前回までで、家庭でのLED照明の現状については、その大まかな部分をだいたい語ることができたと思う。LED照明についてはいずれまた新情報が入り次第、続きを述べたいが、今回からは次のテーマに移りたい。新生活家電だ。まだ1月前半なので、少し早すぎるのではという向きもあるかもしれないが、筆者の経験上、このくらいから始めないと絶対に間に合わないのだ(筆者の話のペースが遅いだけという意見もあるが)。

一般的に新生活家電の記事というと、各社から出されているエントリークラスの家電製品の紹介を行うという形で進められていることが多いようだ。できることならばこの記事でも、基本的なスタンスはそうでありたい。

かつては、新生活家電の定番だった三洋電機の「it's」シリーズ。写真は2005年のラインナップ

新生活のための電化製品に必要なことは一体何かというと、暮らしていくうえで最低限必要なことをカバーできるベーシックな家電製品群ということになる。この分野では、かつては、三洋電機の「it's」シリーズという定番があった。「it's」シリーズは、新生活に必要な家電製品を、デザインやカラーを揃えて提供するというものだった。分野も広範囲で、冷蔵庫やオーブンレンジ、オーブントースター、炊飯器、全自動洗濯機、縦型クリーナー、電機ポットといった製品がラインナップされていた。「it's」シリーズの製品は、例えば冷蔵庫なら140L/120Lクラスの2ドアタイプ、オーブンレンジならターンテーブル方式であるなど、基本的にエントリークラスの製品を中心としていたが、実際のところは初めて一人暮らしをする際に、500Lクラスの冷蔵庫やIH圧力炊飯器といったハイエンド製品は必要ない。それらは、生活をより快適にする製品ではあるが、ある意味では趣味の世界の製品である。新生活にはベーシックな電化製品で十分なのだ。「it's」シリーズは、そういった当たり前のスタンスがユーザーのニーズと一致しており、定番商品となっていたのだが、パナソニックによる子会社化以降は商品統合により、同シリーズのラインナップはほとんど生産完了製品になってしまった。最後に「it's」シリーズの新モデルが発表されたのは、2009年秋だったと記憶している。一方、そのパナソニックは、「NIGHT COLOR」シリーズを展開しているのだが、同シリーズは1~2人世帯向けの家電製品で、ドラム型洗濯乾燥機や300Lクラスの3ドア冷蔵庫がラインナップされているなど、一般的な新生活のための家電というカテゴリーよりも、少し上を狙った製品だ(個人的には、ドラム型洗濯乾燥機は、新生活家電に含めてもよいのではと考えているが)。また、象印マホービンの「BEAT」シリーズにも新生活家電というイメージがあるが、同社はキッチン家電を中心としたメーカーなので、現在ではそれ以外のカテゴリーの製品はラインナップされていない。

そういった状況なので、新生活家電に関しては結局のところ、一から選んでいくことになる。それで何が必要なのかということなのだが、それについてはここで限定することはできない。基本的には、旧「it's」シリーズをベースにしていきたいとは思うが、個々の生活スタイルの違いは大きい。初めに明言しておくが、すべての分野をカバーすることはできないだろう。

M基本性能とデザイン性の高さを追求した「NIGHT COLOR」シリーズ。30歳前後をターゲットとしており、いわゆる新生活家電よりも少し上のカテゴリー

ここからが本編--新生活に必要な電子レンジは?(1)

相当長くなってしまったが、ここまでが前置きだ。ここからは、最初に扱う電子レンジについての話になる。電子レンジは、新生活になくても何とかなりそうな気がするかもしれない機器だ。しかし電子レンジには、コンビニで買った弁当を温めるという極めて大事な役割がある。コンビニで弁当を温めた場合、家のロケーション(コンビニから家までの距離)によっては、冷めてしまうケースもある。家に電子レンジがあればそういったことを心配する必要はない。さらに、コンビニのレジで「温めますか」と聞かれた際に、「いいえ、けっこうです」と答えることができるわけだ。コンビニの弁当を温めるだけならば単機能の電子レンジでも構わないのだが、昨今では国内の家電総合メーカーは単機能電子レンジをあまり販売していない。パナソニックが、「NE-EH224」をリリースしている程度だ。というわけで、この記事では話をオーブンレンジにしぼって進めていきたい。

新生活向けのオーブンレンジの話は、濃縮すると、庫内がフラットなタイプがよいのか、それともターンテーブルタイプがよいのかという話になっていくが、それは、結局のところ生活スタイルの違いとうことになる。

--以降、次回に続く--