4月も目前となってしまったが、今回で新生活家電ガイドは最終回だ。残った洗濯機とクリーナーについてチェックしていきたい。
まずは、全自動洗濯機からだ。各社の洗濯容量5~6kgの全自動洗濯機をみていこう。
各社の全自動洗濯機をチェック
最初にパナソニックだが、洗濯・脱水容量が6kgモデル「NA-F60PB5」と「NA-F60B5」、5kgのモデル「NA-F50B5」をラインナップしている。
NA-F60PB5とNA-F50B5は、容量とデザインは異なるが、ほぼ同一の機能を持つ製品だ。新開発したパルセーターによる立体水流「ビッグウェーブ洗浄」や残り時間をダイレクトに表示するデジタル表示操作パネルを搭載する。また、外槽に付いた石鹸カスなどを脱水時の水流によって洗い落とす「カビクリーンタンク」機構も装備している。
NA-F60B5は、NA-F60PB5の機能を絞ったモデルで、今回取り上げている製品の中で簡易乾燥機能を装備していない唯一の製品だ。
本体サイズは、NA-F60PB5がW562×D572×H907mm、 NA-F60B5とNA-F50B5がW562×D572×H880mmだ。消費電力量は、いずれも50Hz地域で103Wh、60Hz地域で104Whとなっている。洗濯時の使用水量は、NA-F60PB5とNA-F60B5が116LでNA-F50B5が114Lだ。
東芝は、このクラスに洗濯容量6kgの「AW-60GK」と5kgの「AW-50GK」をラインナップしている。
同社の全自動洗濯機は、濃い洗浄液を衣類に浸透させて汚れを落とす「濃縮洗浄」を備える。また、温度センサーを搭載しており、季節によって異なる水温に合わせて、洗濯時間や水流を適切にコントロールすることが可能だ。
衣類のからみ具合を検知する「からみまセンサー」も搭載。からみまセンサーは、衣類のからみによる過重の偏りを検出するセンサーで、センサーでの検出に応じて、すすぎと脱水の間の衣類のからみをほぐす行程でからみほぐし動作を行う。
本体サイズは、いずれもW563×D604×H957mmで、洗濯時の消費電力量は50Hz地域で85Wh、60Hz地域で100Whとなっている。洗濯時の使用水量は、AW-60GKが112LでAW-50GKが106Lだ。
日立はこのクラスに、洗濯容量6kgの「NW-6MY」と5kgの「NW-500MX」「NW-5MR」をラインナップしている。NW-6MYは、高濃度の洗浄液をシャワーで振りかけながら洗う「シャワー浸透洗浄」を採用。NW-500MXとNW-5MRは、初めに低水位で、つまり洗浄液が濃い状態で洗い、その後に水を追加して洗う「2ステップウォッシュ」を採用している。
簡易乾燥機能に関しては、NW500MXとNW-5MRは標準的な風力乾燥となっているが、NW-6MYでは洗濯槽の高速回転により大容量の風を取り込んで衣類の絡みをほぐす「エアジェット乾燥」を採用している。NW-500MXとNW-5MRの違いは、NW500MXが、風呂の残り湯を自動給水して洗濯を行う「お湯取機能」を搭載している点。なおNW-6MYには、風呂の残り湯の利用に加えて、すすぎを水道水で行う「清水すすぎ」機能も搭載されている。
本体サイズは、NW-6MYがW577×D530×H986mmで、NW-500MXとNW-5MRがW539×D508×H965mm。消費電力量は、NW-6MYが50Hz地域で125Wh、60Hz地域で130Wh。NW-500MXとNW-5MRが50Hz地域で120Wh、60Hz地域で125Whとなっている。使用水量は、NW-6MYが109L、NW-500MXとNW-5MRが122Lだ。
シャープは、このクラスに洗濯容量6kgの「ES-GE60L」、5.5kgの「ES-GE55L」をラインナップしている。いずれも、「Ag+イオンコート」機能を搭載。Ag+イオンをコーティングすることで、衣類の臭いを防ぐとともに、洗濯槽のカビの発生も抑えることが可能だ。
洗濯は、高濃度洗浄を採用。ひどい汚れも強力に分解する。洗濯槽は穴なしタイプとなっており、無駄な水の使用をカット。さらにカビの発生も抑制している。
本体サイズは、いずれもW565×D535×H898mm。消費電力量はいずれも50Hz地域で98Wh、60Hz地域で96Whだ。使用水量はES-GE60Lが80LでES-GE55Lが75Lとなっている。
