜひ新しくなったLISMOで、音楽を楽しんでほしい。