スマホの影響により、子どもの「斜視」が増加している、と言われている。

実際に「急性内斜視」で受診にくる子供や若者の数は増えており、スマホやデジタル機器の使用が関係する疑いが高いという。

「斜視」とは両眼の視線が正しく見る目標に向かわないことを言い。外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに、他の目が内側や外側、あるいは上下に向いている状態のことを指す。

スマホを操作する時、視線が中央に寄るようになる。それを長時間続けることにより、斜視になってしまうのでは、と言われているようだ。

その他にも、スマホは子どもの脳の成長を妨げ、大人の知能を下げ、視力低下、姿勢悪化など、疑われる人体への悪影響は山ほどあるらしい。これが本当なら、もはや、ちょっとした兵器と言っても良い。

でも、スマホなしで生きていく自信はない

ところで、それらのほぼすべては「スマホ」ではなく、「スマホの使い過ぎ」で起こっていることである。料理をするための包丁なのに、人間が勝手にそれで人を刺して凶器にしてしまっているようなものだ。

冒頭のスマホが原因と言われる「斜視」に対しても、「使う時は30センチ以上目を離せ」そして「30分使った10分休め」という、予防方法が示されている。

とどのつまり、「使い過ぎなければ、そこまではならない」ということである。

だがこの「スマホを使い過ぎない」というのが難しい。さらに、目や脳、体に影響があると言われているのはスマホだけではなく他のデジタル機器も同様だ。

中には、仕事でパソコンを使い、空いた時間はスマホをいじっているという、「寝ている以外はデジタル機器漬け」という人も珍しくない。人によってはスマホを握ったまま寝ているという「夢の中まで一緒」なタイプまでいる。

すでに現代人にとって「スマホを見る」というのは、習慣であり、無意識になりつつある。我々のような、ほんの四半世紀前まで、時間と待ち合わせ場所だけで「集合する」という荒業をやってのけていた世代の人間ですら、すっかりスマホに依存し「ついたらLINEすれば良いや」と、待ち合わせ場所ではなく、近くのコンビニにいるなどという、ぬるいことをしてしまっているのだ。

いまさら「寝る前にスマホをいじるな」と言われても、「スマホをいじらずにどうやって寝ていたのか」すでに記憶にないのである。

ベッドの上でスマホをいじり「昔あった悲惨な事件」や「鬱映画のあらすじ」を見ながら、いつの間にか寝ている、もしくは興が乗って、23時に床に入ったのに就寝は2時、というのが私のスタンダード睡眠スタイルだ。

スマホなしでは、調べものや連絡、暇つぶしはもちろん、コミュニケーションさえどうやって取っていたのか、もはや思い出せないという人も多いだろう。

巷で流行するスマホを「使わない方法」

しかし、スマホ自体は非常に便利なものである。使えないよりは使えた方が良い。例えば有事の際の為に備えてなど、老齢の親に何とかスマホ操作を覚えさせたいと思っている人も多いようだ

それとは逆に我々は、「スマホを使わないこと」も覚える必要があるということだ。「頑なにググらない」「FAXでの連絡にこだわる」など、「不便に戻れ」という意味ではない。使うべき時には今まで通り使うべきだ。

だが「何となくいじっている時間」が膨大で、暇つぶしどころか、他にやるべきことがあるのについ、スマホを触って時間がたっていた、という場合は、意識してスマホを触らない時間を作った方が良いだろう。

何もやることがなかったとしても、スマホよりは「遠くの緑」を見ていた方が、少なくとも目には良いに違いない。

よって、最近は「スマホ依存対策スマホアプリ」という、矛盾に溢れたものも多くでまわっている。

「スマホを触らなかった時間だけ、生き物や植物が育つ」というゲーム形式のものや、スマホを使っていた時間を計測し、自分の依存ぶりを目の当たりにさせる「デブを体重計に載せる系」のもの、そして一定の時間スマホがロックされる物までその種類は様々だ。

スマホ乱用、ダメ。ゼッタイ。

ただ、これはもう「依存」なのだ。依存度が高いと、例え生物や植物が死に絶え、地球が滅亡しようがスマホを触ってしまうだろう。また、ロック形式のものも、親が子供に対し使うことを想定しているためか、パスワードは自分で設定することになるので、自制に使うには強制力に欠ける。

よって、私は先日、タイマー式で鍵がかかる「箱」を買った。この中にスマホやネットケーブルを入れれば、時間まで物理的にスマホを触ることはできない。

そこまでしなきゃダメかと思うかもしれないが、すでに私は「そこまで」のレベルなのだ。

やはり「我慢」では限界があるので、スマホ依存を直したかったら、このようにスマホを物理的に隔離するツールを使うか、自分をレクター博士ばりに拘束することをお勧めする。

ただ、この箱ももちろん「破壊」することはできる。ロックアプリも「パスワードを吐くまで親を殴る」という事件が起きないとも限らない。

体や頭に害を与え、最終的に生活や家庭を崩壊させかねないのであれば、薬物と同じである。

スマホは適量なら便利なものだ、スマホをシャブにしないために、用法用量には気をつけていきたい。