このクラスの全自動洗濯機の場合、簡易乾燥機能を持たないパナソニックのNA-F60B5を除けば、各社の製品にそれほど大きな性能面での開きがあるわけではない。細かくみれば、消費電力量や使用水量、機能といった面で、シャープの2製品が若干優位だが、それも決定的な差ではないだろう。また、毎年発表される新モデルでも、細かなブラッシュアップが行われている程度で、それほど大きな性能差が出ているわけではないのが実際のところだ。
この分野に関しては、ニューモデルだけでなく、型落ちモデルを視野に入れてもよいかもしれない。4、5年前だと、簡易乾燥や除菌機能の搭載などで差がついた場合があるが、最近では、リリース時期が1年違っても機能面での大きな違いはないようだ。
各社のドラム型洗濯乾燥機
続いて、ドラム型洗濯乾燥機だ。新生活、特に単身者向けに薦められるドラム型洗濯機は、極端な言い方をすると、現在は3製品だけだ。パナソニックの「NA-VD210L-CK」と「NA-VD110L」、日立の「BD-S7400」ということになる。
パナソニックの2製品は、「プチドラム」という愛称が付けられている製品だ。幅と奥行きを60cm以下に抑えたモデルで、縦型洗濯機を前提にした洗濯機置き場に、無理無く置くことができる。洗濯容量は6kgで乾燥容量は3kgだ。乾燥容量が少ないが、時間を気にせず使用できるドラム型洗濯乾燥機なので、あまり問題にはならないだろう。乾燥はヒーター式だが、エコナビにより省電力化されている。
本体サイズは、W633×D595×H963mmだ。洗濯~乾燥の消費電力量は 1,680Whで、使用水量は95Lとなっている。
日立のBD-S7400は、「ビッグドラムスリム」という愛称を持つ製品。本体サイズはW630×D715×H1,050mmだが、ボディ幅は600mmで、全自動洗濯機用の洗濯機置き場にも設置可能だ。洗濯容量は9kgで、乾燥容量は6kgと、スリムタイプのボディながら、フルサイズのモデルと変わらない容量を持つ。また、容量だけでなく、機能面でも、「風アイロン」「ヒートリサイクル乾燥」「自動おそうじ」など、同社のドラム型洗濯乾燥機のフルスペックを搭載したモデルだ。洗濯~乾燥の消費電力量は約930Whで、使用水量は約53Lとなっている。
現在、パナソニックや東芝のドラム型洗濯乾燥機の上位モデルでは、乾燥にヒートポンプを採用しており、消費電力が大幅に少なくなっている。一般的なヒーター式ののドラム型洗濯乾燥機では、洗濯~乾燥の消費電力量が2,000Wh程度だったのが、これらのヒートポンプを使用したモデルでは軒並み1,000Whを切っている。日立のビッグドラムシリーズは、ヒーター式の乾燥機能を備えており、ヒートリサイクル方式という一種の蓄熱機能により、動作時のモーターの熱などを有効利用して消費電力を引き下げている。消費電力はヒートポンプを使用しているモデルと同等だ。
今回取り上げているパナソニックのプチドラムシリーズは、ヒーター式の乾燥機能を備えるモデルだ。エコナビによる省電力効果はあるが、それでもヒートポンプ式やヒートリサイクル方式のモデルに比べれば、消費電力は多い。とはいえ、それでも、ドラム式洗濯乾燥機の最大のメリットである"ラク"という点に関しては、何ら変わりはないのだが。
新生活での掃除機の選び方
家庭で使う掃除機には、大きく分けて3つの種類がある。1つは、最もポピュラーなキャニスター型だ。続いて縦型のクリーナー、そして最後にロボットクリーナーということになる。ハンディクリーナーやモップタイプのクリーナーも存在するが、それらは汎用性に欠ける。また、ショルダータイプのクリーナーも東芝がリリースしているが、国内で普通に売られている製品がそれしか存在しないので、ここでは考えないことにする。
ロボットクリーナーは、それだけですべての掃除を行うことはできない。掃除が可能なのは床面だけだ。また、構造上、狭い隙間や部屋の角など、掃除ができないエリアが存在するうえ、部屋を片付けた後でないと動かせないなど、制約も多い。単体で使用するというよりも、これプラス何らかの掃除器具の組み合わせで使用することになるだろう。もっとも、組み合わせる対象は必ずしも掃除機である必要はなく、クイックルワイパーのような製品でも十分だ。
これは筆者の経験則なのだが、ロボットクリーナーには、あまり知られていないメリットが存在する。それはハウスダストを強力に取り除くという点だ。ロボットクリーナーは、普通の掃除機に比べて、とにかく効率が悪い。1つの部屋を30分といった単位で、ひたすら動き回る。その間ずっと、最もハウスダストが漂いやすい床面近くの空気を、(貧弱とは言え)フィルターに通し続ける。これにより、空気清浄器とまでは行かないが、それに近い効果を発揮することができるようだ。ロボットクリーナーを動かしたまま外出して帰宅すると、部屋の中の空気が通常よりもクリアなような気がする。
とはいえ、ロボットクリーナーはやはり趣味の製品だ。普通に実用的なクリーナーを考えた場合、やはりキャニスター型か縦型ということになるだろう。
さて、残る2種類だが、収納スペースが小さくて住む縦型と、操作性に優れたキャニスター型ということになる。以前は縦型の掃除機にのみ、延長管ブラシが標準装備されており、また、高い場所に届くように十分な長さを備えていた。これにより、そのままエアコンの吸い込み口や机の上などの掃除を行うことが可能だった。しかし、ここ2~3年のキャニスター型では、この辺りの改良が進んでおり、汎用性に関しては差がなくなったといってよいだろう。
収納性で選ぶのならば縦型クリーナーだ。左から、東芝「VC-Y70C」、日立「PV-SU3」、シャープ「EC-ST20」。収納時のサイズは、VC-Y70CがW250×D255×H870mm、PV-SU3がW250×D220×H590mm、EC-ST20がW250×D200×H825mmだ。ちなみに吸い込み仕事率は、VC-Y70Cが340W、PV-SU3が360W、EC-ST20が330Wだ |
キャニスター型は、掃除の際にヘッド部分のみを動かすのに対して、縦型は本体そのものを動かす必要がある。必要な力は、キャニスター型のほうが少なくなる。また、ダストボックスのサイズもキャニスター型のほうが大きい。吸い込み仕事量も、縦型は、大きいものでも、キャニスター型の1/2程度しかない。現時点での縦型のメリットは、収納性の高さと、組み立てずに掃除ができるという2点に絞られてきているといえるだろう。
キャニスター型の上級モデルは、密閉度の高さやヘッドの高機能化などの新機能が取り入れられているが、新生活に向けた家電ということを考えた場合、そこまでの高機能は必要ないだろう。高性能のノズルは、基本的にモーター駆動タイプだが、床面がフローリングの場合、エアロノズルタイプで十分だ。というわけで、筆者としては、新生活には、キャニスター型、なかでも、コンパクトさを重視した普及クラスのモデルを薦めたいところだ。
縦型クリーナーは、現在ほぼサイクロン式になっているが、キャニスター型は、サイクロン式、紙パック式のどちらも選ぶことができる。サイクロン式は、紙パックが必要ないというメリットがあるが、その分、ダストボックスのサイズは小さい。より頻繁にゴミ捨てを行う必要がある。また、ダストボックスやフィルターのクリーニングも必要だ。一方、紙パック式には、そういった手間が少なく、さらに、ごみを捨てる際に、ハウスダストをまき散らされないというメリットもある。しかし、運用コストは紙パックの価格分上積みされる。また、紙パックが一杯になってくると、パワーが落ちるという欠点も抱えている。上級機になれば、高度な目詰まり防止のための機構を備えている製品も存在するが、新生活に適したコンパクトサイズの普及モデルでは大きな問題になる。
エアロノズルを備えたコンパクトなキャニスタータイプの紙パック式クリーナー。左から、パナソニック「MC-PK13A」、東芝「VC-PA7E」。本体サイズは、MC-PK13AがW257×D297×H234mmで、VC-PA7EがW252×298×H214mm |
ランニングコストを下げる、あるいは吸引力が低下したときに手軽に紙パックを交換する手段として、低価格な互換紙パックを使用するという方法もあるが、紙パック式のクリーナーは、使用する紙パックの性能によって、クリーナーの性能自体が変わってくる。互換紙パックの、とくに強度面での性能には、あまり信頼を置くことはできない。運用コストを重視するのならばサイクロン式、手間の少なさや衛生面を重視するのならば紙パック式といったところだろうか。
今回で新生活のための家電選びは一応終了だ。もちろん、これ以外にも、新生活にあったほうがよい家電製品は、いくつも存在する。日常的に使用するものだけでも、照明器具、アイロン、スポット暖房用のストーブ、コーヒーメーカーとか、最近では電気ケトルなど、身の回りの電化製品は非常に多種にわたっている。
ただし、それらは新生活だからとくに必要というわけではなくて、普通の生活でもニーズの高い製品だ。そういった製品については、これからも適宜、当コラムで取り上げていくつもりだ。